私は生まれてこなければよかったの……? 「反出生主義」について
◇「反出生主義」とは何か?
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は哲学的な話をしていこうと思います。
テーマは「反出生主義」です。
最後にはこの考え方に対抗する僕なりの思考法について意見を述べていきますのでどうぞご覧ください。
質問者:
文字の内容からして凄く怖いんですけど……。
理解できるかどうかも不安です……。
筆者:
実はそこまで怖い話でも、分かりにくい話でも無いと思うんです。
人間誰しも大きな失敗をしたり、家族からの存在の否定、他者から圧倒的な力を見せつけられたときに1度はこう思う事があったと思うんですよ。
「自分は生きている意味が無いんじゃないか?」
「私は生まれてこなければ良かったんじゃないか……?」
とね。
思春期の時代で「無敵状態」から現実を突きつけられてしまった時に、そう言った局面が多いのではないかと思います。
「反出生主義」と言うのはこの考え方の延長線上にあるものです。
「生きていれば苦痛を感じる。逆に言えば、生まれてこなければ苦痛を感じることもない。つまり苦痛を取り除くためには人間は生まれてこない方が良い。だから全ての人間は子どもを産むべきではない」
要約するとこんな感じの考え方です。
どちらかと言うと「自殺を推奨」と言うよりも将来の苦痛を取り除くための「子供拒否」とも言える内容なのです。
この考えのみを見ると極端だなぁ……と思われるかもしれませんが、
今の未来の無さそうな「シルバー民主主義」の日本の現状、見捨てられた若者世代を見るとやむを得ないとも言えます。
(かといって大多数の高齢者の生活も楽じゃないと僕は考えていますけど)
イメージしにくい方はアニメや漫画の「進撃の巨人」にあるジーク・イェーガーの「エルディア人安楽死計画」が限りなく「反出生主義」に近いので時間のある方はご覧下さいね。(漫画114話、アニメfinalなど)
質問者:
日本は15~39歳の死因の第1位が自殺、そう言った病んでしまう方が他の国より多いのかもしれませんね……。
※人口10万人あたりの死亡者数では英国6.6、ドイツ7.7、米国13.3、日本17.8
親から望まれずに産まれた方は特にそう思ってしまうのでしょうね……。
「親ガチャ」などと言う言葉の延長上にも「反出生主義」に行きついてしまっているのかもしれませんね……。
筆者:
自殺するにも勇気がいるという話があるので、自殺してしまった方、精神病に罹っている方の後ろには大勢の「精神疾患予備軍」の方がいるのではないかと思ってしまいます。
学歴、就職、出世――これらの現代資本主義から発する競争社会に零れ落ちてしまった方々は「ニヒリズム(虚無主義)」に近い発想になってしまいます。
そう言った方々は時期に「反出生主義」と言う領域に到達してしまうのではないかと僕は考えています。
◇「メンタル疾患」は人間だけが起きている
質問者:
国内情勢や社会システムが相まっているとなると、一度この発想になってしまうと抜け出すのが厳しそうにも思えるのですが、どうしたらいいのでしょうか?
筆者:
まず一点目の問題として「人間が高度な生物であるがゆえ」に精神的な問題が起きているのだと思います。
知能が高いと言われているイルカや犬が精神疾患になっているという話は聞いたことがありません。
精神的な問題が起きている方は少し人生の目標ポイントを下げた方が良いでしょうね。
例えば偏差値50ぐらいの方が「国公立早慶に行って官僚になる!」と言ってことごとく不合格の場合、自己肯定感は崩壊して何もしたくなることでしょう。
この方の場合は「分不相応の目標」であったことが最大の問題であることから、
まずはご自身の目標を「目線に合わせた」方が良いという事です。
また大人になると分かることですけど、大学も会社も資格も「得た後どうするか?」が大事であり、 東大出身でも地位の高い方でも、弁護士だろうとも「尊敬されない人」「稼げていない人」って言うのはいますからね。
目標値をクリアできる範囲内で次々と突破していき、自己肯定感を高めた方が良いという事です。
なんなら余裕が出てから大学院に入り直したり、資格を取ったりすればいいので、
余程の犯罪者でもない限りは「人生はやり直しがきく」と考えて良いと思います。
質問者:
つまり「目標設定を間違わないこと」が大事だという事ですか……。
◇「生きることが苦痛」と言う前提が間違い
筆者:
次に、僕はコペルニクス的な発想の転換でもってこの「反出生主義」を否定していこうと思います。
「生きていることが苦痛」であるからこそ、「反出生主義」に到達していると思うのですが、僕は真逆だと思うんです。
「苦痛があるからこそ生や幸せを実感する」と考えることを僕は提案したいと思います。
質問者:
なんですかそれは……。
筆者:
自己実現において苦難を乗り越えてこそ「得るものの大きさ」と言うのがあると思うんです。
逆に元から得ているとその「ありがたさ」と言うものに気が付きにくいんです。
例えば綺麗な飲み水、安心できる居住空間、スーパーに行けば食べ物が買える――これらは当たり前に存在していると思われるかもしれません。
しかし、災害の被災地や紛争発生地域ではこれらを充足することは困難であると言えます。
