2話 愉快な仲間たち
出来るだけ明るい物語にしたくて愉快なキャラを出したいのですけど……難しいですね~。
という訳で三話目です。
セラとアルが出て行った後、ヤマトはベットに横になった。
そして今しがたにあった二人の事について考える。
「セラもアルも良い人そうだ……。まあ記憶がなくてもなんとかなるかな?」
ヤマトは記憶を失った身としては楽観的な事を口にする。
しかし、それは現実逃避ではない。
先ほどの声の時からヤマトは誰かに視線を向けられているような気がしているのだ。
しかし、それは気分を害するようなものでなく、むしろ暖かい視線で見守ってもらっているような…そんな感じであった。
だから、記憶がなく、知らない人物に頼るという今の状況にもそこまで不安に思ってなかった。
(少しずつ記憶が戻ればいいかね~…………ん?)
そんなことを考えていると…部屋の外から慌ただしい足音がこちらに向かって来た。
何事かと思い、慌ててヤマトは身体を起こし、扉の方に目をやる。
そして扉が勢い良く開いた…。
「ピチピチのお姉さんはここかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「……………………」
――開口一番に何言ってんだよ……?
扉を蹴破るや否や、訳の分からない事を叫ぶその少年にヤマトは心の中でツッコむのだが、こちらを見ては膝を就き、絶望にうちひしがる少年を前に言葉は喉から口にかけては出なかった。
「バカな…………。お姉さんじゃ……ない……」
(――お姉さんじゃなくて悪かったね……)
「あんた馬鹿でしょ」
目の前の出来事に同様を示しているヤマトの横目で、絶望している少年に一瞥して入ってきたセラは肩までの赤い髪を払いながら、こちらに向かって「気にしないで」と視線を向ける。
その視線は冷たいものであったが。
「この馬鹿はザック。まあ馬鹿ザックとでも呼べば良いわ」
ザックと呼ばれたその少年は茶色の髪に赤のバンダナを巻き、セラと同じく茶色い目をしている。
格好は革のズボンに黒のジャケットを着ていた。
そんなザックはセラの言葉に反応してムッとなり、言い返す。
「な……。俺のどこが馬鹿なんだよ!!」
「――――逆にだ、人が倒れて居たから連れて帰ってベットに寝かせている、と言われただけなのに『なに!?お姉さんが!!?』などと叫んで真っ先に部屋に乗り込むお前のどこが馬鹿じゃないんだ……?」
そう言って部屋に入ってきたのは、短い銀の髪と瞳を持つ、ザックとは違って落ち着いた雰囲気の少年だった。
そのまま少年はザックの下まで歩み寄っては腕を組んで冷めた目でザックを見下している。
「ザック君……。倒れていた人の部屋にいきなり押し入るのはよくないと思うよ……?」
「フィーネちゃんの言うとおりだよ……」
「ザックはもう少しおとなしくできないかな~……?」
そんな銀の髪の少年に続いてフィーネと呼ばれた少女を筆頭に三人の子どもが部屋に入ってきた。
最初に入ってきたフィーネは茶色のワンピースを着ていて、明るい緑の長い髪をしている。
そしてそのエメラルドグリーンの瞳は引き込まれる程に綺麗な色をしていた…が…。
「あ……うぁ……」
「…………?」
ヤマトは首を傾げた。
なにせその少女が泣きそうな顔でヤマトを見ているのだ。
「……? え~と……。どうかしたのか?」
「……ひゃあ!」
突如可愛らしい悲鳴を上げ、一番最後に入ってきた水色の髪の少女の後ろに隠れた。
――俺……何かした……!?
ヤマトが呆気に執られているとフィーネに盾にされた少女が口を開いた。
「ごめんね~。フィーネはかなりの小心者で……。多分初めて会う君に戸惑ってるんだよ。まあすぐ慣れると思うよ。ちなみに私はソラ。よろしくね!」
ソラというその少女はフレンドリーにヤマトに接してくれた。
その容姿は透き通るような肩まで掛からないくらいの水色の髪と瞳をしていて、白い衣服に水色のスカートを履いている。
ソラの説明を受けて、ヤマトはこの水色の瞳と髪を持つ少女の言葉に納得した。
確かにこのフィーネという少女は部屋に入る時もどこかオドオドしていたのである。
「俺はヤマト。こちらこそよろしく」
ソラはフレンドリーにヤマトに自己紹介をしたので、ヤマトもそれに快く答える。
ヤマトとしてはソラに親近感を覚える事ができた。
「ヤマト君……。僕はロイ、その……よろしく」
フィーネ程では無いにしろ、オドオドしながらヤマトに自己紹介するのは、金髪に碧眼を携えた可愛らしい顔の少年。
茶色いブカブカのローブを羽織っている。
その容姿は間違いなく美少年で、一歩間違えれば美少女にも見える程であった。
「ああ。こちらこそ」
ヤマトがそう答え、ロイは照れたのか頭をかく。
この時ヤマトが「うお、かわいい……」と心の隅で呟いてしまったことはここだけの話である。
一瞬でもそんなことを思ってしまったヤマトは自分を殴りたくなった。
あまりの恥ずかしさに赤面しながら、顔を横に向けてしまう。
その時、ヤマトは目を見開く。
そこにはロープで縛られているザックの姿が……。
「…………。なにがあったんだ……?」
顔を引きつらせながら首を傾けるヤマト。
それに反応した銀髪の少年は答える。
「こいつがうるさいんで縛っておいた。まあ気にするな。いつものことだ」
――いつもなのか……?
驚きながら苦笑するヤマトに銀髪の少年が話しかけた。
「俺はサイ。まあなんだ……。柄じゃないがじーさんが自己紹介しろとうるさいんでな」
短い銀髪を持つ少年は上下共に黒い衣服に身を包んでいる。
そんな少年は実に素気なく自己紹介をしてきた。
ヤマトは最初、「照れてるのか……?」とも思ったが、面倒くさそうな態度から本当に仕方なくなんだと頷ける。
その時白髪の老人が部屋に入ってきた。
それは勿論にヤマトを拾ってくれた人物であるアルであった。
アルが部屋に入ると子供達を一通り見渡して頷いた。
「一応、自己紹介は全員終えたよう「俺がまだだぁぁぁぁ!!!」……ザック、もうちっと静かに出来んかのう……」
アルが溜息をついた。
「確かにうるさい……」と苦笑するヤマトにザックが改め紹介した。
「俺はザック! 夢は綺麗なお姉さんと結婚すること!! ついでに最強の武道家になること!! よろしくな! ヤマト!!」
「そっちがついでか!?」
思わず漏らしてしまったヤマト。
正直に言えばセラがザックの紹介をしていたし、今の一連で大体どんな人物かも分かった。
要は、別に自己紹介いらないんじゃないか、という事である。
しかし、ザックはそんな事も考えず声を大にして部屋に響かせる。
その様子に全員からザックに対する呆れの溜息が漏れた…。
「まあ……これで紹介も終わったし。修業の時間にするかのう」
「修業?」
場の空気に堪り兼ねてアルが言った言葉にヤマトはハテナマークを浮かべる。
「そうか……。ヤマトには言ってなかったのう……。わしは冒険者を育てるための師範をしとるんじゃ。少し見てみるといい」
アルはそのまま子供たちを引き連れ、部屋の外に出る。
冒険者という言葉に興味を持ちながら、ヤマトは7人の後を追ったのだった。
読んでいただきありがとうございます。
次回は「魔法の存在」です。
まあ、まだヤマトは使えませんが……。
一応あるよみたいな感じです。




