第38話 深夜のサービスタイム?
一緒にシフトに入ると、よく知ってると思っていた人でも知らないことがあって驚かされるなぁ。
そう改めて思った。
そして、こうも思う。
まあでも、このクズ夜勤に彼氏なんか出来るわけが無かったよなぁ――と。
そんな俺の憐憫の目に気付いた五味は言った。
「ん? なんだい人の顔をジロジロと……。あ、もしかしてウチの色気にやられちゃったのぉ? ドーテーボーイにはウチのエロエロフェロモンはキツ過ぎたかなぁ?」
何をトチ狂ったようなことを言い出すんだこのクズは……。
俺はこう言ってやる。
「いや、全然そんなこと無いですよヴァージンガール」
「Oh shit! Fxxk off!!」
その頃鈴はといえば、なかなかコーラを買わずに漫画雑誌を手に取って立ち読みに熱中していた。
……何しに来たんだよアイツ。
本来の目的忘れて無いか?
それに……。
見かねた俺は、鈴に告げる。
「……ハーフパンツどころかパンツもズレて、貧相な小さいケツが半分見えてるぞ」
これに対し鈴は、漫画雑誌から顔すら上げずに、だが顔を真っ赤にしながらもこう言い返してきた。
「構わない、見せケツだ」
「そんなのあるか!? 女の子が簡単に見せていいケツは無い!」
聞き分けの無い子にはこうだ!
俺はズカズカと近づき、むんずと彼女のハーフパンツとパンツの裾を同時に掴むと、思いきりそれを持ち上げてやる。
「――あうンッ!? や、やめろ歩、食い込んで気持ち悪い……」
「なら今度からパンツくらい自分で上げろ!」
「……はいはい」
「はい is once!!」
「チッ」
「頼むからさっさとコーラ買って帰ってくれよ……」
その後、二時間近く立ち読みをしてから、ようやく鈴はコーラを買って店を出ていったのだった。
その間にも俺は肉まんを用意したり、いつでもホットフードを作れるようにフライヤーの電源を入れたり、薄明の始まった空の下駐車場の掃除もした。
そして、新しい朝が来る――。