勿論そう言う過程を経ることなく「ありがたさ」に気づける方もいらっしゃるかもしれませんが、「反出生主義」で苦しんでいる方々は「苦痛」にあまりにも重きを置きすぎていると言えます。
質問者:
何事も「当たり前」だと思ってはいけないという事ですね……。
筆者:
また、「痛みやる苦しみを知る」という事は人間としての成長をすることが出来ます。
例えば後輩などにアドバイスをする際に、「自分の苦痛の乗り越え方」を教えることが出来、人間関係も発展していくでしょう。
全く同じ気持ちになれなくとも「相手の気持ちに寄り添う」ことは非常に重要な能力だと僕は考えます。
質問者:
「苦しみ」と聞くと悪いことばかりがあるように感じてしまいますけど、
人間として成長していく上では重要なことなんですね……。
筆者:
「お坊ちゃま」が人格的に問題があるというのもそう言った「苦痛」を乗り越えていないからです。
「人間としてのランク」を上げるためには「苦痛を通ることは必須」であると僕は考えます。
◇人間は使い捨てじゃない
質問者:
私、思ったことなんですけど。
今の資本主義経済が「歯車」として人間を扱っている上に、
今後訪れる「AI社会」に向けて「人類が不要になる」みたいな状況が共感を呼んでいるような気がするんです。
筆者:
それは素晴らしいご指摘だと思いますね。
「使い捨てのように人間が再生産」
されていることから「虚無主義」や「反出生主義」を生んでいるとも言えます。
自宅と会社を往復して、ご飯食べてトイレしてたまに娯楽を愉しんで寝る――こういう生活を無限に繰り返して先があるのか? と言ったら厳しいと思います。
質問者:
これを打開するにはどうしたらいいんでしょうか?
筆者:
正直、「自己実現」のみでは欲望が際限無くなり、他者を不幸にしていきます。
そこで僕が提案したいのは周りの方を幸せにする「利他の精神」です。
身近な人を幸せにするためにはどうすればいいか? それを満たしたら所属しているコミュニティの幸せ、それを満たしたら社会全体を幸せにするためにはどうしたらいいのか? と窓口を広げていくことで世界を変えていけると思っています。
◇生み出されたからには「意義がある」
質問者:
まだ生まれていない子供が過酷な世界に産まれて不幸になるのではないか? という事に関してはどうでしょうか?
筆者:
これは完全に僕の意見ですが、
『「幸せの基準」をしっかり教えれば、乗り越えていける』
と思います。
子供は僕たちが思っているよりずっと強いです。
どちらかというと、常に希望を持たせてあげることが大事だと思います。
質問者:
しかし、結婚されない方や中々子供が産まれない方と言うのもいらっしゃると思うんですよ。
そう言う方々は「反出生主義」に染まってしまわないですか?
筆者:
正直なところ、社会が過酷であり「結婚をしない」と思う方であればあるほど、
「子供以外を生み出す」と言う気持ちでもって周りを幸せにしたり、社会と戦っていただきたいと思います。
地球の歴史数十億年と言われていますが、その生物の果てに今の僕たちがいるわけです。
ある意味、現在地球上に存在している全生物は「勝ち組」と言えるわけなんですよ。
これまでの先祖の存在を無駄にしないためにも「存在意義」をかけて日々を過ごすべきだと僕は考えます。
◇「この地球」の渡り歩き方
質問者:
そうは言っても、やっぱりこの世の中現実は厳しいと思うんですよ。
近年だけでも感染症、戦争、物価高ととんでもないことが連発しているじゃないですか?
「反出生主義」のような「自棄」に近い考え方以外でこういった過酷な状況を乗り越えるにはどうしたらいいんでしょうか……。
筆者:
基本的には先ほども申し上げたような「利他精神」です。
ただ、それだけではメンタリティを維持することは難しいでしょうね。
そこでここでも「発想の転換」をしていこうと思います。
まず、過酷な状況だと「諦めてしまう」と言う方が多くなっていくと思うんです。
そう言う状況だと「踏みとどまる」若しくは「少し頑張る」だけで相対的な地位上昇と言うのが見込まれるんですね。
それは他の方と違った効率のいい頑張る方法を考案することでしたり、勉強時間を増やすことで差別化できるように思えます。
質問者:
「寝そべり族」や「悟り世代」と言った言葉もありますからね……。
逆にちょっと頑張れば上がっていく可能性があるという事ですか……。
筆者:
そうなんです。
だから先ほども述べましたが、深刻な犯罪でなければ多少の失敗ぐらいでは人生は取り戻せますので諦めないで試行錯誤することが大事です。
こういう「反出生主義」的な価値観は支配者側にとっては好都合と言えます。
何せ無気力になってくれれば政治について考え無くなり、組織票を最大限に活かすことも可能だからです。
基本的には本稿で述べてきたように発想の転換を行い、
「何かを生み出し、繋げていく」
という発想が大事だと思いますね。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今回は社会的な状況から「反出生主義」が若者に広がっていること。
発想の転換を行う事で「何かを生み出し、繋げていく」ことが重要だとお伝えしました。
今後もこの過酷な世界をどうすれば生きやすくなるのか? について個人的な考察を今後も続けていきますのでどうぞご覧ください。
皆さんはこの「反出生主義」についてどう思われるでしょうか?
ご意見ご感想をお待ちしております。