予報失敗!?
「あれっ?また予報がはずれた!?」
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クラス:予報士
予報対象は天候のみにあらず、勝負の勝ち負け・コインの裏表に至るまでありとあらゆるものがその対象となる。
膨大な知識を使いこなす者のみがたどり着けるこのクラスは、大変に重宝される存在である。
今まさに、予報士に辿り着いたものが1人…
この男"シーザー"は合格を掴んだ。
この世界に於けるクラス取得の方法は多岐にわたるが、予報士の場合は知識証明の儀式にクリアすることが条件となる。
この狭き門を通り抜けるのは一握りの天才、または長年努力を積み重ねた秀才であった。だがこの男は違う。
シーザーの武器は"勘のよさ"である。
彼の知力は他の予報士と比べて圧倒的に低い。
それでも合格し得たのは知識証明の儀式が選択式解答であったから。
三桁に及ぶ選択肢から正解をチョイスすることは、常人にとっては不可能であるが、彼にはできてしまったのである。
「これは誇れたもんじゃないな…」
独り言が漏れたが、聞くものはいない。
街の喧騒の中に掻き消されていくようだった。
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「予報士…予報士ですか!?」
冒険者ギルドの受付嬢が二度見して大声をあげた。
その言葉を聞いた周囲の冒険者達が、驚いて顔をあげた。
「予報士か!?オレ初めて見る」
「そりゃそうだろ、何でも予知できるなんて殆ど神様だしな!」
「予報士は国のお抱えになるもんだろ、なんで冒険者ギルドになんか…」
ヒソヒソと話をする冒険者達をよそに、シーザーはパーティー募集を確認していく。
「能力を試す為の適当な依頼は、と」
予報士の能力を戦闘に使うとき、戦闘前・戦闘中それぞれに活躍の場がある。
戦闘前であれば、敵の強さ予報・戦闘結果予報
戦闘中には、敵の行動予報といった具合である。
自身が強ければ、行動予報を使って無双が可能だが。あいにくシーザーには不可能だ。
その為、パーティーに同行しサポートしながら経験を積むつもりなのだ。
「ツインスネークの討伐…これだ!」
シーザーが受付嬢に取り次ぎを頼もうとした時
「そこな予報士、儂らの依頼に同行せんかね~」
後ろから老婆に声を掛けられた。
「婆さん、俺はこの能力を試す為に…「儂らは、ランダムトータスを狩るんじゃが如何かな?」
ランダムトータス…甲羅にあるどの穴からも首を出せる亀。穴からは首や手足以外にも炎氷雷属性の攻撃を噴射する。比較的討伐難度は高い。
「乗った!」
シーザーは即答した。さっきのツインスネークより上位のモンスター、尚且つ予報士の能力がより活かせる敵だ。
「よいなよいな~、ではこちらに来るがよい。儂ら"精英樹"パーティーは君を歓迎しよう。」