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神様の夜ノ傀儡人形  作者: 大嶽丸
第三章
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第三章二話前編 光の在処

一行は歩を進め、ヴィッテンベルクに到着する。

田舎とも都会とも言えない街並みは、さながらカレンダーに写された外国の写真の風景そのものだ。

軍の介入もしがらみもない久々の散策は、一行の心を癒やす。

穏やかな心で色々な傷を癒す三章二話前編です。

 音が少なかった。

 木々が風に鳴る音だけが背後から追いかけてきて、町の中ではすっと消えてしまう。


「ザクロウ村とは比較にならないくらいの都会……な感じはするけど、静かなとこだなぁ。」


 桃矢が一人呟く。


「ここはルターシュタット・ヴィッテンベルク。貴君が言うような都会ではない。」

「我々がいたベルリンのような場所が都会というのだ。」


 クーゲルがそう言うと、シュピュアが捕捉するように続ける。


「そうですね。ヴィッテンベルクは昔の街並みが残る場所……そういう土地です。」


「そうなんですね。」


 桃矢は、京都みたいなものなのかな、と考えた。


 眺めていると、この町はどこか神の気配が残っているような空気だった。

 建物はどれも古く、石と木で作られた三角屋根の家々が並ぶ。

 道の途中には、神を祀った祈りの碑や、小さな神殿のようなものもあった。

 何百年も昔からこの土地に根付いた信仰が、まだ薄く息づいている──そんな感じを受けさせた。


「ねぇーえー、ひとまず宿探そうよー。」


 トリヒターが甘えたような声で言う。


「ふむ……そうだな。」


 クーゲルの同意を得ると、一行は宿を探し始めた。

 上下関係などもうないはずなのに、なぜかクーゲルが自然と主導権を握っていた。

 だが桃矢たちは、むしろその方が落ち着くとさえ思ってい


「ずっと野宿でしたもんねー。」


 桃矢も同意を示す。

 虫や動物に邪魔されず、ゆっくり横になれること──それだけで、十分にありがたかった。


 尖った屋根の家々が並び、どの家も似たような色調で、くすんだ赤や柔らかなベージュが目に入る。

 道沿いには細い水路があり、小さな橋がところどころに架けられている。

 花を吊るした窓辺、うっすら煤けた壁に絡む蔦──人の暮らしが、あまりに自然に景色に溶け込んでいた。


 足音が石畳に落ちるたび、ひとつだけ音が増える。

 それ以外には、荷車を引く音、誰かの笑い声、パン屋から漏れる甘い匂い──それだけだった。


 一行は通りを歩きながら、宿らしき看板を探していた。

 特に誰が先導するでもなく、ただ流れのままに視線を左右に送りながら進む。

 観光案内のようなものもなく、旅人が目印にできるのは、玄関脇に吊るされた小さな木札や、扉に刻まれた家紋のような印だけだった。


 やがて、白壁に青い縁取りをした建物の前で、一人が立ち止まる。

 扉の横にGasthaus(ゲストハウス)と手書きの看板が掲げられ、軒先には花が吊るされていた。


 誰かがノブに手をかける。

 その動作はゆったりとしたもので、まるで観光に来ているようだった。

 まるでテレビの海外旅行の番組に自分が入り込んだような、そんな感覚があった。


 扉を開けると、天井から吊るされた鉄の鈴がカチン、と乾いた音を立てた。

 土間には足拭き用のマットが擦り切れて横たわり、奥には小さなカウンターと帳簿だけがある。

 古い石造りの壁には、色褪せた宗教画と、かすれた掲示文が並んでいた。


 中年の女性がひとり、カウンターの内側に座っていた。

 白いエプロンをかけ、手には帳簿──しかし、軍服姿の一団が入ってきたのを見るや否や、ペンを止め、すっと背筋を伸ばした。


 「……ご用件は?」


 声は抑制されており、咄嗟に敬語も出ないようだった。

 表情に怒りはないが、緊張と畏怖が色濃く滲んでいた。

 軍服を着てこの地を訪れる者は、旅人ではなく「命じる側」であるというのが、この時代の常識だった。


 「部屋を」と誰かが言うと、彼女は一瞬だけ帳簿に視線を落とし、手元にある鍵束にそっと手を伸ばした。

 「……はい。」

 声は小さく、返事ではなく「了解」の意思表示に近かった。


 彼女は一つだけ鍵を選び、無言で差し出す。

 小さな木片の札に数字が彫られ、金属の鍵が付いている。受け取った瞬間、部屋番号の確認を求められることもなかった。


 「食事は……午後6時、食堂で。」


 それだけを告げ、またすぐに視線を逸らした。

 恐らく、何を言えば不興を買うのか、どこまで踏み込んでいいのか分からないのだろう。

 この国の民間人にとって、軍服は法と秩序であると同時に、疑問を挟めない「命令そのもの」だった。


 鍵を受け取った一行は、口数少なく廊下を進んだ。

 床は軋むが、誰もその音に表情を変えない。

 古びた石造りの階段を上がると、うっすら煤けた天井と、幾つかの扉が並ぶ短い廊下が続いていた。


 鍵に刻まれていた番号と同じ扉の前に立つ。

 クーゲルが鍵を差し込み、静かに回した。

 内部からはごくわずかに木の擦れる音がして、古びたドアが開く。


 部屋は質素だった。

 ベッドが二台、隅には木製の小机と椅子、洗面台、裸電球。

 壁際には、小さなストーブが鎮座しているが、火は入っていない。窓には厚手のカーテンがかけられていた。

 家具の並びや布の柄からも、いかにも地方の宿、といった素朴さが感じられた。


 桃矢が一番に中へ入り、荷物を壁際に下ろす。

 床の感触は乾いていて、埃っぽくはなかった。

