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大丈夫
ええと。何が大丈夫なのかと言いますと。
これ、家人の口癖です。
続きがありまして、
「大丈夫。人はいつか死ぬことになってるから。」
…どこが大丈夫なんだかよくわかりませんが。
多分、そう自分に言い聞かせているのでしょう。
友人や知人の死に会うとひどく悲しむ人ですから。
なんというか、自分のせいでその人が死んだみたいに。
(勿論そんなことは無いのですが…無いよね?と思うくらいに悲しみます。)
今年も何通か喪中ハガキが届きました。
勿論お通夜や告別式に足を運んだ方からも来ますが
亡くなった報せを初めて受け取る方もいます。
その度に家人は実に悲痛な表情になります。
それで私が声をかけると冒頭の言葉が出てきます。
人がいつかはいなくなることはわかっている。
当たり前に自分も含めた誰もがいつかはいなくなる。
どんなに望んでも再会は叶わない。 会話も出来ない。
それが辛くて悲しいのも、やはり当たり前のこと。
だから大丈夫。
家人はきっとそんなことを思っているから、
うん。
忘れないでいようね。
その人のこと。
と私は言葉を返します。