22話 次の朝へ
更新おそくなりました。
最近とっても忙しい。
すいません…言い訳っす。
武道大会二日目も無事に終了。
観客も今日の試合に満足がいき、次の試合はどういったものになるのだろうかという期待の表情を浮かべながらコロシアムを出て行った。
そうして皆がそれぞれこの武道大会の為に借りたといっていいこの街の宿に戻っていく。
勿論それは試合を終了した選手当人達も同様であった。
「取りあえずは二回戦まで突破か」
「三人ともいい試合だったぞ」
試合の終わったカーラ、ヤマト、スレイに労いの言葉をかける仲間たち。
実際参加した三人全員が未だに本選に残っているのは異常である。
「しっかし、まさかスレイ魔道具を持ってるなんてな」
「ははは、あれは俺の自信作だ」
「…………確かに凄いものだった」
スレイ自身正確にではないが、あれがかなり貴重な魔道具であることは分かる。
それを自分に渡してくれた事に感謝しつつ、次の対戦相手の事を考える。
「……次の相手は多分強い」
「スレイの次の対戦相手って誰でした?」
「確か、なんか怪しい面をつけた男じゃなかった?」
ローラの訪ねに胡散臭そうな表情でりりーは相手を思い浮かべる。
(……あいつか)
その時一瞬だけヤマトは顔を顰める。
ヤマトの頭の中にあの白い面を被った男が映った。
だが、皆には余計なことを勘ぐられないようにすぐに表情を戻した。
「確かに強いけど、スレイも強いだろ?」
「そうですね、あの魔道具に入っている雷鎧は強力な魔法です。あれを加えればよっぽどの相手でもない限り相手取れると思います」
(――そのよっぽどの相手かもしれないけどな)
ラーシアの言葉にヤマトは内心でそう思う。
相手は自分を追いつめたあの男だ。
スレイ程度の実力ではどう足掻いても勝てるものではないと心のどこかではそう思ってしまう。
「どうしたのよ、ヤマト?」
「え、ああ、なんでもない」
「そうですか? 表情が優れないみたいですけど」
どうやら隠そうとしていても完全には隠せないようだ。
自分はまだまだだな、と心でつぶやきながらヤマトは「疲れただけさ」と答える。
「それにしては疲れた素振りは見えないが」
「そういうカーラさんもだろ」
スレイはまだ、まともに試合をしていたが、この二人はまた別だ。
カーラは一回戦、二回戦共に瞬殺。
ヤマトも周りが理解に及ばないような魔法を使い、一回戦はカーラと同じで瞬殺。
二回戦など最早戦いなんてものではない、あんなものはただの遊びである。
「まあ、次からが本番だな」
「ああ、毎年三回戦からは一組ずつの試合になるんだが、その分試合のレベルが格段に上がるからな」
カーラの言うとおり、明日からは試合は一組ずつ行われる。
さらには人数も残り八人。
ここまで残った者は皆精鋭の為にやはり試合も一層見どころがあるものと化す。
「取りあえず今日はゆっくり休むとするよ」
「それがいいだろう。私も身体を十分に休める予定だ」
「カーラさんは必要ないと思うけど……」
ヤマトの言葉に皆が頷く。
正直カーラならばあのまま連戦でも余裕そうであった。
「さて、なんだかんだで宿に着いたし、それぞれで休むか」
そうしていつの間にか宿に着いていた。
ローラたちもヤマトと同じ宿に移っているので目的地はここで一緒だ。
全員はそれぞれ宿に入り、自分たちの部屋に戻っていった。
★★★
「明日はどう?」
「はてさて、向こうがどのように来るかですな」
ここはフィーリア王国の王女一行がこの武道大会だけの為に訪れているカルーラ城。
その城には綺麗に管理された中庭があり、そこでフィーリア王国の騎士ザクロが上半身に鎧ではなくシャツを着て鍛錬を行っていた。
それをそばで見ているのは第一王女のセリーナである。
「相手はまず魔法で中距離もしくは遠距離での戦いに持ってくるでしょうな。だからこそ、こちらはそれをさせる前に距離を詰めなければなりません」
「考えてるのね。でもかなりの強敵とおもうわよ?」
「もちろん油断はしませんよ」
セリーナはこちらの言葉に返答を送りつつも鍛錬に集中するザクロに頬を緩める。
根っからの真面目人である彼だが、今日の鍛錬の気合の入れ方はいつも以上の気迫を感じる。
どうやらあの黒髪の青年を相当に意識しているようだ。
だが、初めて会ったときに見せた膨大な魔力と今まで見せてきたその実力の片鱗は確かに油断ならない。