 バリーレはベッドの端に腰掛け、手袋を外す。

 シュピュアは伸びをすると、窓枠に両手を置き景色を眺めた。

 トリヒターは扉のそばでキョロキョロと辺りを見回していたが、やがて静かに入ってくる。


 クーゲルだけは最後まで外の廊下を見ていたが、誰かが何かを言うよりも早く、ゆっくりと扉を閉めた。


「……やっと、落ち着けるな。」


 誰が言うでもなく、自然とそう思える空気が室内に漂っていた。


 荷物を置いた後、それぞれが自然と座り込み、少しの沈黙が流れた。

 ベッドの軋む音、外から聞こえる鳥の声、そして遠くで教会の鐘が鳴った。


「ねぇ……今日の晩ごはん、楽しみじゃない?」


 トリヒターがぽつりと口を開いた。

 その声は妙に間延びしていたが、それが逆に、彼が心底楽しみにしている証拠でもあった。


「ここ、けっこう良い匂いしてたよね。受付のあたりから、なんか……スパイスっぽいの。」


「はい、そうですね。」


 桃矢も頷く。


「なんか、ちゃんとした料理、って感じがした。ここに来るまで野草と干し肉ばっかだったからな……。」


 桃矢が感傷に耽るように遠くを見つめる。


「塩味ばかりだと、舌も疲れるからな。」


 クーゲルが椅子の背に体を預けて言う。言葉の端には微かに、安堵が混じっていた。


「……それに、服も欲しいですよね。」


 桃矢が自分の制服を見下ろしながらつぶやく。


「俺ら、ずっと軍服のままだし……正直、目立ちすぎてます。」


 バリーレも頷いた。


「このままだと町の人にも警戒されると思います。少しでも馴染んでおいたほうがいい……のかな?」


「それじゃあ、街を歩いて服屋を探しますか?」


 シュピュアの提案に、トリヒターがすぐに乗ってきた。


「お散歩もできるし、ちょうどいいよ!」


 窓の外を見れば、まだ陽は傾きかけたところで、明るさは十分残っている。

 石畳の通りには人の姿もまばらにあり、ゆるやかな夕暮れの気配が辺りを包んでいた。


「少し町の様子も見ておこう。いつ何時(なんどき)何が起きても対応できるように。」


 クーゲルの言葉には、相変わらずいつものように危機管理の意識がにじんでいたが、今の空気を壊すほどではなかった。

 一同はそれぞれ軽くうなずき、部屋を出る支度を始めた。




 宿を出ると、夕方の風が肌を撫で始めていた。

 町は想像よりも穏やかで、人の気配もまばらだった。

 石畳の通りには露店の痕跡があり、昼の賑わいを微かに残している。

 建物のほとんどは二階建ての石造りで、窓辺には色褪せたカーテンが揺れていた。


 通り沿いにはいくつもの小さな店が並び、どれも控えめな看板を掲げていた。

 菓子屋、帽子店、古書店──観光地らしい雑多な風情があるが、それらもいずれも静かで、商いというよりは生活の一部としてそこに在るようだった。


 そんな中、ひときわ目立たず建つ、木の看板が吊るされた店の前で足が止まった。

 看板には「Kleidung() für() Reisende(旅人)」と書かれている。

 店構えは小ぢんまりとしていたが、軍服ではない衣類が並んでいるのが窓越しに見えた。


 ドアを押して中へ入る。

 店内は狭く、乾いた木の匂いが漂っていた。

 壁に沿って棚が並び、無地のシャツやズボン、薄手のコート、帽子などが掛けられている。

 仕立ては地味だがしっかりしており、質実剛健という言葉が似合う。


 店主らしき初老の男がレジ奥に座っていたが、彼は一瞥しただけで特に声をかけてこなかった。

 客が自由に見て回るのがこの店の流儀のようだった。


 クーゲルは黙ったまま、黒のウールコートを手に取っては、手触りを確かめて戻す。

 シュピュアは色合いを見ながら、女性用の中でも身体を動かしやすそうな服を丁寧に選んでいた。

 トリヒターはすぐに明るい色のスカートに目をとめ、それを抱えて鏡の前でくるくると回っている。

 隣のラックでは、桃矢がベージュのシャツとズボンを手に取り、組み合わせをあれこれと考えていた。


 バリーレは慎重に棚を眺めながら、落ち着いたカーキ色の上着を手に取り、内ポケットの縫製を指でなぞっていた。

 どの服も、奇抜な要素はなく、だからこそこの町に溶け込むには十分な選択肢だった。


 全員がそれぞれの手に服を持ち、会計へと向かう頃には、店の中にもようやく買い物の気配が満ちていた。


 それぞれが選んだ衣服を手に、会計台へと向かった。

 店主は特に多くを語らず、黙って布のタグを確認していく。

 シャツ2マルク、ズボン4マルク、上着が9マルク──。

 桃矢はすべてを足した15マルクを小袋から数え、手渡した。


 他の者たちも似たような額を支払い、店主は静かにそれを受け取る。

 渡された包み紙に丁寧に服を包んで差し出す手は、年季が入っていたが、どこか温かみがあった。


 買い物を終えた一行は、店を出て石畳の道へと戻った。


 太陽はちょうど屋根の向こうへと沈みかけていた。

 町全体が茜色に染まり、壁のひとつひとつが淡く光を反射している。

 通りの角にある小さな噴水には、鳥が数羽、水をついばみに降りてきていた。

 遠くの鐘楼からは、時を告げる静かな鐘の音が響いてくる。


 人通りはさらに減っていた。

 窓辺のカーテンが少しだけ揺れ、家々の中からは夕食の香りが漂ってくる。

 家族らしき影が窓越しに見え、誰かが小さなランプに火を入れる姿もあった。


 クーゲルは無言のまま歩を進め、トリヒターは紙袋を胸に抱えたまま、小さく鼻歌を歌っていた。

 桃矢は時折、視線を上げては古い街並みを見渡していた。家々の壁に彫られた文様、街角に立つ小さな聖碑、それら一つ一つが、この土地に積み重ねられた時間の重みを語っていた。


