表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したってわたしはわたし。  作者: なの
プロローグがあってもいいですよね?
1/60

1.イケメン天使とお話しちゃいました

 わたし、杉崎葵っ☆

 ごくごく普通の平凡な(永遠の)16歳っ☆


 ……なんて、パン咥えて曲がり角で人にぶつかりそうなテンションはもう無理です、我ながらキモいです、現実見ます。

 はい、わたしの目の前には異世界転生ものでお馴染みの目を開けたら女性の顔、そして口を開くと出てくるのはアゥアゥいったりオギャーという鳴き声ばかり。


「トリップしたり転生したりする物語とかって高確率でオタクだけどなんでだろうね!」と友人が言っていましたが……

 まさか自分みたいな一般人がそんな経験をすることになるとは思いませんでした……




 はい、ごめんなさい、嘘です、わたしもオタクです。




 三度の飯よりアニメゲームが好き! とかは全く言う気ないですがアニメもゲームも好きです。

 中学生の頃からオンラインゲームにハマってハマって、それはもう、パソコンの置いてある兄の部屋に朝からコッソリ侵入しては出禁をくらって怒られるほどにはハマっていました。

 そんな怒らなくたっていいじゃないですかね……わたしの部屋にパソコン置けなかったのですよ……。

 まぁ当時わたし髪の毛真っ黒で腰までの長さあったので寝起きドッキリよろしくとてもびっくりしてたのはちょっと悪かったかなと思いますけど……。

 そして好きなものは惰眠、ゲームやアニメ、二次元のイケメンメガネ、綺麗なお姉さんです。

 綺麗なおねーさんは大好きです! が我が兄妹の合言葉でした。(兄妹間の仲はそこそこ良かったのです。)


 完璧にオタクですね、もう何も間違いがありません。

 やはり転生ものはオタクの方がしやすい法則でもあるのでしょうか?


 さて、そんな永遠の16歳(大事なのでもう一回言いました)のわたしですが、実は高卒ニート(半年間)からのフリーターというなんともやる気ない人生を送っていたところ異世界転生というものを体験したようです。

 先ほど転生定番の赤ちゃん表現をしましたが、その前にもちろん出会っていますよ。

 え? 誰にって? 転生もの好きなら言わなくても分かりますよね?




 ------------------------------------





「今寝たら死ぬ、起きるんですよ、わたし!」


「うひゃあ!?」


「えっ!?」


 あ、あれ? ここはどこでしょう?

 わたしは今眠気と戦いながらネトゲでドラゴンと戦っていたはずでは……

 ってあれ? なんか綺麗な男の人がいますね。


 少し長めだけど長すぎない艶やかな黒髪に翡翠の瞳、そして真面目というわけでもないけれどチャラくもない二次元男子のようなそのオシャレメガネ……

 もしかして誘惑に負けて寝てしまった感じですか……限界でしたもんね、わたし……


 仕方ないです……デスペナ1くらい甘んじて受けましょう。なんてったってこんなにも好みの男性は二度と夢に現れてくれないのではないかというくらいどストライクです。



「あ、あの……杉崎葵さん……でよろしいですか?」


「はい? そうですけど……なんでしょう?」


 お? イケメガネさんはわたしの名前を正確に分かるようです。

 夢ってどうも名前が違くなってるイメージが強いのですよね。

 見てる時はいいのですけど、起きてから考えてみると違和感しかないようなこととかもいっぱいありますよねー。


「えーっと、厳選なる抽選の結果『杉崎葵さん』あなたは転生することになりましたー。

 わーおめでとうございますー。」


 パチパチパチパチー


「はい?」


「あれ? もっと喜ぶと思っていたのですが……。」


「喜ぶ云々の前に説明求ムです。」


「あ、それもそうですねぇ。

 はい、では説明しますね。まずは、えー杉崎葵さん年齢は二十g……」


「ちょおおおーっと待ったぁぁぁ!

 わたしは永遠の16歳です、そこは忘れないでください。」


「え、永遠の……16歳ですか……」


「はい、重要ポイントですから忘れないでくださいね。」


 ドン引きされたようですがここは譲れないポイントです。

 気づいたら一ヶ月が過ぎてるくらい時間の感覚が短くなったとか、高校生を見て若いなーと思ったりとか、自分が年取ったことを自覚してくるとどうしても見栄を張りたくなるものなんです。

 童顔だから毎回年齢確認されてたのに、最近されなくなったことがもう悲しいです……当時は童顔嫌だったのに……時の流れは残酷ですね……。


「え、えっと……再開しますね……杉崎葵さん、年齢は……2……16歳……父母兄の四人家族で現在は実家暮らしのフリーター。」


 また言いそうになったので睨みつけてやったら直りましたね。


「毎日の楽しみはオンラインゲーム、そして深夜アニメと睡眠。

 最近は専ら異世界トリップや転生ものの小説にハマっていて買い漁っている。

 好みのタイプを聞かれると迷うことなく優しい人、そして二次元メガネと答えるくらい二次元のメガネ男子が好き。


 ここまでで何か間違いはありますか?」


 わお、なんかすごい夢って意見に違和感感じ始めましたよ?

