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4-4-2

本日一話目です。


 残っている敵勢力の居場所もわかり、直下の666部隊へ出動準備をさせた。

 一時間もせずに部隊編成がされ、そのまま軍用車両に乗って敵のアジトへ攻め込んだ。フィロ准将も同乗しており、駐屯地も24時間体制で警備体制が敷かれていた。


「ヒュルク。これの後も一仕事残っているからな。任せたぞ」


「はい」


 個人通信で耳に付けた無線機からそんな言葉が聞こえてきた。小さく返事をすると車両が止まり、目的地に着いたようだった。

 その場所は首都の中心部から離れた元軍事施設。魔眼研究所跡地である。


 ナナシは転々とさせられた研究所の外観など知らない。見たこともないし、見たとしても覚えていない。

 それでも嫌な既視感があった。それと憎悪と悪寒もだ。こんな研究所がなければ、身体の節々にある注射の痕などついておらず、人をあんなにも殺さなかった。

 そしてソラウや理事長にも会えなかっただろう。


「全隊に通達。これより研究所跡地へ侵攻する。ベルデ姉妹の能力で安全を確認後制圧する。小隊ごとに敵を炙り出せ。奴らは我らが愛する民と国を穢す反逆者だ。遠慮はいらん」


「はっ!」


 いつでも突撃できるように各々の武器を取り出し、準備万端だった。あとはベルデ姉妹の合図を待つだけだ。


「ルーフェイ・ベルデより通達。機械などのトラップ、及び入り口付近に敵影なし。いけます」


「ミカデ・ベルデより通達。三00秒後まで作戦に支障ない程度の妨害。いけますわ!」


「総員、かかれ!」


 軍用車両のドアが一斉に開かれてナナシたち666部隊は突撃を開始した。

 小隊ごとに行動するため、ナナシはまだ能力を使っていなかった。第一から第三小隊が正面玄関から、第四から第六小隊は非常口や窓からの侵入を試みた。

 ナナシがいるのは第三小隊。正面玄関から乗り込んだ。


「しっかし、あの姉妹の能力は便利だねぇ。待ち伏せの意味がねえからな」


 ルーフェイ・ベルデ。妹。能力は立体索敵のレベル二、ダブル。本人曰く、危険なものには眼に見える立体地図に赤い危険マークが出るということ。

 ミカデ・ベルデ。姉。能力は未来視のレベル二、ダブル。彼女は任意の三00秒後の未来が見えるというもの。

 この二人がいれば、こちらが無駄な怪我をすることがなくなる。


「ベイグ。作戦に集中しろよ」


 話しかけてきたのはベイグ・エイリーク。能力は宝石化(ダイヤ)のレベル二、シングル。物をダイヤに変えてしまうというものだ。これで悪徳商法をしていたところに能力のことがバレて、少年院を経て今では軍属となっている。

 跡地ということで中は汚いのかとも思ったが、利用していたために清潔に保たれていた。その施設の感じに嫌な感じが再び噴き上がってきたが、無視して任務に集中した。

 入ってすぐのフロントは二手に大きく分かれていたため、第一と第二が右手側へ、第三がまっすぐの道へ進んだ。


「第三小隊、上から氷柱が来ますわ!あと四秒!」


 ミカデの指示で小隊全員が足を止め、予告通りに来た氷柱を各々の武器で破壊していた。

 六もの小隊が分かれて行動しつつ全体の動きをミカデが把握できているのは二人の支援者がいるから。


 ジェリ・ホッパーとビーンズ・ロマリー。

ジェリの能力は演算処理補填のレベル二、ダブル。これは他者の脳内演算を補助するというもの。これで魔眼の能力を効率良く使えている。

 ビーンズはこの中で唯一の男であり、能力は能力代替のレベル三、シングル。これはインターバルを引き延ばして使用時間を倍にするというもの。その代わり使い終わったらインターバルが一・五倍になる。これはレベル三からであり、二の頃にはインターバルは二倍だった。


