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隣人

(2)


 隣人というのは勿論、隣に住まう人の事を言うだろう。

 それは普通、住居の隣人を指し示すことが多いが、しかしながら美恵子の場合にとっての「隣人」とは少しそうした意味合いとは異なった。


 ――それはどう言うことか。


 つまり、美恵子にとっての隣人とは自分の生活範囲(テリトリー)に現れる人物を言い、もう少し当人の為に彼女の気分的意味合いを含めて噛み砕けば、つまり自分自身が気兼ねなく過ごせる場所に現れる「闖入者」のことを言っている。


 それは厄介なのである。


 考えて欲しい。

 普段から神経をすり減らして仕事をこなしている美恵子にとって、唯一の気兼ねなく過ごせる場所、つまりリラックスできる場所は大事にしたいのだ。

 気兼ねなく過ごし、誰にも干渉されないまま身体を動かし、自分の想いにひとり耽る場所。

 兎にも角にもそんな自分の物思いと身体を動かすことのできる場所こそが、日々の神経の昂ぶりを押さえ落ち着かせることができる唯一の場所であり、だからこそ、そんな場所で出会うような人物は干渉すべからず人物であって欲しいし、できれば見知らぬ他人であって欲しいのだ。

 しかし自分の生きる陽夜は大都会だ。

 確かにそれらを全て満たすことは難しいとしても、それでも言葉を交わす互いは袖振り合わぬ人生の(まろうど)であるべきだ。

 だからこそ、そんな場所に自分の想いを踏みにじるように現れる人物は「闖入者」に変わりない。


 それは彼女にとって本当に心の底から目障りな存在だった。



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