はらぺこどくけむし
A「ヒュゥー……ヒュゥー……オハヨーウ」
B「C、何か変な人がいるよどうしよう」
C「……春だからしょうがない」
B「別の道からいこうか。そう言えばAが来ないな……いつもなら奇声をあげながら草むらから飛び出してくるのに」
A「Aダヨー……アイアムAダヨー」
B 「Aの肌の色は肌色ですよ。少なくともあなたみたいに紫色じゃないです」
A「膝にどくばりを受けてしまってな……」
C「……今日は解毒剤を使いきってしまった……申し訳ない」
B「色々とつっこみたいけどA 大丈夫なの? この前毒で死んでたけど」
A「ああ、ビードルのどくばりだからな。最近のポケモンは残りHPが1になると毒は消える……ゴボォウァオッ!! ヒュゥー……毒はきれいさっぱり消え去ったぜ」
B「二リットルぐらい血吐いたー!! 体も真っ赤でむしろさっきよりヤバそうなんだけど!?」
A「せっかくだから俺はこの赤の体を選ぶぜ」
B「砂嵐吹いただけで死ぬ状態で何言ってるんだこいつ……それより件の危険生物はどうしたの?」
A「なんとか振り切ったぜ……ヘヘッ……ヤツもここまでは追ってこねえだろうよ……」
B「立った! フラグが立った!」
C「……あっ」
キシャー……キシャー……フシュルルル……
B 「なになに……!? A ー! 後ろ後ろー!!」
A 「ん? なんだって?」
B「なにこんな時に主人公特有の難聴スキル発動させてんだこのたわけが!!」
キシャー……ドクバリッ
A「いやまだモスキート音聞き取れるし難聴じゃな」ザクッ「エンッ」ドサッ
C「……死亡確認」
B 「恋愛パートなんか今後一切ないのに無駄な要素持ってるから……」
シャー! シャー!
C「……はい……ポケモン図鑑」
B「それがポケットの中にあるのはおかしい」
C「……おととい白衣に短パンのおじさんにもらった」
B「怪しい人から物をもらわないようにしようね……どれどれ」
ビードル けむしポケモン
森や草地に多く生息。頭の先に五センチぐらいの毒針を持つ。
毒を用いて相手をじわじわとなぶり殺しにする。肉食。
B「二行目こええー!! こんなんがそこら辺の草むらにいるのに10歳の子供を単身旅立たせる母親正気じゃないよ!!」
C「……ライオンは……わが子を谷に突き落とす……」
B「谷どころかグランドキャニオンでしょこれ!?」
オレ……ニンゲンクウ……ニンゲンクッテソノチカラテニイレル……
B「つぶらな瞳ですごい怖いこと言ってる!? それでもCなら……Cならきっと何とかしてくれる……」
C「……素手で毛虫をつぶすのは……ちょっと……」
B「ちくしょうこれは納得せざるをえない!!」
ドクバリッ ドクバリッ
C「……Aの死体を盾にしよう」A「」ザクザクッ
B「えげつねえな……Cは何か武器持ってないの?」
ドクバリッ ドクバリカラノドクバリッ ザクザクザクッ
C「……毎週火曜は……徒手空拳デー」
B「知らんがな!」
マズハドクバリ! オイウチノドクバリ! ソシテトドメノドクバリダッ! ズガガガガガッ
B「このままじゃ防戦一方だ、何か武器を……」
C「……武器ならできた」
B「えっ」
C「……魔剣……苦偽罰吐」
B「それAだよね!? 全身にまんべんなく毒針刺さってるAの死体だよね!?」
C「……剛の秘打法……破竹……!」ブォン!!
ドグチアッ ビャアアアアア
B「うわあ……血が緑色でグロい……」
C「……服についた……かぶれそう」
B「すぐ洗った方がいいよ」
A「」死~ん
B「うーん……この禍々しいサボテンどうしよう」
C「……一緒に洗って干しとこう……たぶん生き返る」
B「たぶん生き返るよね」