 さっき転生って言ってましたよね?

 この人の個人情報の知りっぷりも変態レベルだし何も間違っていないのでわたしとてもイタイ子すぎて恥ずかしいです。


「あっとそうでした……名乗ってませんでしたね。僕はクロサワと申します、よろしくお願いします。

 いわゆる天使という存在です。」


 ペコッとお辞儀したと思ったら起き上がった黒澤? 黒沢? クロサワ……さんの背中から真っ白な天使の羽根がバサァっと生えてきました……。

 えっ、なんですかこれ、まじもん天使ですか!?

 天使萌えとか特にないんですけどこの二次元に出てきてもイケる爽やかな笑顔とか鼻血でそうです……夢オチじゃなくて転生っていうのを疑う余地なくなってきましたねぇ。


「先ほども言いましたが、神様方の厳選なビンゴ…いえ、抽選の結果あなたが転生の切符を得ました。」


 ビンゴ!? 今ビンゴって言いましたよね!?

 ていうかビンゴも抽選も変わんないですからね!?


「対象者は日本の異世界トリップや転生の話にハマっていて親の庇護下から離れても問題のない高校生以上の女性。

 そしてゲーム好きで恋人がいない方、この二つの条件を満たした方の中から選ばれたのが杉崎さん、あなたになります。」


 oh……どこから突っ込めばいいのかワカラナイデス……。


「そしてあなたの好みに合わせた天使である僕が選ばれて説明役にこうしてきたというわけです。

 メガネは……実は普段はしていないのですが……体型が折れちゃいそうなヒョロさをもっているのはお前だけだ! と神様に罵倒……いえ選んでいただけたので、ダテメガネで申し訳ありませんがつけさせていただいております……」


 そういいながら哀しそうに眉を下げている天使クロサワ氏。

 はい、わたしはヒョロいイケメンが好きなのです。

 お腹をバンっと叩いたら折れてしまいそうなイメージのイケメンとかほんと大好物です。

 しかし痩せこけた顔はダメです、論外です、そんなの違うんです。

 メガネは似合ってればダテメガネでもありなので大丈夫です、ご馳走様です。


「えーっと……ビンゴで選ばれたのもあなたが担当になったのも転生するのも分かったのですが……なぜ転生をする必要が……?

 いや、不満があるわけではないのですが純粋に疑問で……。」


「それも説明させていただきますね。

 と言っても転生や異世界トリップものの小説等でよくある展開ですね……転生先の世界で異物を必要としていたから、です。

 異物という言い方ですとちょっと嫌な言い方になってしまいますが『異なる物』……その世界にはないモノを取り入れで何百年も停滞している世界に変化をもたらす、というのが理由になります。

 杉崎さんに転生していただきたい世界は魔法も剣もあって人同士の争いは少なめの世界です。

 全くないとは言えないですが、今現在戦争をしている国はありません。

 そして魔王はいませんので倒してくれーとかそういうのはないです。勇者になってくれとかではないので安心してください。

 あ、魔王はいないですが魔族やエルフドワーフなどの人間以外の種族はいますよ。」


「猫耳はいますか!?」


 食い気味にいきなり質問したのでびっくりされました。

 でもここは大事です、ケモミミマジ天使ですよ。

 目の前の天使クロサワ氏にもつけてもらいたいくらいです、萌え死しま……あ、むしろ現在進行形で天使でした。


「猫耳もうさ耳も犬耳の獣人の方々もいらっしゃいますよ。」


 食い気味のわたしに引かず、笑顔で答えてくれるとか……天使か……いや、本物の天使なんですよね。

 天使はやっぱり天使でした。


「そしてこれが一番大事なところだと思うのですが……あ、今現在いる場所はこれから行ってもらう世界でも、元の世界でもない亜空間のような場所だと思っていただいて構いません。

 そして先ほどまでいた地球の世界でのあなたの扱いですが……申し訳ありませんが既にいなかったことにさせていただいておりますので転生に拒否権がないです。」


「え? そこ一番大事です? チート能力とかじゃなくて?」


 異世界転生で一番大事なのはチート能力ではないのでしょうか……。

 もちろん元の世界で行方不明とかだとわたしを溺愛してるお父さんや家族、友達とかが悲しむだろうことは分かるのでいなかったことにするのは総合的にみていいことだと思います。

 帰れない、拒否権ない、ないないで少し……いや大分寂しい気持ちもありますが……。

 もう今現在どうしようもないですし気持ちを切り替えて憧れの転生もの! とポジティブに喜びましょう。

 元からわたしはポジティブ人間なのですよ。

 そう考えると! やはり大事なのはチート能力です!


「いえ、そうですね、大事ですね。」


 なんか何もかも察したような顔でにっこり微笑まれましたよ。


「チート能力ですね、もちろんありますよー。

 可能な限りあなたの望みを叶えて転生に臨んでほしい、と神様から仰せつかっておりますので希望を仰っていただけたら……と思うのですが。」


 キタコレ! きました、やはり知らない世界に転生するのですしチートは欲しいですよね!

