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新人バイトJKに手を出すなと店長から釘を刺されたが、生意気すぎてあり得ない  作者: 兼定 吉行
第一章 コンビニバイト~その真実~
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第5話 クズとゴミ

 そろそろ藤野の胸に付けられた「研修」のプレートを外す時期かな……。

 その判断をクズ店長により一任されていた俺は、その旨を伝えるべく彼女へと話し掛ける。

「大分コンビニの仕事にも慣れてきたな、藤野」

「いえいえ、私なんてまだまだですよ」

「なんだ、珍しく弱気だな」

 いつもは無駄に自信ありげな癖に……。

 コイツも謙遜とかするんだな。

 しかし、それは違った。

 藤野は言う。

「だってベテランともなれば、お客様が『チキン下さい』と念じたことさえ読み取れるんですよね?」

「はあ?」

 何言ってんだコイツ!?

「いやありえないから!?」

「でもネットで見ました!」

「ネットのデマにまんまと踊らされるんじゃないよ……」

 これだからこの世界のネット世代の若者は……。

「あ、あれデマだったんですね、残念。そういう特殊な能力とか、もしあるんなら欲しかったんですよねぇ。魔法少女とか小さい頃から憧れてたし」

……なんだよちょっとはかわいいところあるじゃないか。

「それと」と、藤野が続ける。

「仕事に慣れたって言えば、仕事増やされますよね? まだ研修プレートつけて気楽にやるつもりなんでよろしくでーす」

「おまっ!?」

 クズめ!?

……決まりだ。

 次からは研修プレート無しで、正式なコンビニ店員としてしごいてやる!

「そんなわけでこれからも全身全霊、一緒にぬるーく適当にやって行きましょう! 青砥さん!」

「変なところでやる気出すんじゃないよ!? あと俺まで巻き込もうとするな!」

「えーなんでですかー。よいではないかよいではないかー」

「時代劇の悪代官かよ……まったく」

 年上を年上とも思わぬこの舐め切った態度。

……いつかわからせてやる!

 ついついそのふてぶてしさから忘れてしまうが、藤野は高一でまだ十五歳。

 十八歳未満は二十二時以降保護者無しで外出してはいけないという県の条令上、二十一時半までしか働けない。

 よって二十一時半から藤野は、早めに出勤してきた夜勤者とバトンタッチする。

「おあざぁーっすぅ」

 この気の無い挨拶と共に店へと入ってきたのは、藤野と代わるべくやってきた五味史奈(ごみふみな)二十歳。

 正真正銘の干物女だ。

 この店の夜勤者の一人で、コイツも大概クズである。

……いやゴミだ。

 俺と同じ大学に通うも、パチとスロに嵌まり一年目から留年したパチンカスの鑑。

 一つ歳上だが俺と同学年という、どう接するのが正解なのかよくわからない、ぶっちゃけ腫れ物のような存在である。

 事務所でユニフォームへと着替えた五味は、いつも通りの妙なテンションで藤野へ言った。

「ふじのーん! チェーンジ!」

「はい! 後はよろしくお願いします五味さん!」

「うぇーい」

「お先失礼しますね! お疲れ様です!」

「おっかれー!」

 この二人の何気無いやりとりの中で、俺はとある事実に気付いてしまった……。

 藤野め……。

 アイツ、俺以外の奴にはちゃんとよそ行きの態度じゃないか!?

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