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新人バイトJKに手を出すなと店長から釘を刺されたが、生意気すぎてあり得ない  作者: 兼定 吉行
第二章 魔王転生~邪悪な匂いがスメル~
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第18話 抗えぬサガ

 だが、あくまで強がることを止めなかった。

「……クックック、馬鹿な奴め! こうなることは初めから想定済みだ!」

「あっそ」

「お前は私の挑発に乗り、子供を殴ったんだぞ!? 人間の女に頼まれたからなんだ? 私が出るところに出れば逮捕だぞ!? 逮捕! ハッハッハ! この世界の警察を舐めるなよ!? 証拠はこの店の監視カメラがバッチリ録画しているはずだ! 逃げられんぞ!?」

 魔王のくせにお役所頼みかよ……。

 世知辛いなぁ。

 だが――!

「残念だがこっちもこういう事態を想定していたんだよ。」

「何っ!? どういうことだ勇者よ!?」

「ここは監視カメラの死角だ。何年俺がこの店でバイトをしてると思っている? 抜かりはない」

「クソがぁぁぁぁーっ!!」

「さあさあ、聞き分けの無い子にはもうあと何発かの鉄拳制裁が必要なようだね?」

「なっ!? 鬼! 悪魔! この鬼畜勇者! まるで魔王のような奴めっ!」

「いや、魔王はお前じゃないか」

 そう言い返しはしたが、さすがに鬼畜だの魔王だの罵られ、ほんのりと傷ついたのだった。

 ここで、騒ぎを聞き付けた藤野も加わる。

「あれ、真緒ちゃん。今日はお母さんはどうしたの?」

「この店までの道のりは既に憶えた! 母上が居なくとも、これからはいつでも一人で来れるぞ!?」

「そうなんだ偉いねー?」

「そうだ私は偉いのだ! フッフッフ! 人の娘よ、よくわかっておるではないか!」

 褒められた魔王は、年相応の幼女らしく得意になって喜んだ。

「勇者よ! これからはいつ行われるとも知れないイタズラの恐怖にとくと怯えるがいい! ハッハッハ!」

……うぜぇ。

 ええいこうなったら、勇者らしくは無いがあの手を使おう!

 俺はお菓子のコーナーを指差し、魔王にこう提案する。

「イタズラをしないで帰ってくれるなら、そこのパンパンマンチョコを買ってあげるけど?」

 これぞ必殺、物で釣る作戦だ!

 だが、さすがにこの幼女魔王がこんな見え見えの手に乗っては来ないか?

 しかし――。

「ほう、この私をそんな安っぽい甘味で釣ろうなど!……釣ろう……など……」

 めっちゃ効いてるー!?

 どうやら俺の心配は杞憂に終わったようだ。

 やはり幼女は幼女。

 お菓子の放つ魅力には敵わないようだ。

 魔王はパンパンマンチョコに視線を釘付けにされた挙げ句、じゅるりとよだれを垂らして葛藤する。

「クッ……!? なんということだ! この体と子供の本能が、パンパンマンチョコを欲してしまうだと!?」

「じゃあほら、好きなキャラ選んで持ってこいよ。買ってやるから。ほら? ほぉら?」

「くっ、屈辱……ッ! だが、手が勝手に……パンパンマンチョコへと伸びてしまうぅぅぅっ!?」

……勝ったな。

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