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プロローグ:参上! 魔法少女チイ

 商店街のちょうど中心部にある噴水に、わたしは降り立った。

「魔法少女チイ、ただいま参上!」

 そして、街の平和を脅かす存在に向かって、声を上げる。

 悪を討つ正義の登場を、全力で知らしめてやるためだ。

 前に知らせないで、後ろからこっそりと奇襲をしかけたら卑怯だぞ! って怒られたし……まあそれはいいか。

 声を張り上げた時に、両手に持っているトンファーを振り回してポーズを決めるのも忘れない。

 やっぱ魔法少女の登場はこうじゃないと。

 魔法少女チイ。

 それがこの街を守る正義の使者、わたしの名前だ。

 服装も名前どおり、このままアニメとかに出ても違和感がない、まさに魔法少女と呼ばれるに相応しい格好になっている。

 メインカラーは、可愛らしい薄めのピンク。淫乱言うな。

 形状としては、動きやすいよう半そでミニスカートのドレスを下地に、胸にはハートをモチーフにした形の胸当て。

 両肘・両膝には同じくハート型のプロテクターがついている。

 腰には桃色の宝石が止め具部分に付いたベルト。

 スカートは短めでヒダが多く、わたしが動くたびに揺れてる。

 というか短いため痴女かと疑われそうなくらいにスカートはめくれてしまうのだが、中にはちゃんと黒いスパッツを穿いている。問題ない。

 隠していると言えば、顔もゴーグルのようなもので隠してある。

 ……正直、この格好を始めに見たときはダサいとは思ったんだけど。

 しかし最近はそれに慣れてきた。

 今はもうそれも気にしないで……むしろ思い切り開き直って思い切り決めポーズを取っている。

「現れたか、魔法少女チイ!」

 わたしの姿を認めて、諸悪の根源、町の平和を脅かしている張本人が忌々しげにわたしの名前を呼んだ。

「あんたの悪事もここまでよ、魔法少女サラ!」

 それに応じるように、わたしもそいつの名前を呼び返してやる。

 魔法少女サラ。それが諸悪の根源の名前だ。

 服装のメインカラーも紫と、いかにも悪、って感じの色をチョイスしている。

 服装も、魔法少女サラのはまさに魔女という感じのものだった。

 暗い紫色のローブをマントのように羽織って、その胸元には憎たらしいほどの大きな胸が……もとい(いやそっちも胸囲が絶賛成長……予定なわたしとしては気になるんだけど)、胸元にはこぶしくらいの大きさがある紫水晶が、止め具とともについていた。

 頭はフードで覆われており、さらに顔は薄紫のベールで鼻の下くらいまで隠している。

 正直、素顔はまだ拝んだことがないというのが本音だ。

 まさに怪しい魔女という表現がぴったりな、街の平和を脅かす存在。それが魔法少女サラだった。

「ふん、止められるものなら、止めてみな!」

 言いながら、魔法少女サラは5枚のタロットカードを掲げる。

 その瞬間、フードをかぶった5人の剣士がわたしを囲うように出現した。

 魔法少女サラの魔法だ。

 タロットカードから『化身』と呼ばれる使い魔を呼び出し、使役する。

 それがわたしの宿敵、魔法少女サラの戦い方なのだ。

 ま、この程度の数だったら、わたしの敵じゃないんだけど。

 それを見せ付けてやるべく、わたしは噴水から飛び降りると同時に、正面にいた剣士をトンファーの一突きで倒す。

 さらにそのまま、他の4人の斬撃を避けたり、トンファーで受け止めたりしながら、一人一人確実に打ち据えていった。

 こんなザコに、今更手こずるようなわたしじゃない。

 3分と掛けずに、魔法少女サラが呼び出した化身たちを殲滅してやった。

「次はあんたよ、魔法少女サラ」

 くるくるっとトンファーを回してからピタッと止め、そのまま魔法少女サラを指して(うん、決まった)、わたしは得意げにそう言い切った。

 しかし魔法少女サラも不敵な笑みを浮かべたままだ。

「小手調べの小アルカナの化身を倒したくらいでいい気にならないことね、魔法少女チイ。アタシの本命、大アルカナのチカラを見せてあげるわ!」

 勢い良く、先ほどよりも一回り大きいカードを掲げて、そう言った……いつも思うんだけど、大アルカナって物理的に小アルカナより大きいカードのことじゃないよね?

 そんなどうでもいい考えを振り切って、わたしは魔法少女サラのカードに意識を集中させる。

 トンファーを握る手にも、チカラが入る。

 魔法少女サラの言うとおり、本当の戦いはここからだ。

 わたしこと魔法少女チイと、魔法少女サラ。

 倉太町くらふとちょうを守るための戦いは、まだまだ終わらない!



続く。



次回予告

・普通の中学生、宇井知衣うい ちいの前に突然、謎の男が現れる。

 男は『私と契約して、魔法少女になってください』と知衣に頼むが……?

 次回、001話。チイと謎の男

 ご期待ください!

というわけでプロローグでした。

お楽しみいただけたでしょうか。


誤字脱字らしきものや感想など、ひとことでもいただけたら幸いです。

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