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プロローグ・生まれ変わり

女神・ジュエリエットの加護を受けて、唯一生命の源である水魔法を扱うことができるジェルザ帝国第一皇女であり、大魔導士のグレース・ジェルザ。

大陸内で絶対的な権力を持っていたジェルザ帝国だが、三年前に闇の黒魔術を操るフェイル王国に侵略される。

グレースは帝国軍の指揮官としてフェイル王国に立ち向かうが、フェイル王国の女王としてグレースに立ちはだかったのは、生き別れた双子の妹であるナタリア・フェイルだった。

グレースは自分の命と引き換えに闇を封じ込めるため、禁断の魔法を使って命を落とした。

しかし、次の瞬間グレースは産声を上げていた______


女神の加護を受けて生まれた特別な皇女ですから絶対戦争を阻止してみせる!そして次の人生では恋をするんだ。そう誓った大魔導士皇女の第二の人生が今幕を開ける。

「あら、殿下お目覚めになりましたか!」

 あぁ、赤ちゃんとは実に不便な生き物だ。このように抱っこされなければ、移動することもできない。グレースは心の中で大きな溜息をつきながらも、侍女に向かって満面の笑みを送った。皇女たるもの、自分の気持ちを優先させるべきではない。

 絹のような白銀の美しい髪に深海を思わせる深いブルーの瞳はジェルザ皇族の証である。しかしながら、さまざまな血統が混じり合ってしまい、近年ではここまで美しい髪と瞳を持つものは生まれた記録はなかったと言われている。

「さぁ、みんな殿下の身だしなみを整えましょう。皇后陛下がお待ちしているわ。」

 寝癖を整えられ、顔を拭いてもらい、グレースの祖母であり、皇帝の生母である皇太后から贈られたという薄いピンク色のベビードレスを着せられた。ここでも侍女が時間通りに準備ができるようグレースは大人しくしておく。これがなんとも苦痛ではあるが、仕方のないことだ。

 時間通りに準備を終え、これまた無駄に豪華な乳母車に乗せられ、皇后宮に到着した。皇后であるグレースの母はグレースを産んでからというもの、ずっと寝込んだままなのだ。

 皇后は丈夫な身体を持ち、文武ともに優秀な人だった。そんな皇后が寝込んでしまったのはこの帝国に古くから存在する伝説のせいであった。グレースには双子の妹がいる。同じく絹のような白銀の美しい髪に深海を思わせる深いブルーの瞳を持って産まれたが、帝国では双子は呪いだと信じられていた。多くは後から生まれてきた子どもを女神に返すとされてきたが、哀れに思った皇帝が離宮に隠すことにしたのだ。その代わり、誰とも会わず、存在が消された皇女として生きることになってしまったが。

(だけどフェイル国に拾われるだけマシよね)

 前世なら帝国を追放される運命だった妹のナタリアは後にフェイル王国を建国し、女王として帝国と戦争する。グレースは帝国軍の指揮官として実の双子の妹と戦うことになるのだ。

 グレースは自分の命と引き換えに禁断の魔法を使ったのだが、なぜか目が覚めると産声を上げていた。夢かと思ったが本当に逆行転生をしており、国外追放されそうになったナタリアを守るべく、無理やり魔法を使って阻止した。女神の加護を受けた姉が妹にも祝福を送ったと無駄に騒がれたが戦争になるよりかはマシだとグレースは思った。

「陛下、殿下をお連れいたしました」

「あぁ、グレース来てくれたのね。早くこちらへ。」

 乳母車から抱き上げてくれたお母様の顔は優しい顔をしている。それを見てグレースはホッとした。少し前まではナタリアが置かれた状況を憐んで涙を流していたのだから。大好きな母が悲しむ姿を見たいと思う娘はいないだろう。

「グレースはちゃんとミルクを飲んでいるの?」

「もちろんでございます。陛下がお持ちくださった母乳を全て飲んでおられ、足りないものは医師が準備したものを湯に溶かしてお飲みいただいております。」

「そう。最近は乳の出がいいから搾乳して届けさせるわ。それと日中はグレースを皇后宮で見ることにしたから起きたら連れてきてちょうだい。」

「かしこまりました陛下。」

(お母様が少しでも元気になられるのであれば、毎日でなくずっとここにいるのに)

「ここにナタリアもいてくれたらいいのに。」

 ポツリと呟く皇后は悲しそうに、諦めたように笑ってグレースを抱きしめた。もう誰にも取られまいとでもいうかのように。

 そんな母の姿を見たグレースは小さな手に魔力を込めた。なんせ小さな身体で魔力も十分にないけれど、正真正銘の大魔導士のため、魔法を操ることはできる。少しでも母を安心させたい。まだ見ぬ離宮にいる妹が寂しがらないように。その一心でグレースはキラキラ光るミストを放った。

「まぁ、素敵だわ!」

 今は母が笑っていてくれたらいい。私が必ず未来を幸せにするとグレースは誓ったのであった。

処女作なのでどうかお手柔らかに…

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