第一話「魔王って楽しいかも」
これから連載頑張っていきます。
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何やら周りが騒がしい。呪文のようなものが絶えずうたわれていたり人の叫び声も聞こえる。
起き上がろうとするが全く起き上がれない。正確に言うと狭すぎて身動きが取れないのだ。棺桶か何かに閉じ込められているのだろう。
「おーい、出してくれー」
外にいる人たちに助けを求めるが全く返事がない。もう一度棺桶から外に出ようと体に力を入れる。すると少しガタガタと動いた。
それと同時に周りがさらに騒がしくなった。ばれたか?
しかし、外の連中は特に何もしてこない。だんだん腹が立ち思いきり両手を前に突き出した。
すると棺桶が開いた。恐る恐る立ち上がると、
「魔王様の復活だーー!」
「わぁぁぁーー」
目の前にはたくさんの魔物や生贄になっている。人間たちがいた。
そう俺は勇者だった前世で魔王との戦いで魔王と相打ちになり、転生して魔王に生まれ変わったのだ。そんなことある?
試しに右手に力を込め軽く目の前に振りかざしてみた。すると一瞬で部下であった幹部級の魔物もろとも消えてなくなった。
え? 魔王って強すぎね? 俺こいつと戦ってたの? もしかして遊ばれてた?
沢山の疑問が頭に浮かぶが、なにより部下がいなくなるのは結構な問題だ。
俺を倒しに来る勇者たちを全員直接戦わなければならないのだから。
部下がいると弱い勇者たちはある程度倒してくれるだろう。まさかとは思うけど勇者の時の魔法は使えないかな? と思い、両手を上に掲げ呪文を唱えた。
「ヤロミール・マリア!」
するとまた一瞬で目の前にいた魔物たちが生き返った。勇者時代の魔法も使えちゃったよ。しかもこの呪文一人しか生き返らせられなかったんだけど。強化されすぎだろ。
「魔王様! お目覚めになられたのですね。しかも私たちを生き返す魔法まで覚えていらっしゃるなんてこれで敵なしでございますね。」
正直とても気持ちがいい。しかも幹部クラスの魔物たちはかなり際どい衣装を着ている。中でもサキュバスや魔導士なんかはほぼ下着いやそれよりも布面積が小さい。
「どうされました? 魔王様? 少しお顔が赤いですよ?」
たわわな胸を抱えた魔導士が近寄ってきた。
「クニトゥル。お前もまだ生きていたのか。」
なんとか話をそらして女幹部たちに興奮していたのをごまかそうとした。あれ? っていうかなんでこの子の名前を知ってるんだ?
まさか魔王の記憶も少し残っているのか? まぁ、あって困ることはないだろう。
「魔王様! 勇者が来ました! どうしましょう?」
一匹の魔物が大声をあげこちらに走って来た。
「やかましい。」
そう言い指を鳴らしそいつを小さいカエルに変えた。周りの魔物たちがひどくおびえている。
今の魔王っぽくない? 案外魔王って楽しいかも。そんなことを考えていると、扉の向こうから四人ほどの足音が聞こえる。勇者だ。
「おいおまえら勇者を倒してこい。」
そういうと幹部をのぞいた百匹ほどの雑魚モンスターたちが扉が開くと同時に勇者たちに襲い掛かりに行った。
その間に吸血鬼のヴィーチェスがグラスに血を注いだものを持ってきた。
「魔王様はこれがお好きでしたよね? どうぞお飲みください。」
ヴィーチェスは貴族のような恰好をした男の吸血鬼だ。
「せっかくだし、」
さっき魔物をカエルに変えたように指を鳴らし吸血鬼をバニー姿のウェイトレスに変えた。
「そっちの方が似合っているぞ。」
「ありがたきお言葉! これからバニーガールとして生きていきます!」
部下は全員俺に柔順らしいそしていつの間にか勇者と雑魚モンスターの戦いが終わっていた。もちろん勇者が勝っただが結構ボロボロだ。
「おい、魔王! お前を討伐しに来た! お父さんの仇!」
どうやら前の魔王はこいつの父を殺したらしい。
「クニトゥル、やれ。」
「かしこまりました。」
「なに?! おい魔王俺と戦え!」
「坊や。相手は私よ。」
「邪魔だ! 巨乳魔導士!」
「アイスランス!」
そういうとクニトゥルは氷の槍を勇者に飛ばした。
ザスッ
一瞬だった。氷の槍は勇者の腹を貫通したのだ。勇者は声もなくその場に倒れこみ動かなくなった。いや幹部も相当強いな。
「魔王様ぁ、私をほめてくださいぃ」
クニトゥルが大きな胸を揺らしながらゆっくりと足元に寄り添ってきた。こんな経験は勇者時代にはあり得なかった。
勇者の時は真面目で実直な素直な青年だったため。すべての女性からの誘いなどは断ってきた。
しかしは今魔王軍のトップ誰も俺に逆らうやつなどいない試しにクニトゥルの頭を撫でてみた。
するとクニトゥルはいやらしく声を出しながらその場に倒れこんだ。
魔王って最高かもしれない。
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次回から妹のフランツが登場すると思います。