 ゆっくりと歩を進めながら、一行は宿へと戻った。

 木の扉を押して中へ入ると、暖かな空気と共に、控えめなスープの香りが鼻腔をくすぐった。


 そのまま階段を上がり、静かな足音だけを残して、部屋へと戻っていった。

 何事もない、その事実だけがいまは何よりも尊いもののように思えた。




 部屋へ戻ると、誰からともなく買った服を抱えて立ち止まった。

 しばらくの沈黙の後、シュピュアがすっと一歩前へ出て口を開いた。


「……じゃあ、あたしたち、先に着替えちゃいます?」


 "あたしたち"という言葉に含まれるのは、バリーレとクーゲル。

 もちろん、女性三人だ。


 桃矢とトリヒターは頷き合い、手にした紙袋を掴むと無言で部屋を出た。

 廊下にはまだ夕方の余韻が残る光が差し込んでいた。


「……さて、どこで待ちますか?」


「下までは行かなくていいよねー。あっちの窓際、空いてるとこあるし。」


 トリヒターは楽しげに言いながら、桃矢を促して廊下の角の踊り場へ向かった。

 どこか乙女めいた仕草だったが、彼はれっきとした男だ。

 細身の身体を軽やかに動かしながら、紙袋の中を覗き込み笑顔を作る姿は、少女そのものだった。




 一方、部屋の中では三人が手早く軍服を脱いでいた。


 シュピュアは、無地のベージュのワンピースを広げると、静かに袖を通す。

 動作に無駄はなく、慣れた所作だ。薄手のカーディガンも肩にかけ、足元はシンプルな黒靴。


 バリーレは、くすんだ青のブラウスに、紺の膝丈スカート。

 袖口に少しレースの入ったデザインが気に入ったらしい。服を整えながら、少しだけ頬が緩む。


 クーゲルは、他の二人よりも時間がかかっていた。

 無理もない、彼女は片腕しかないのだ。


「手伝いましょうか?」


 2人が気を利かせて訊く。


「結構だ。似合っているぞ貴君ら。」


 2人が嬉しそうに微笑む。


 椅子に服を一旦丁寧に置き、小さな体で苦労しながらボタンを留めていく。

 服は深いグレーのシャツと、ゆったりとした黒の長ズボン。

 飾り気は一切ないが、サイズが合っているだけで驚くほど印象が変わる。


「悪くない、想定内だ。」


 着終えたクーゲルがぼそりと呟くと、バリーレがふっと笑った。

 その笑いにクーゲルは反応する。


「ん?何か変か?……どうか?」


「いえ、クーゲルさんは変わらないですね。」


 またバリーレは小さく笑った。


 ドアが開き、バリーレが顔を出す。


「どうぞ、次は二人の番です。」


 トリヒターが先に、軽やかに廊下から戻る。


「おまたせ~♪」


 桃矢も続いて部屋に入った。

 トリヒターは嬉々として服の包みを開く。中から取り出したのは、明るいベージュのセーターと短めのコート、淡いピンクのスカーフまでついている。

 ハイウエストのフレアロングスカートも一緒に取り出すと、自慢気に表情をほころばせた。


「ふふん、見ててねぇ。けっこう似合うと思うんだぁ。」


 そう言って、彼はまるで少女のように楽しそうに着替えを始めた。


 桃矢はグレーのジャケットと白い開襟シャツ、柔らかい生地の黒いスラックス。

 地味だが清潔感があり、軍服よりはるかに穏やかな印象を与える。


 着替えながらふと、壁際に立っている姿見に目を向けた。

 今の自分たちは、ようやく「普通の人間」に見える気がした。


 準備を終えた五人が部屋に集まった。


 軍服の陰はどこにもなく、皆が少しずつ柔らかい雰囲気を纏っている。

 夕食前の、ささやかだが貴重な変化だった。


「じゃあ、行きましょうか。」


 シュピュアが先に立ち、クーゲルが頷いてドアを開ける。

 灯りが灯り始めた宿の廊下を、彼らは静かに歩き始めた。

 今宵は、ようやく"客"として食卓に座れそうだ。




 廊下に出ると、すでに夜の気配が静かに染みていた。

 階下からは微かな物音と、食事を終えた客が立てる足音が時折聞こえる。


