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幕間

昨日の部分に付け足そうとも思ったんですけど、繋がらないと思って分けました。



       幕間


 それはまだナナシがある家に引き取られて間もない頃。家に住んでいるのはナナシ、ソラウ、ルトゥナ、ラヴェルのみであった。ハウスキーパーの方はさすがに住み込みではなかった。

 ナナシは一時的にカノン・ストレンジと名乗っていた。仮の名前だった。

 そんなカノンは夜眠れずに起きてしまうことがあった。まだリハビリの途中で、まともに歩けずトイレに行くにもラヴェルの手を借りなければ行けなかった。


 その日も、唐突に目覚めて汗だくで、息切れを起こしていた。そして気持ち悪いということで水を飲みに行った。

 こんなことはしょっちゅうあった。毎日ではないが、頻度はかなり多い。週に五度はある。だからというわけではないが、カノンは毎日ラヴェルと一緒に寝ていた。


 最初は四人一緒に寝ていたのだが、カノンの目覚めでソラウが寝付けなくなることもあったので、ルトゥナとソラウ、カノンとラヴェルで寝ることになったのだ。

 カノンは寝る時も日常生活でも布製の眼帯を左眼につけていた。これがあれば誰も殺さないために、カノンの精神安定のためにつけさせていた。


「はい、カノンちゃん」


 ラヴェルがコップに水を注ぎ、渡すだけでは飲めないので顔を押さえながら飲ませてあげた。まるで赤ん坊にするような行いだが、手の感覚などがまだ戻っておらず、物を掴めないからだ。

 今は積み木や鉛筆などの小さい物を握ったりして感覚を取り戻している最中だ。だが少しでも重いとすぐ落としてしまうため、食事にはラヴェルがつきっきりである。

 飲み終わると、カノンはラヴェルに抱き着いていた。八歳児と見た目十一・二歳なので、見た分には姉弟が抱き着いているようにしか見えない。役割としては母と息子なのだが。


「カノンちゃん?どうしたの?」


 その身体が震えていることに気付いて、頭を撫でてみる。カノンの瞳には涙が溜まっていて、左の眼帯を必死に抑えていた。


「コワイ……!」


「怖い?嫌なことでも思い出した?」


「左眼が、殺せって。ここから出せって言ってくる……!」


 ラヴェルはその言葉に表情を強張らせる。そして両眼の瞳孔を蒼くさせる。カノンを強制的に眠らせて、いつものように治療を施した。最大限の警戒をもって。



今日はこの後九時に一話、十八時にもう一話投稿します。

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