 この四人とフィロ准将が予備部隊であり、主に支援を行う部隊だ。この五人がいるからこそ、他の小隊は安心して制圧ができる。


「第三小隊、階段下で止まってくださいませ。待ち伏せされております。人数は五人。ここまでしか現状視えておりません」


「了解」


 他にも様々な指示が飛ばされていったが、そろそろミカデはインターバルに入る。ビーンズの能力を使ってもいいのだろうが、全員一気に能力が使えなくなったらそれはそれでまずい。ここからは実力で突破する。


「ヒュ、ヒュルク君。どうする……?」


「俺が突撃する。ベイグとアンズがサポート。カナンとシャーラムが俺の後からだ」


「ウチも突撃ってこと……?」


「能力考えたらこれが妥当だって」


 質問してきたカナンから苦情が来たが、自動照準のレベル三、シングルという戦闘能力の高い魔眼を持っている人間が何を言っているのやら。


「まあまあ。防御面が不安だとしてもベイグが守ってくれますから」


 そう言うシャーラムの能力は自動回復のレベル二、ダブル。致命傷でも能力発動中はすぐに回復してしまう破格の魔眼だ。たださすがに骨が折れたり、臓器が破損した場合はすぐには直せないし、即死では意味がないらしい。

 アンズの能力は感覚占有。対象の五感を自由に奪ったり調整できるというもの。レベルは二のシングル。まだ十代・二十代の人間が多いため、レベル二が多いのは必然だった。


「行くぞ。タイミングは任せる」


 ナナシがそう言ってすぐ隠れていた場所から飛び出し、壁を蹴るように階段を上がっていった。さすがに待ち構えていた五人も肉体強化系の人間は見たことがあるようで驚かず攻撃してきた。

 手榴弾が転がってきたが無視し、マシンガンの弾丸は全て避け、魔眼による氷柱が飛んできたがそれは槍で破壊可能だとわかっているので横振りで粉砕した。


 そこでカナンから援護射撃があり、的確に敵の頭を撃ち抜いていた。心臓の部分はさすがに防弾チョッキで防がれてしまう。

 カナンの能力はたとえどのような速度で相手が動いていても、姿を消していても射程距離内であれば必ずマーキングが付く。たとえその対象を隠すような障害物があっても、それを通り越して照準を定められるとのこと。

 だからこういった制圧任務でなければいつもスナイパーライフルを用いて敵を撃つだけなので、接近戦は苦手だとか。


「ボクの出番、ありませんでしたねえ」


「そうだな。助かったよ、カナン」


「やっぱりスナイパーライフルの方がいいなあ……」


 今はハンドガンを二つ手にしていたのだが、やはり慣れていないらしい。それも仕方がないといえば仕方がないのであろう。そこは結局経験数の差なのだから。


「というか急いだ方が良いんじゃない?敵のとこに着くのが遅れちゃうもの」


「だな。急ぐぞ」


 進んだ先にも待ち伏せしていたクーデター兵士がいて、ナナシの直死によって見ただけで殺したり、アンズが敵の感覚を狂わせている間にカナンが撃ち殺したり、ベイグが生成したダイヤを投擲して殺していた。

 施設制圧ということは、敵の命など考慮しない。首謀者と思われるリーダー格さえ捕らえられればいい。最悪そのリーダー格も殺してしまっても構わないのだ。


 このメンバーで小隊を組むことは何度かあったため、連携には困らなかった。侵攻を邪魔する連中は容赦なく殺し、中枢区画へと向かう。

 第五小隊がこの施設の情報をハッキングしたようで、施設状況は全て把握できた。監視カメラすらハッキングしてしまったため、どこに誰がいるのかすらわかった。中枢区画に二小隊分の人数、そして中枢区画の近くには四小隊ほどが配置されていた。

 そのことがわかってから進むこと数分、二小隊分の人間がナナシたちの前に立ち塞がっていることがわかった。一番中枢区画に近寄っている部隊だったからだ。


この後十八時にもう一話投稿します。

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