 そうですね、魔法はやはり使いたいですし、出来るならば必要最小限でも剣が使えるような運動能力的なものが欲しいですよね……。

 わたし運動大嫌いなのです、体育の成績とか必要最小限の動きしかしてなかったりしたら2とかとったことあるんですよね……って流石に5段階ですからね!?

 10段階で2とかは流石に健康優良児ですのでとってないですよ!

 高校生のときの水泳の授業は一ヶ月に何度女の子の日がきたか分からなかったですね、ほぼ補習で補いましたよね、いい思い出です。ふふ。

 さてチートでしたよね……。

 ふむ、まずは一つ聞いてみましょうか。


「天使クロサワ氏、望めばあなたはついてきてくれるのでしょうか?」


「えっ!? ぼ、僕ですか!?」


 予想通り慌ててくれますね、可愛いです。

 だってこんなイケメン目の保養です。常に天使の加護とかついてたら抜群のチートだと思うのですが……


「え、えと……想定外な内容でしたが……。

 ダメです、僕そこそこの仕事任されているので神様に迷惑がかかってしまうので……他のでお願いします。」


 そんな仔犬のような顔されたらっ!

 はい、葵、顔アウトー! ニマニマしちゃう……。


「杉崎さん……顔がとても緩んでます……。」


 おっとニマニマしてるのバレてしまいました。

 うーん、クロサワ氏はダメでしたかー……じゃあとりあえず思いつくのをいってみましょう。


「魔法使いたいです、固定魔法ではなく創造魔法のようなものを。

 鑑定とかも必須ですね! あれが役に立ってないトリップものは見たことがないですので!

 創造魔法、そこそこの運動能力、鑑定能力、脳内ゴーグル先生、収納(アイテムボックス)……うーん、これくらいしか思い浮かばないです……」


「いえ、充分あると思いますが脳内ゴーグル先生とは地球知識の検索機能ということでいいでしょうか?」


「そうです、地球のネットに繋がると嬉しいです。

 わたしバカなのでチート能力でこれを作る! とかいうことが出来るほど知識がないのです。

 覚えたことも興味がないとすぐ忘れるくらいで……せっかくの異分子として求められているのならあったほうがいいと思うのですよね。」


 家族にも病気なんじゃないかと冗談半分本気半分で言われるくらいには記憶力がヤバイのです。

 転生ものの主人公元が万能すぎですよ、なんであんなに記憶力いいんですか。

 ていうかなんでそんな都合よく色々作る知識あるんですか。



「分かりました、では創造魔法、運動能力、鑑定能力、検索機能、収納(アイテムボックス)、つけさせていただきますね。


 では少しだけ転生先の知識をお与しますね。

 行っていただくところは先ほども言いましたが地球ではなく『ハイリシエール』という大陸にある『シェルハザード』という国の『リシュール』という地域です。

 記憶を持ったまま赤ん坊に転生していただき好きなように生活をしていただけたら我々としてはそれで嬉しいです。

 貨幣の単位はベル、1ベル1円ですので計算はしやすいと思います。

 えーっと……必要最低限の情報ですが、他に何か質問はありますか?」


 うーん、質問はあるかと聞かれると頭真っ白になって分からなくなるタイプなのですよね……。

 でも普通に生活するだけでいいって言いますし、争いごともないって言いますし……。


「いや、大丈夫だと思います。

 困ったらそのとき後悔しときます。」


「クスッ……後悔ないように願っておきますね。

 それでは……ハイリシエールの世界であなたが幸せに暮らしていけることを遠いこの地から祈っております。

 良い新しい人生歩んでください。」






 -------------------------------------






 そして今に至る。


 産まれたばかりの赤ん坊になっています、葵です。

 赤ちゃんって本当に動けないんですね、すごく不便です。

 とりあえずもらったチートの確認しようと思ったのですが鑑定くらいしか出来ないうえにわたしは重要なことをお願いし忘れてしまったのです。

 自動翻訳機能がありません……。

 優しく抱っこしてくれているこの20台前半くらいであろう美人なお母様らしき人が何を言っているのかさっぱり分からないです。

 先ほどから会話しているメイドさんのような服装の人がいますのでよくある貴族でしょうかね。

 いいですね、貴族令嬢! あ、でも悪役にはなりたくないので良い貴族だと嬉しいです。


 あーあ、必死に言語をお勉強しなきゃいけないですね……。









 数日暮らして分かったのは……

 お母様の笑顔が素敵なこと、メイドさんを雇うような家なこと、お父様に会っていないのでお父様の情報はなし。

 お兄様らしき人が二人とお姉さまらしき人が一人いること


 そして


 わたしの名前はユイリエール・リシュール。

 名前からして産まれる場所として言われていたリシュール領主の娘であることが分かりました。









初投稿です。

亀さん投稿になりますがよろしくおねがいします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