18.クール女子の生温かい優しさ
「ふふ……私を呼んだかい? しゅうくん」
おっ?
この呼び声、地の底からよく分からないモンが噴き出してきそうな感情は、クールな楓子か!?
「呼んだとも! 会いたくてたまらねえってなもんなわけだぜ?」
「少し会わない間に……人でも入れ替わったかな?」
「はっはっはー! 俺だよ、俺! 正真正銘の秋晴ですよ」
「違う気がするね……以前のしゅうくんはもっと違う、何かの生物のように興味を惹くものだったのだけど……」
これはもしや、輝くおみ足美少女の影響でも受けたか?
別のモノと接するだけで、即座に取り入れるのが俺のいい所ではあるが、それでは楓子の関心が薄れていくでは無いか。
「おっとぉ、見えない何かが体当たりして来た! 悪いな、楓子」
もちろん何もいないが、楓子にはコレが効く。
思い余って、楓子に飛び込んでしまったではないか。
「ふ……いいさ。それでこそ、キミだね。変態の名にふさわしい所業だよ」
「怒らないし動じない所も楓子そのものだと感じてしまうねえ。しかし訂正を求めよう! 俺は変態ではないぞ」
「そうだったかな? しゅうくんは変態の極みと認識をしていた。少なくとも、変態でなければこんなことを日常で繰り返さないと思っていたんだ。違ったかな?」
まさかと思うが、あの美少女転校生が広めたとでもいうのか。
「ちがーう!! 俺はただの変態じゃないんだ! 変態にもランクがあって……しかし、楓子はいつも冷たい体温をしているが、アイスはやめられないのか?」
「そうだね、アイス……それに近い所で立ち続けていれば、体も覚えて温めなくなるかもしれないね」
「まさかの変温動物か!? それは羨ましいことだぞ」
「ああ、やはりキミはしゅうくんだね。安心したよ」
そんなことを言ったら、楓子も俺と同じ所に属することになるが、それはそれでいい。
「む? 俺から離れたら体温が上昇して駄目じゃないか?」
「しゅうくんに抱きしめられて、また頑張る気になれた。だから私は行くよ。それじゃあ、しゅうくん」
「ほぅ、またアイスを食べまくるわけか。頑張れ」
楓子との距離はいつもこうだ。
縮まる感じを受けるが、上手くすり抜けられてしまう。
体には簡単に触れさせてくれるのに、やはり変態としてのランクが低すぎるせいなのか?
楓子は俺の相手、いや、青春の相手にならない可能性がある。
やはりおみ足先輩と闇菩薩に絞って、青く生きていくしかないな。
「闇の菩薩……天然では無く、闇か。中々に興味深いではないか!」
「――誰のことを言っているのかな~? 椿くん」