 板張りの床は僅かに軋み、壁には古びたランプが等間隔で取り付けられていた。

 ガラス越しの火が、ゆらゆらと橙の光を吐いている。

 軍服を脱いだことで足取りも軽くなり、一行は宿の一階へと下っていった。


 「Speisesaal(食堂)」の札が掲げられた重い木の扉を、バリーレが軽く押すと、中から温かい空気と、香ばしい匂いがふわりと漏れ出した。


 食堂はそれほど広くはなかったが、落ち着いた空間だった。

 蝋燭の灯火が卓上に揺れ、壁際に備え付けられたオイルランプがその補助をしている。

 光と影のコントラストがやさしく室内を包み、客の話し声は抑えめで穏やかだった。


 案内などはなく、空いている席に座るのがこの宿の作法らしかった。

 数組の宿泊客がすでに食事を始めており、一行は窓際の四人掛けのテーブルと、

 隣の小さな一人席を選んで腰を下ろす。

 無言のまま自然に、誰がどこに座るかが決まっていく。


 しばらくすると、給仕の女性が静かに近づいてきた。

 無言で目配せを交わすと、手に持った木盆から一皿ずつ丁寧に料理を配り始める。

 どれも温かく、そして香りが良かった。


 本日の夕食は、豚肉と香味野菜の煮込みに、バターと香草を添えたジャガイモのマッシュ、

 それにライ麦のパンが添えられていた。


「わあ……ちゃんと“ご飯”って感じがする!」


 トリヒターが目を輝かせる。


「これは……いい匂いですね。」


 桃矢も思わず背筋を伸ばした。


「味に文句をつける気はないが……。」


 クーゲルはパンをちぎって口に運ぶと、小さく頷いた。


「……塩加減が適切だ。」


 その言い草に、バリーレがクスッと笑いながら返す。


「適切って……もっと素直に『美味しい』って言えばいいのに。」


「そうですね、適切というか、素朴で美味しいです。」


 シュピュアも頷き、陶器のスプーンを煮込みに差し入れる。


 次第に、会話は静まり、あとはスプーンと皿が触れ合う音や、

 パンをちぎる小さな手の動きだけが続いた。


 蝋燭の炎が、ほんの少し風に揺れるように明滅する。

 あたたかい料理が、身体の芯にしみていく。

 それは、戦場でも任務でもない、“普通”の夜だった。



 食後、部屋へ戻ると、誰からともなく深く息をついた。

 灯りは蝋燭のままで、部屋の隅に置かれたストーブが静かに火を揺らしている。


 トリヒターがコートを脱ぎ、バリーレがベッドに腰を下ろす。

 シュピュアがカーテンを引き寄せて外を見て、クーゲルは無言のまま軍靴を脱いで隅に置いた。


「……そろそろどうするか決めますか。」


 桃矢がぽつりとつぶやいた声に、皆が顔を上げる。

 視線が自然と、二台のベッドへと集まった。


「……二つだけだもんねぇ。」


 トリヒターが口を開く。

 桃矢もベッドの幅と枕の数を数えたあと、小さく肩を竦めた。


「どうしようか、ダブルサイズみたいだから1つに2人が限度ですかね?」


「野宿じゃないし、全員床って事はとりあえずなさそうですけどね。」


 シュピュアが言いながら、ストーブのそばに毛布が追加で置かれていないか探すが、何も見当たらない。


「困りましたね、どうしましょうか…。」


 バリーレが呟くように言った。

 桃矢は考える仕草をする。


「どうせ狭いなら、ベッドくっつけません?こう、横に並べて、三人で寝るんです。」


 シュピュアがぽんと膝を打って言った。


「……寝にくいとは思いますけど、詰めれば全員いけると思うんです。頭と足を交互にしたりとか、工夫したり……。」


「それなら、いけそうかも。」


 トリヒターが頷き、桃矢も無言でうなずいた。

 バリーレが動き出し、ベッドの脚を少し持ち上げて横へ寄せた。


「これで幅が増えましたね!」


 ぎし、と木の軋む音がして、二つのベッドがぴたりと並ぶ。

 誰がどの順番で寝るか、皆が考え始めた。