武道大会の主催国であるフィーリアの中でも随一の実力と言われているザクロとしては情けない試合は出来ない為に相手がどのような敵だったとしても負けるわけにはいかないのだ。
「鍛錬しすぎると明日に響くのではないかしら?」
「いえいえ、このくらいがちょうどいいのです」
いい汗を掻いたとばかりの表情をするフィーリア王国最強を誇る騎士。
その様子にセリーナが少々の苦笑いを含ませる。
本選に生き残っているのはどれも強者ばかりである。
しかもその内の二人、黒髪の青年と面の男は今までにない最高のダークホースとして観客の間ではかなり噂となっている。
今回の武道大会は予想以上に盛り上がりをみせるものとなっていた。
国としてはやはりここで勝ち上がり、その実力を誇示したいものである。
「さて、自分はこの辺で上がります」
「そうね、あんまり気合を入れすぎるのは感心しないですし」
二人は城の部屋に戻っていく。
双方が明日の三回戦及び準決勝を頭に思い浮かべながら。
★★★
「今日は中々楽しめたの」
「そうですね。今武道大会はとても盛り上がっているようです」
同じくフィーリア王国より客人として借りているカルーラ城のとある一室。
その一室とはとても言えない広さの部屋を借りるのはガラン皇帝ルリア率いるその近衛騎士達。
その中でルリアはゼウスと今度の武道大会について語り合っていた。
「まあそれもそうじゃろうな。噂のダークホース二人にかなりの注目がいっているし」
「このまま勝ち進めばどちらもどこかしらの国に勧誘されましょう」
「ヤマトはどこかに使えるような気はないようにみえたのじゃがの」
手元に置いてある割と高級な菓子を口に運びながらルリアは思い浮かべる。
ルリアは武道大会開始の前日にその噂のダークホース二人に会っている。
双方が只者でないオーラを出していて、面の男の方はゼウスと互角に戦えそうであり、ヤマトの方は尋常ではない魔力を保有し未だ成長段階ときたものだ。
どちらも国としては手元に置いておきたい存在であろう。
「私から見てもそのような感じがしました」
「じゃろうの」
無表情のまま言われた言葉にルリアも肯定する。
あの二人がどこかの国に仕えることはほぼないに等しいと思われる。
「さて、勝ち上がってくるのは誰じゃろうな。今年の武道大会は退屈しそうになくていいのじゃ」
ルリアは笑う。
それは期待ゆえに。
圧倒的な試合程つまらないものはない。
互いがお互いの力すべてを出し合い最高の勝負を魅せる。
それが本来の武道大会の楽しみだ。
今の今まではあまりにあっけない勝負が数回あったが、明日からはそれも変わってくるだろう。
それを考えると胸が躍る。
ルリアは早く明日にならないかとばかりに睡眠の準備に入り始めた。
★★★
「いよいよ明日ですか」
「そうだね」
宿の屋根に密会の為に集まっているのは三人。
それは面をかぶった男とその従者である黒フードの人物二人である。
上を見上げれば数えきれない数の星が瞬き、月光が彼らを照らしている。
冷たい風に黒フードを靡かせる。
「“黒の民”……探すのに苦労したものさ」
「本当、こんなに時間がかかるなんて思わなかったよね」
「ですが、遂にこの地で見つけました」
三人の雰囲気が深刻なものになっていく。
それは長年探し求めたものが見つかったからである。
「さてさて、彼が一体何を成そうというのかは知らないけどさ、見つけた以上放って置く事は出来ない。まあ明日にその実力を見せてもらおうかな」
「それで手に負えない場合はどうしますか?」
「……全力を持って潰すさ。必ずね」
瞬間、面の男の周囲に強烈な殺気が、プレッシャーが放たれた。
今三人の黒ローブが大きく揺れたのはおそらく風の影響ではないだろう。
そのプレッシャーを受けたものならば必ず感じるはずである。
この三人がいかに大きいものを背負っているかを。
明日に順当に勝ち上がればあの黒髪の青年と当たるはずだ。
あくまで順当に勝ち進めばだが。
「約束は果たすさ」
面の男のくり抜かれた瞳の部分から薄い赤色の光が瞬いた。
★★★
「明日もこの調子で勝つかね――」
部屋に帰ったヤマトはベットに寝転がりながらゆっくりと瞳を閉じる。
そして段々と眠気が襲ってきて、結局はそれに身をゆだねた。
それぞれの夜が終わり次の朝がやってくる。
皆が各々の思いを胸に朝を迎える。
こうして武道大会二日目の夜が過ぎ、三日目が訪れていった。
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