16.極上美少女とやきもちボクっ娘は譲れない
「確かに美少女のようだが……そのおみ足を見る限りではナンバー2だ。俺の分析によれば……」
「は? 分析ですって? ハッタリ野郎もいいところね! それに面倒すぎるわ。み、湊とはまるで違うわ」
「彼氏と比較されても困るな」
「か、かかかか彼氏!? そ、そんな、まだそれは早いわ……ううん、でもでも……」
「妄想に入るのは構わないけど、君は転校生?」
「あぁぁ……湊が彼氏……いい! いいわ……」
どうやら転校生らしいが、相当な妄想の持ち主らしい。
湊とかいう男が苦労している姿が目に浮かぶ。
「あ~! しゅうが、美少女をナンパしてる! 何だよ~何でだよ~!」
「あーうるさい。ナンパじゃなくて、オレは栢森先輩を追っていただけで、おみ足違いで見失っただけに過ぎない。タメ口先輩のおみ足には及ばないし、楓子とどちらがいいかと言われたら迷う」
楓子の場合は太ももが魅力的だと言えるか? しかし、妄想からそろそろ脱出して来て欲しいものだ。
「綺麗さん、もしもーし?」
「あ、あら? あなた、そこの変態の弟かしら?」
「ち、違うー! ボクはこう見えて、女の子なんだぞー! し、失礼しちゃうなー! ほら、ボクの足を見てよ!」
「……ほ、本当ね。その足は女子の……」
優雨のおみ足なんぞを見たところで、女子認定するのはどうなのか。
それにしてもおみ足がいい女子の数に、限界は無いということが分かった。
「わたくしは手違いで転校をして来たのだけれど、ここに湊という背中男子はいないかしら?」
「手違い? あぁ、それでか……どうりでその辺の女子とは違うと思った」
「……何だよ? 何でボクのことを見るんだよ?」
「自意識過剰もいいところだな。オレは優雨を見てもいないぞ。視界に映っただけだ」
「ふんっだ! どうせタメ口先輩みたいなおみ足女子に、同じことをしているだけなんだろ?」
「それは違うな。オレはこのおみ足美少女さんが、ミスリードしないように声をかけたに過ぎない。いるはずの無い奴を探すのは、正しくないだけだ」
「まぁた、面倒なへりくつだ~」
妄想少女を間違った方向へ行かせたくないのも事実だが、栢森先輩とどういう関係なのかも気になる。
「それで、手違いさんはどこから?」
「答える義務は無いことよ! わ、わたくしにもプライドがあるのだわ」
「プライバシーのことかな?」
「そ、それよ! どこから来たかなんて、あなたのような変態に答える義務はあり得なくってよ!」
やれやれ、妄想美少女に変態認定されてしまった。
俺は単純におみ足だけに惹かれただけなのに。
タメ口先輩との関係も大いに興味があるが、今は難しそうだ。
「変態って言うけど、一応、ボクの兄なんだぞ? あんまりじゃないかー!」
「事実を言ったまでだわ! 足に執着する男なんて、変態そのものだわ!」
「そ、そんなこと言って、しゅうの気を惹こうとしたって無駄なんだぞー!」
「は? あなた、変態な兄が好みだというの?」
「そうじゃないけど、しゅうは変態と呼ばれるとかえって喜ぶ奴だから、連呼して気を惹くのは駄目なんだぞ」
優雨の奴め……いつから俺が『変態』と呼ばれることに悦びを感じると言ったのか。
それを言われることにではなく、とにかく単純に手違い美少女と話を進めたいだけなんだが……