 ──そのとき。


 クーゲルが静かに、床へとしゃがみこんだ。


 そのまま、左腕を枕代わりにし、横になり目を閉じる。


「あれ!?クーゲルさん何してんの!?」


 トリヒターが慌てて声を上げた。


「それは……あんまりにも……!」


 バリーレも思わず眉をひそめる。


「気にするな。過去にはもっと酷い場所で寝ていた事もある。」


 クーゲルの声は淡々としていた。


「でも、今はもう軍人じゃないんです。もう、軍の仕事は終わったんですよ。」


 シュピュアがそっと言う。

 それに対してクーゲルは、静かに目を閉じたまま答えた。


「……そうだな、いい事だ。」


 クーゲルの胸中を知る者は誰も居なかった。

 しかし、クーゲルが言った事が本心ではない、という事は全員が感じ取った。


 しばしの沈黙。


「……クーゲルさんは片腕なんですよ。」


 桃矢が口を開いた。


「そんな人が、一番寒くて硬い床に寝るってのは、俺はちょっと違うと思います。」


「では、貴君らはどこに寝る?」


 クーゲルが片目だけわずかに開いて問い返す。


 言葉に詰まる桃矢。

 彼に答えられる回答はなかった。

 クーゲルにとって、きっとまだ上官という感覚が抜けていないんだと思わされたからだ。


 言葉は無骨で無愛想な優しいクーゲル。

 いつも自分より部下を優先していた。


 彼女の心はもしかしたら、まだ軍人を辞める事が出来ていないのかもしれない。


 空気を変えるように、はたまた、クーゲルの気持ちを汲み取った為なのか、シュピュアが再び口を開いた。


「ありがとうございます、クーゲルさん。私とトリヒターが、こちら側で寝ますね。」


 クーゲルの半生は恐らく軍人だ。

 自分より小さく、そして心は大きい。

 しかし、ベッドをくっつけて、準備も整った今となってしまっては、まるで我儘な子供のようにも映った。


 しかし、ベッドを見ると、桃矢は認識を改めさせられた。

 明らかに詰めても4人分しかなさそうだからだ。


 野宿時も、診療所で快復に向かっていた時も、クーゲルは膝を抱えるようにして丸くなって寝ていた事を思い出す。

 きっと自分のせいで迷惑がかかると判断して、真っ先に異物を排除しにかかったのだ。

 ──例えその異物が、自分であったとしても、だ。


 シュピュアも優しかった。

 言いにくい事を率先して言った。

 言わば悪役になりにいくようなものだ。


 桃矢は、2人のあまりの大きさにただただ圧倒されていた。

 配慮に気付く所か、一瞬でも我儘な子供に見えた自分を強く恥じた。


「好きにしろ。」


 クーゲルはぶっきらぼうに答える。


「うん、僕はそれでいいよ!」


 トリヒターはあまりよくわかっていないのだろう。

 明朗快活(めいろうかいかつ)に返事をした。


 バリーレが続いて言った。


「じゃあ、私が桃矢さんと一緒に、反対側に──。」


 桃矢が一瞬、バリーレと目を合わせて、すぐに逸らす。

 バリーレもわずかに頬を赤らめながら、視線を外した。


 数秒後、どちらともなく、同時に言った。


「「……近いですね。」」


 その言葉に、くすりと誰かが笑った。

 クーゲルの目元も、わずかに柔らかく緩んでいた。


「貴君らも身体はいい大人だ。そろそろ前進したらどうかね。これは老婆心だが、手が触れるだけで照れているようでは、先が思いやられるぞ。」


「……精進します。」


 何をどう精進するかなんてわからなかった。

 今この場すら凌ぐ言葉がわからなかった、その場凌ぎを更にその場凌ぎしたに過ぎなかった。




「桃矢、いい加減起きなさい。遅刻するわよ。」


 遠くで母の声がした。

 音量は大きくないのに、身体に染みついている。

 日曜以外、ずっとこの調子だ。


 寝ぼけ眼の中、目が覚める。

 今日は何日だっけ……。


 遅刻するわけにはいかない、頑張って身体を起こす。

