ジングルベル
「パパー!!」
そう言って、娘は私の元へ駆け足でやって来る。
私は娘の頭をワシワシと撫でる。娘の幸せそうな顔を見ると私の心が安らぐ。
「もう10時だよ。一緒に寝よう?」
私は時計を見ながら言う。
今の時刻は夜の10時。子供にとっては夜遅い時間だ。
しかし、娘は首を横に振る。
「嫌!サンタさんに会いたい!」
そう、今日はクリスマスイブ。子供にとってクリスマスのイベントは誕生日と同じか、もしくはそれ以上に楽しみなイベントだ。
娘は遅くまで起きてサンタさんに会いたいそうだ。
・・・・・・私も昔同じように思ってたな。
そう思いつつも、その気持ちをグッと堪えて娘の視線に合わせるようにしゃがむ。
「サンタさんはね、良い子の元にしか来ないんだぞ?」
「知ってる!」
私の言葉に娘は元気良く返事する。まるでクラスに一人はいる真面目な生徒のように右手をピンと伸ばしている。
私はまた娘の頭を撫でる。
「じゃあ早く寝ないといけないな」
それが娘にとって疑問だったのだろう。首を傾げる。
「良い子は早く寝るけど、じゃあ何で会うのはいけないの?」
難しい質問だった。
良い子は早く寝る。これはいつも言っているから理解はしているようだった。
サンタさんに会ってはいけない。娘はそう解釈したようだ。我が娘ながら、変な思考をしている。
「サンタさんはね、忙しいんだよ。幼稚園で先生に教わっただろ?」
「うん!色んな家に言ってプレゼント配るんだよ!」
そう言って、娘はサンタさんがプレゼントを配っている様子を身振り手振りで表現する。
「サンタさんはそれを一晩でやるんだ。それも全部の家に行くんだから時間ギリギリなんだ。そんなサンタさんの邪魔しちゃったら悪いだろ?」
「あ、そっか・・・・・・」
娘は少ししょんぼりした顔を見せる。私はその姿を愛おしく感じながらギュっと抱き締める。
「早く寝よう?きっと素敵なプレゼント持ってきてくれるよ?」
「・・・・・・うん!」
娘が素直で良かった。絶対に娘を幸せにしてあげたい。
こんな些細な事でいいから。サンタさんの存在は守り通そう。
これは、私の愛する妻との約束だから。
☆☆☆
その日の夜、私は見た。
寝ようってパパに言われて一緒に寝た。でも、何か物音がして目が覚めた。
寝ぼけていたから本当か分からない。見間違いかもしれない。
でも、私は見たんだ。
「さ、サンタさん?」
寝ぼけていて聞こえなかったのか分からないが、サンタさんは何も答えなかった。
サンタさんは人差し指を口元へ寄せた。内緒っていう事なのかな?
そのままサンタさんは私の家の窓を開けた。
そして、サンタさんは窓から家の外へ出る。
サンタさんは最後に私の方を振り向いた。
「メリークリスマス、美咲」
そして、サンタさんはソリに乗って空を飛んでいった。
その信じられない光景を私は眺め続けた。
あの出来事が夢だったのか分からない。
でも、例え夢だったとしてもあの日の事は忘れられない。
夢かもしれない出来事で聞こえた、サンタさんが空を飛んでいる時の音色。
あの音色は今でも忘れられない。
私はそのワンフレーズを口ずさむ。
「ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る・・・・・・」
こんばんは、今回も読んでいただきありがとうございます。
クリスマス、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
今回は少し不思議なお話?を書かせていただきました。
この作品でもある、「夢か分からないけどサンタさんを見た」という話、実は私が幼少期の頃に夢で見た話です。
今思うと、完全に夢だなって分かりますけど、当時は大盛り上がりでしたね。夢でサンタさんに会えた!って感じで(笑)。
そんな出来事、皆さんもありましたか?その時の心、是非忘れないであげてくださいね。
それでは、また。
次回の作品でお会いしましょう。




