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新人バイトJKに手を出すなと店長から釘を刺されたが、生意気すぎてあり得ない  作者: 兼定 吉行
第六章 おでん襲来~招かれざる客達~
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第59話 真意

 片付けるものを片付け、店へと戻った俺はクズ店長に最後まで皮肉たっぷり言ってやる。

「店長、結局おでんはほとんど売れませんでしたよ。見通しが甘かったですね。わざわざあんな寒空の下かつ、空気の汚い外で買おうだなんて普通は思わないですよ。勉強になりましたね?」

 だが、クズ店長は平然とこう言った。

「そんなことはない、沢山売れたぞ?」

「は? え、いや、だからほとんど売れませんでしたけど?」

「いや、売れたよ。中じゃ大繁盛だ」

「えっ」

 確かに店にはおでんの保温器が二台あり、一台は今も中に置かれている。

 だが、それにしたって外で声掛けを徹底して販売していた俺達の方より、なぜ中の方が売れるんだ?

 そう不可解に思っていると、クズ店長がマジックの種でも明かすように説明を始めた。

「今お前も言った通りだよ青砥。この手先がかじかむ程寒い中、わざわざ外で買い物をする客が居るとでも思ったか? それも塵や埃が舞う、不衛生な外で」

「へ?」

「それにもしおでんを買うのだとしても、これから買い物をする入店時ではなく退店時だ。だが店内でもおでんが販売していたならどうだ? そこで買う方が温かいし、衛生環境も良く、レジも一度で済む。馬鹿じゃあ無いんだ、少し考えればわかることだろう? それとも馬鹿かな?」

「じゃ、じゃあ俺と藤野は、なんでわざわざ寒い外でおでんを売らされていたんですか……?」

「そんなの決まってるだろ?」

「まさか、俺達は――」

「私達は――」

 この俺と藤野の言葉に被せるよう、クズ店長が満を持して言う。

「そうだよ、ただの客寄せパンダだよ」

 こんのクズめがぁぁぁぁっ!?

 コイツは本当にクズだが、頭のキレるクズな分、本当に質が悪いぜ!?

……まあでも、悔しいが有能だということだけは認めてやろう。

 そこからはいつも通りの仕事を俺達はこなした。

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