 そういえば、期末テストの結果が返ってくるはずだ。

 自己採点だと96点だったような気がする。


 不思議と随分遠くにある印象だ。


 制服に着替えると、リビングに行く。

 リビングでは、テレビが天気予報をやっていた。

 この時間の後は星座占いが始まるんだよな、などとぼんやり思った。


 テーブルを見ると、焼きっぱなしの食パンが1枚皿に乗っている。

 ジャムもバターもない。


 小さな違和感。

 今までジャムやバターがない事に対して違和感があっただろうか……。


 まぁいいや、と違和感を無視する。


 食パンを咥えると、玄関へ向かう。

 いつも通りの動きだ。


 靴を履き、外へ出る。

 前髪が少し寝癖で浮いている。

 鏡を見るのを忘れていた。

 出る直前にそんなことに気づくなんて、まるで誰も見てない毎日を続けてたみたいで、変にひっかかった。


「よー、古牙、おはよー。」


「あぁ、おはよう。」


 確かこいつは悪友で幼馴染の──。

 誰だったかな……。


 棒を持ってチャンバラしたり、一緒に外走ったり、駅前で焼きそばパンを渡された事もあった。

 こいつとはかなり長い、忘れる訳ないのに。


「なに上の空してんだよ、自分がイケメンにでもなったつもりか?好きな女子でも出来たか?」


「えっ!?そんなんじゃねーし!っていうか、互いに気になってる感じっていうか……。」


 一気に顔が熱くなる感覚があった。

 この感覚は本物だ。


「おまっ、マジかよ!俺を置いてくつもりか!?」

「どうせ俺らモテないしって、一生童貞同盟を結んだ仲だろ!?どうなっちまうんだよ!」


 ちょっと面白くなってにやけてしまう。


「まだそういう感じでもねーけど、わりぃ、同盟は解散だ。」


「くっそーまじてめぇ殺すからな、んで?誰よ?どこのクラス?俺知ってる子?」


「お前は知らないな!真っ白の肌でよ、鼻が高くて、しかもドイツ人の1歳年上だ。」


 悪友は噴き出した。

 当然だ、17歳の男子高校生に恋人らしき影が出来るだけで、彼らの心の世界を揺るがす一大事だ。

 それが、日本人でもハーフでもなく、外国人ともなれば最早かつがれてると思ってしまっても不思議ではない。


「ハッハハ!そんで?お前の妄想の彼女はどんな子なのよ?」


「妄想なんかじゃねーよ。」


 妄想と言われてムッとする。


「ソフィアさんは孤児院育ちの人で、皆のお姉ちゃんやってて、でも親に裏切られて……それでも、強い芯があって、可憐で細いのに、最高に格好いい人なんだ。俺には勿体無さ過ぎるくらいだよ。」


 どうにか、等身大の彼女を伝えようとするが、自身の説明が下手過ぎて上手く伝えられている自信がない。


「ふーん、お前がマジになるって事は、マジなのか。」


 驚いて悪友を見る。

 彼は笑っていた。


「ばーか、何年の付き合いだと思ってんだ。お前がマジな時くらいわかるっての。」

「ソフィアちゃん大事にしろよな、お前ならやれるよ。」


「あぁ、ありがとう。」


 斉藤の声も、足音も、ぜんぶ水に沈むみたいに遠ざかっていく。

 まぶたの裏から、眩しさだけがじわじわと滲んだ。


 思い出した、こいつは斉藤で、中学3年の時に、陸上で走ってる時に車が突っ込んできて──。


「なんだ、今更思い出したのか?ひっでーな、薄情過ぎだろ。」


 斉藤はへらへら笑っている。


「お前の事見守ってっからよ、ドイツ旅、頑張れよな。」


 そうだ、俺は──。




 寒さに目が覚めた。

 何かとても懐かしいような、宝物みたいに大切な夢を見ていたような……。

 ぼんやり思い出そうと考えようとして、寒さに負け毛布を鼻まで引き上げるが、顔を刺すような冷気にくしゃみが出る。


「……っ、さむ……。」


 ぼそりと呟いて身じろぐと、すぐ隣にバリーレの顔。

 寝返りのたびにぶつかるかぶつからないかの距離で、昨夜の記憶が一気に蘇る。


(……うわ、近……!)


