初心に返れば何も怖くない
才能なんて元々なかったんや、な人だからこそできる裏技。
「初心に返れば何も怖くない」
悪い部分の指摘は、いい部分があって初めてできること。
設定を考えた段階で終了してた時には、小説本文の批評なんてできようはずもなかった。
会話文だけで話を作ってた時には、地の文の流れの良さなんて判断しようもなかった。
自分の作品は、まったく面白くないと思ったとしても、思われたとしても、最初が底辺だったんだから仕方ない。
やっと面白くないという評価ができるレベルまで這い上がれたのだと思えば、むしろこれからが勝負どころではないか。
書けるようになって初めて、面白い面白くないという段階へと足を踏み入れることができる。
そう、面白くないのは成長したからこそなのだ。
書けるようになれば、自分の書く面白いものが読めると思ってたのにと、その絶望は大きい。
だがしかし、そんな簡単ではなかったというだけの話。
今更諦めてもどうしようもない。
こんだけ長文を書けるようになったのだから、今諦めるなんて馬鹿らしいこと。
昔の自分が今の自分の文章を読んだなら、そこまで書けるなら、いくらでも面白い方向を目指せるのにと、悔しく思う事だろう。
面白い小説を書くという壁は、見上げてみるより登ってみる方がずっと高かったというだけのこと。
昔の自分の気持ちに立ち返って、壁を登る自分の姿を想像してみれば、今の自分は結構高いところにいると思う。
壁の高さが低ければ、登る背中はすぐ近くに見えることだろう。
だが壁は決して低くはなかった。ゴールは遠くとも、登ってきた道のりもまた長かったのだ。
初心に返れば、壁を登る自分の背が遠く見えるはず。
上る壁から下を見下ろせば、床がものすごく近く見えるかもしれない。
だがここに至るまでに、私は確かに長い壁を登ってきたのだ。