琉歌作ってみました その2
冬を実感するようになりました。
それで(なのかしら?)冬を詠んだ琉歌が出来ましたので書いておきます。
(昨日の忘年会で二つくらい歌ってお茶を濁しました)
本当にメモの代わりです。すみません。
「」は読み仮名、()は意訳です。
北風ぬ吹ちゃい 冷さる雨降やい
友揃てぃ語る 夜や真春
「ニシカジヌフチャイ フィサルアミフヤイ
ドゥシスルティカタル ユルヤマハル」
(寒い北風が吹いて 冷たい雨まで降っていても
友達が集まって語り合う 夜は春真っ只中のようだ)
日頃嗜だる 三線ゆ鳴らち
明きてぃ三月ぬ 四日待ちゅさ
「フィグルタシナダル サンシンユナラチ
アキティサングワ(ワは小文字)チヌ ユッカマチュサ」
(常日頃鍛錬している三線を弾き鳴らしながら
翌年三月四日の三線の日を心待ちにしている)
注*三月四日は沖縄のラジオ局が始めた「三線の日」です。各種イベントが催されます。来年(2017年)で 二十五回を迎えます。
しんじんとぅ更きる 冬ぬ夜ぬ寂さ
汝迄ん一人や 浦ぬ千鳥
「シンジントゥフキル フユヌユヌサビサ
ヤーマディンチュイヤ ウラヌチドゥイ」
(静かに更けていく 冬の夜の寂しいことよ
お前もまた一人なのか 浦で鳴いている千鳥よ)
注*千鳥はひっきりなしに鳴く鳥です。鳴き声を
チュイ(一人)と聞くかチリ(連れ)と聞くか。歌によって使い分けます。
朝霜に枯りる 草木どぅんやしが
巡てぃ来る春に 又ん拝ま
「アサシムニカリル クサキドゥンヤシガ
ミグティクルハルニ マタンウガマ」
(朝降りた霜に草木は枯れてしまったが
やがて春になったらまた見ることが出来るであろう)
番外編。
「伊江島ハンドー小」という沖縄芝居の中で愛する男に捨てられたヒロイン(ハンドー:名)が、男を恨んで自害する直前に詠む琉歌があります。
それは
島ぬ西東 鳴ち渡る烏
ありが上どやるい 我上どやるい
「シマヌイリアガリ ナチワタルガラシ
アリガイドヤルイ ワイドヤルイ」
(西に東に鳴きながら飛び渡る烏は
あの人の屍の上に停まるのか私の屍の上に停まるのか)
というとても不吉な歌です。
芝居ではこの歌の通りに男の家に不吉なことが起こるのでこの歌は歌われっ放しのままです。
けれども
本来はこういった不吉な歌にはそれを打ち消す歌を返さなければいけません。
それで返歌を考えました。
鳴ち渡る烏 子尋めてぃいちゅん
今や巣に戻てぃ 憩てぃ居ゆさ
「ナチワタルガラシ クワ(ワは小文字)トゥメティイチュン
ナマヤシニムドゥティ ユクティウユサ」
(鳴いて飛んでいた烏は子どもを探していたのであって
今は皆巣に戻って休んでいるよ)
もう一首
鳴ち渡る烏 大和神御使
便い持たすんち 急じ行ちゅる
「ナチワタルガラシ ヤマトガミウチケー
イエイムタスンチ イスジイチュル」
(鳴いて飛んでいる烏は大和の神の御使いだよ
便りを持たされて急いでいるのだよ)
という歌です。
少しは厄祓いになれば良いのですが。