 頭のどこかがまだ眠気でぼやけているのに、心臓だけが目覚まし時計のように正確に叩き始める。

 息を殺してそっと体を起こすと、寝ているバリーレの頬にかかる髪がわずかに揺れた。


 ──そのとき、外から冷たい風がひゅうと流れ込む。


「……寒いと思ったら、なんで窓開いてるんですか……。」


 つい口に出す。


「寝息が揃った頃に開けた。湿気が篭もると部屋に良くない。」


 と、酒に焼けた低い声が返ってくる。


 クーゲルだった。

 立ったまま窓辺に背を向け、コートを羽織っていた。


 その横で、シュピュアがカーテンを縛っている。

 こちらに気づくと、小さく微笑んだ。


「おはようございます。少し空気を入れ替えてました。」


 シュピュアの声は、朝の光と一緒に染み込んでくるような優しさだった。

 そのせいでますます、バリーレの寝顔に意識が引き戻される。


(っていうか……これ、今動いたら確実に起こす……!)


 焦って動きを止めていると──


「おい、トリヒター、バリーレ。」


 クーゲルが声を上げた。

 それほど大きくもない、けれど絶対に無視できない種類の声だった。


「陽が昇って久しい。いつまで惰眠を貪っている。」


 トリヒターが毛布の中から顔だけ出して抗議の声を漏らす。

 しばらくじっとしていたが、寒さが勝ったのか、ぴょこっと頭だけがのぞく。


「このまま布団に埋もれてたら、もうちょっと幸せでいられたのに……。」


 バリーレが顔をしかめながら寝返りを打つ。

 バリーレの寝言のような呟きが追いかけてきて、桃矢は吹き出しそうになる。


「悪いが、貴君らをずっと幸せにし続ける訳にはいかんのだ。」


 クーゲルの皮肉混じりの言葉に、トリヒターがもぞもぞと這い出てくる。


「せめて寝起きは暖かい部屋で起きたい……!」


「ならば、換気をする前には起きるんだな。ストーブがまだ仄かについていた。」


 クーゲルが淡々と告げるそばで、シュピュアがくすくすと笑う。

 その音に、朝の部屋に少しだけ“温度”が戻ってきた。


 一行は簡単に身支度を整えた。


 各々、寒さに備えて上着を羽織り、靴紐を締め直す。


 冷たい朝の空気を胸いっぱいに吸い込みながら、五人は街の通りへと足を踏み出した。

 太陽はまだ低く、石畳に伸びる影も長い。


 桃矢は数歩進んだところで、ふと立ち止まった。


「……ん?あれなんですかね?お祭り…とはちょっと雰囲気が違うな。」


 見渡す限りの路地に、人がごった返していた。

 道端には木箱や古い毛布が敷かれ、上には衣類、食器、古本、手作りのアクセサリーなど、雑多な品々が並んでいる。


「朝市か?いや、それもちょっと雰囲気が違うような……。」


 桃矢の呟きを、背後から聞きつけたトリヒターが笑う。


「知らないのぉ?フリーマーケットだよ。」


「……フリマ、ってやつか。名前は聞いたことあるけど……実物は初めて見る。」


「自分の物を勝手に並べて、勝手に売るだけの場所ですよ。店も登録もいらないの。誰でもやれるんです。」


 シュピュアが当然のように続ける。


「えっと、ある程度の規模の町なら定期的に開かれてると思います。特に週末や祭日の朝が多いかな……。みんな必要な物を安く手に入れたがるんです。」

「むしろ、売りに来てる人の方が多いんじゃないかな。私も、昔はよく並べてました。」


 バリーレが懐かしそうに言いながら、並べられたジャガイモの袋や古びた毛糸の帽子を眺める。


「売る側だったんですか?」


 桃矢が目を丸くすると、バリーレは肩をすくめた。


「孤児院には色々役目があるんです。私たちが作った物を売って、資金の足しにしたり……。お客さんと喋るのも、嫌いじゃなかったですよ。」


「……へぇ……。」


 桃矢は人混みをもう一度見渡した。

 物が並び、人が群れ、値段を尋ね、やり取りをしている──そのすべてが彼には新鮮だった。


「別に珍しいものでもない。物が余ってるなら売ればいい、誰かの余り物が自分にとっては必要な事もある。」


 クーゲルがそう言いながら、ふらりと一歩前に出た。


「面白いと思うなら、少し見ていくといい。」


 午前の光が斜めに差し込む石畳の広場は、もう人であふれていた。

