会話中心の話運びからの発展
ネット小説では、会話文が物語のほとんどを占めて、地の文が添える程度しかないタイプのものもある。
その場合、話の構成を考えるという方向には辿りつきづらい。
話の構成は、地の文を多く書いてこそ、活きてくるものだからだ。
会話中心の話運びであれば、そもそもそれほど構成力は必要とされない。
会話が面白くなってさえいればいいのだ。
しかし会話しか書けない状態から、地の文を書けるようになってきた、会話から発展させて地の文を増やしてきたという場合、どこかで話の構成を考える段階に進む必要が出てくる。
話の構成を作るには、プロットを立てるのが一番やりやすい。
物語には要素がある。
シンデレラであれば、父親の再婚と継母と姉たちの登場、父親の他界と継母たちからのイジメ、舞踏会の開催を知りながら行かせてもらえないことを嘆くシーン、魔法使いが現れて願いをかなえてくれるシーンと進んでいく。
それぞれの場面が要素。その要素の配置や長さ配分などが構成。
ネット小説では自由に文字数を使うことができるが、物語全体を通して見たとき、長さ配分が上手くできているかどうかも、文章力としての評価対象になる。
文字数をある程度頭の中で調整できるようにしておくことも、構成力アップのためには重要ということだ。
どんな要素があるのかが分かっていなければ、事前に構成を考えることはできない。
構成を考えるのであれば、プロットは必須であると言える。
ひとつの足跡もついていない、真っ白な雪道があるとする。
雪道を歩いて、足跡を付けて絵を描こうと思った時、歩きながら何を書くかを考えるのが、会話中心の物語展開。
何を描くかをしっかり決めてから、どう動けばいいか考えてから歩くのが、プロットを中心にした物語展開。
より良い物語にするには、当然プロットを作るべきだろう。
難しい事を考えずに、書くことをただ楽しみたいのであれば、会話中心の物語展開も悪くはない。
だが、作品の質を向上させたいと思った時、いずれ会話中心を卒業する時が来るかもしれない。
そのときには、会話からプロットへと、物語展開の中心を移行させる感じで行けばいいと思う。
会話だけじゃ描ききれない部分を、会話以外で描けるようになってきた。でもそうなると構成に不安が出てくる。
構成を良くするにはどうしたらいいかというと、やはりプロットを考えながら、並びや要素、配分を決めていくことになる。
会話だけで書いている分には、構成に悩まず気楽にいることも可能。
だが作り込む喜びに一度気づいたなら、恐らく会話のみの世界に戻ることは難しいだろうと私は思う。