第44話 逆パパ活!?
「……なら、ウチ来て勉強教えて下さいよ。それなら問題ないですよね?」
そんなことは無かったかー。
それにそうなってくると、また別の問題が発生するんだよ!
店長にも釘を刺されてるしな!
俺は激しく抵抗する。
「い、いや……っていうか勉強くらい自分でやれよ!? なんでさっきから俺に頼る気満々なんだよ!?」
「ケチー」
責めるような、失望の目を向けてくる藤野。
仕方ないじゃないか!?
こちとら女子の部屋になんか行ったことないんだからね!?
絶対いい匂いとかするんでしょ!?
いくらお前が相手とはいえ、理性を保てる自信があるとは言い切れないんだよ!
うっかりおちんちんがふっくらしちゃったらどうするんだよ!?
察してくれよっ!
……え、鈴とは同棲してるって?
あれはそういうんじゃないから。
藤野はがっかりとでも言いたげに、愚痴を溢した。
「あーあ、夏休みの課題ダルいんですよねー。小論文とかあるんですよー? 大学生じゃあるまい。受験だってまだ先なのにー」
「あー、それはダルいね。……って、勉強を教えて欲しいってのはタテマエで、夏休みの宿題を手伝わせるのが本当の目的だったのか!?」
だからそんなにしつこかったのね……。
もはや藤野は、その狙いを隠そうともせずに頼んでくる。
「ねー青砥さん手伝って下さいよー」
「無理」
「五千円払うんでー」
「五千円ッ!?」
……っと、危ない危ない。
つい心が動かされるところだった。
っていうか、バイト先の先輩を買収しようなんてとんでもないJKだな!?
やはりテーヘンのバイトはクズばかりだな!?
俺はこう、強く言ってやった。
「金で宿題を投げるんじゃないよ! やれば君の力になるんだよ!?」
「一瞬心動かされそうになってた癖に、よくそんな偉そうなことが言えますね」
また見抜かれてたー!?
やばい、どう言い返そうか?
そんな時だ。
ちょうどいいタイミングで、お客様が来店する。
「あっ、いらっしゃいませーおはようございます!」
偶然に救われ、会話は中断。
上手にこの場を切り抜けられたのだった。
やっぱり、お客様は神様なんだなぁ。
しかし、再び暇が出来れば――。