 フリーマーケットの会場では、色とりどりの布で飾られた屋台が軒を連ね、あちこちで楽しげな会話が飛び交っている。


「……すごい、ですね」


 桃矢が呟いた。

 視線の先では、焼きたてのパンが山積みにされ、その隣で素焼きの器や、古びたおもちゃ、毛糸のマフラーなどが所狭しと並べられている。


「ふふ。これが、こっちの日常なんですよ」


 シュピュアが、くすっと笑った。風に揺れる金髪の隙間から、穏やかな瞳が覗く。


「私、昔孤児院で、売り子のお手伝いとかしてたことありますよ。」


 バリーレが小さく、でもどこか誇らしげに口を開く。


「民間経済の基盤だな。庶民生活の活性化と、資源循環。理にかなっている。」


 クーゲルは一歩後ろで顎を触りながら、屋台の配置を観察している。


「ほら、こっちこっち。手作りのアクセサリー、前に見たやつより出来がいいかも〜!」


 トリヒターが先に立ち、小走りに歩いていく。

 通りがかる人々もその姿に目を細め、邪魔にならないよう自然と道を開けていた。


 桃矢は木の台に並んだ品々に視線を落とす。

 ちょっと歪んだ陶器のマグカップ、綻びを手縫いで直したクマのぬいぐるみ、色あせた絵本──どれもが使い込まれ、けれど丁寧に並べられていた。


「こんにちは、見るだけでも大丈夫ですよ。」


 柔らかく呼びかけたのは、白髪の婦人だった。屋台の奥に座り、編み物を続けながら目を細めている。


「……はい。ありがとうございます。」


 桃矢はぺこりと頭を下げ、慎重に手袋を一つ手に取った。手縫いの刺繍が、少しだけぎこちない形で施されている。

 けれど、その不器用さが妙に愛らしい。


「こっち、蜂蜜かけて揚げたお菓子あるよ。食べてみる?」


 トリヒターが紙包みをひょいと掲げた。シュピュアがそれを受け取り、続けて皆に配っていく。


「あ……ありがとうございます。いただきます。」


 バリーレが遠慮がちに受け取り、頬張ると、小さく驚いたように目を見開いた。


「あ、甘い。でも、やさしい味で……すごくおいしいです。」


「ふむ。体があたたまるな。寒い時期において、温かい物は体力効率的に考えても適切だ。温かいというだけで士気も上がる。」


 クーゲルもひとかじりし、鼻から静かに息を抜いた。


 風に運ばれてくる焼きたてのパンの香り、どこかで流れる古いアコーディオンの音、立ち話する人々のやわらかな笑い声──そのすべてが、時間をゆるやかに、優しく包んでいた。


 子どもたちが古着の山に飛び込んで、笑いながら帽子をかぶり、腕を通している。


「いいですよね。こういう自由な感じ。売る人も、買う人も……ただ楽しんでて。」


 シュピュアが隣に立ち、目を細めた。


 その一言を聞いて、桃矢はふと頷いた。

 心がほどけていくような感覚。

 知らない町の、知らない人たちの中にいるのに、不思議と寂しさはなかった。


「待て、あれは──。」


 クーゲルが突如走り出した。


「クーゲルさん、どうしたんですか!?」


 慌てて桃矢が走り出す。


「旧インド軍で見かけた顔が通りに居た!」


 フリーマケットに夢中になっていて、そこまで見ていなかった。

 否、見ようとすら思っていなかった。

 何事もないように今は祈る他なかった。


 穏やかだった朝、事態は急速に加速しようとしていた──。

ご拝読ありがとうございました。

今回は前後編に分けました。

なんでも巷では5000〜7000字が平均との事で、このまま書けば30000字に達するのは明らかだったので、中途半端で申し訳ないのですが、切らせて頂きます。

さて、本舞台ヴィッテンベルク。

ここは宗教色がとても色濃い町です。

ザクロウ村が群馬や岐阜の端としたら、ヴィッテンベルクは静岡、山梨の中央くらいの空気感です。

まぁ、田舎ではないけど……って感じですね。

次回は後編です、旧インド軍を見かけ走り出すクーゲル、果たしてどうなってしまうのでしょうか。

楽しみにお待ち下さい。

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それでは、愚筆失礼致しました。

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