1匹目
初めてかきました
未熟な点もございますし、読みにくいとも思われますが読んでくださったら幸いです。
むかしむかしでもないおはなし。
3匹の怪獣のおはなし
あるところに1匹の怪獣がいました。
その怪獣は大きな体に大きな口、大きなおめめを一つもっていましたが彼には手も足もありません。
まるで大きな大きなナメクジの様な姿でした
その上彼は優しい怪獣だったので、お仕事で子供の夢に出かけて行っても子供たちの泣く顔を見るといつも悲しくなってしまって怪獣も一緒に泣いてしまうのです。
そんな彼を周りの怪獣達はいつも馬鹿にします。
あいつはなんて醜い怪獣なんだろう!
手もなければ足もない!そのうえ性格さえもどんくさい!
子供一人泣かせられないなんて笑ってしまうよ!
1匹の怪獣はその自慢の大きなおめめからいつもいつも涙を流していました
ひとりぽっちで震えていました。
そんなある日、1匹の怪獣は小さな小さな女の子と彼女の夢の中で出会いました
今日こそは頑張るぞう!っと意気込んで小さな小さな女の子を脅かしました
彼女は小さな小さな体に似合わない大きな声できゃあと叫びました
シメシメと思った怪獣はもっと怖がらせてやろうと、大きなお口を一杯に開けて一際大きな声で叫びました。
女の子はとうとう大声をあげて泣き出してしまいました
最初のうちは小躍りしてしまう位嬉しかった怪獣なのですが、女の子がとても悲しそうに泣くので怪獣もだんだん悲しくなってしまいました
怪獣は女の子にごめんね、ごめんね、と言いました
だけども女の子は泣きやんではくれません
怪獣はこんな時、僕に無いものがあったらよかったのにと思いました
もしも手があったらこの子の頭を撫でてあげれたのかしら?
もしも足があったら面白い踊りを見せてあげれたのかしら?
もしもおめめが二つあったら怖がらせなかったのじゃないかしら?
怪獣の頭の中は”もしも”で一杯になってしまいました。
そしてとうとう怪獣も女の子の隣で泣いてしまいました
女の子は怪獣がシクシクと大きな一つしかないおめめで泣くものですから、びっくりして怪獣を見つめました。
それでも怪獣は悲しそうにシクシクないています。
女の子は勇気を出して怪獣に言いました。
「なんでそんなにないているの?」
怪獣は相変わらずシクシクと泣きながら言いました
「僕はみんなと違って足りない所ばかりなんだ」
女の子は頭をかしげて言いました
「何がたりないの?」
怪獣は大きなお口で言いました
「手と足ともう一つのおめめが足りないのさ!」
じっと女の子は怪獣を見つめて言いました
「でもあなたには大きなお口があるじゃない、きれいな大きなおめめがあるじゃない」
「それにあなたは今まで夢に出てきた怖い怪獣と違ってとても優しいわ」
怪獣はポロリと一粒涙を流しました。
「怪獣さん、あそびましょうよ」
女の子は可愛く笑っていいました、怪獣の涙もすっかり止まってにっこり笑顔になりました。
そのあと二人は女の子の夢が覚めるまで一緒におしゃべりしていました。
それはとてもとても楽しい時間でした
女の子の夢が覚め、怪獣も自分の世界に帰ってきました
またおしゃべりをしようねと約束をして帰ってきました
しかし子供を脅かせず、その上楽しく遊んできた怪獣を待っていたのは厳しい現実でした
怪獣は出来そこないの怪獣として新しく作り直されることになってしまったのです。
きまるやいなや怪獣はぐるぐると縄で縛られて他の怪獣たちに工場へと連れていかれました
さすがにいつも怪獣を馬鹿にしてくる他の怪獣達も同情と憐みを込めた瞳で怪獣を見つめています。
怪獣はおおきな一つしかないおめめでジッと見つめ返しました
工場につくと怪獣たちを作ってくれたおばあさんが言いました
良いかい?出来そこないの怪獣よ、お前はいまから生まれかわるのだよ。
身体をどろどろに溶かして新しくまた拵えてやるからね。
なんにも怖いことはないさね。お前さんを素敵な怪獣にしてやるよ。
怪獣はおばあさんの言葉を聞いて言いました。
次もまた僕につくってねと言いました
しかし怪獣はおばあさんの返事を聞くことなく、大きな大きな釜の中へ投げ飛ばされました
ザブンッと大きな音がして怪獣の体は釜の中に沈んでいきました
どろどろと怪獣の大きなナメクジの様なからだが溶けていきます
自慢だった大きなお口や、女の子にほめて貰った大きなおめめもどんどん溶けていきます
怪獣は思いました
こんど新しく僕が僕になったなら
また女の子に会いに行こう
もしも新しい僕に手があったら手をつなごう
もしも足があったらかけっこをしよう
もしもおめめが二つあったら怖がらせたりなんてしないよ
そしてもしも新しい僕が今の僕のままだったら
また一緒におしゃべりしようね。
怪獣は小さく涙を一粒零しました
そして怪獣は2度と同じ怪獣になることはありませんでした