表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新人バイトJKに手を出すなと店長から釘を刺されたが、生意気すぎてあり得ない  作者: 兼定 吉行
第二章 魔王転生~邪悪な匂いがスメル~
14/77

第13話 魔王を自称するお客様

 藤野というイレギュラー要素を除き、大学とバイトの両立生活を送っていた俺の元に、不穏な足音が近づいていた。

 それは藤野とのバイト中のこと。

 なんだか、店の中から邪悪な気配が……。

 長年コンビニバイトを勤めてきた俺が身に付けた第六感(スキル)、厄介なお客様センサーがビンビンに危険を報せてくるぞ!?

 万引きでも起こりそうな悪寒。

 気付いた時にはもう、ソレは近くにまで忍び寄ってきていた。

……嫌な予感がするな。

 最大限の警戒をしつつ、レジから店内を見回す。

 しかし――。

……おかしい。

 確かに邪悪な気配はするのに、姿が見えない。

 なぜだ!?

 そう俺が不審がっている所へ、声が掛けられる。

「クックック。どこを見ている?」

「なっ――!?」

 俺の心の声が読まれている……だと……?

 それにこの声は一体どこから!?

 俺は隣に居た藤野を守るように左手を添えて出し、謎の声に訊ねた。

「……どこに居る。姿を現せ! 邪悪な者よ!?」

 すると、これに応えるように――。

「ここだよ」

 その声はレジカウンターを挟んだ真下から聞こえた。

 まさか……。

 俺は恐る恐る、カウンターに身を乗り出して逆側を覗き込む。

 するとそこには四、五歳くらいであろう、おさげ髪の幼女が居た。

……あれ。

 思っていたのと違う声の主の正体に、少なからず俺は動揺してしまう。

 いやまあ、声は確かに幼女の声だったのだが、そこには大悪党のような響きが確かにあった。

 それに――。

 この幼女から、邪悪な気配が漂っていることもまた確かだ。

 一体どういうことだろうか?

 そんな風に悩んでいるところへ、幼女はこんな質問をしてきた。

「私が誰だかが貴様にわかるか?」

 その言葉には、幼女とは思えない程の凄みがあった。

 まさか……。

 一粒の不安の種。

 それが次に彼女が発した一言で、一気に発芽し不気味な花を咲かせる。

「なんだわからないのか? 勇者アルクよ……」

「そんなっ!?」

――決まりだ!

 コイツはッ!

「まさか……お前はっ!?」

 幼女は大きく口角を上げ、綺麗に生え揃った小さく可愛らしい乳歯を見せ付けながら言う。

「よくわかったな! そうだ、私こそが魔王サトゥルネスだ!」

「なんてことだ……」

――やはり、面倒なお客様じゃないか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