東京 谷中の朝倉彫塑館
谷中にある朝倉彫塑館は大好きな所です。
中学生くらいから、年に数回通っていました。
改修とか、管理者が変わるとかで一時期閉鎖されてからは足が遠のいてしまい、さらにその後結婚してからは中々行かなく(行けなく?)なりましたけれど。
友人の誰とも行ったことがありません。
必ず一人で行きました。
私にとっては「すごく特別な場所」でしたから。
注意:以下、うろ覚えで不正確です。
思い出しながら書いていますから作品の内容や、現在の作品の配置などが違っていたりするところもあると思います。その旨ご了承ください。
館の入り口から入ると、そこは立派な洋館で、朝倉文夫の作品が並んでいます。
そこにある兎の彫塑が今でも一番好きです。
その部屋の壁の凸凹は蚕の繭によるものです。繭の優しい光沢が部屋に良く似合っていて、しんとした雰囲気に一役かっているような気がします。
そしてそこを出て、廊下を曲がると。いきなり和風。
和室には丸く切られた窓があり。中庭には大きな池があって金魚や鯉が泳いでいます。
夏でも涼しさを感じます。
元は朝倉文夫の私邸であった朝倉彫塑館はロの字型になっていて、和館と洋館をくっつけてある不思議な建物です。
洋館部分は三階くらいまであって、アトリエとして使用していたようです。
そこにも作品が置かれていて、「よくぞ獲ったり」という猫の彫塑が好きです(確か猫がネズミを咥えています)。
他にも猫の作品が沢山あって、猫が好きな人だったことがわかります。
静かで、広くて、明るくて。
二階の和室の、中庭に面した廊下に座りこんで昼寝をしたらいかにも気持ち良さそうです。猫が側にいたらもう最高だと思います。勿論いませんが。
この和風建築の部分だけでも誰か私に作ってくれないかしら。欲しいなあ。と何度思ったことでしょう。
本当に大好きで大切な場所だったので、
初めて家人を連れて二人で行ったのは結婚して相当経ってからです。
建築に興味のある家人もすぐに気に入りました。
でも。本音を言えば。
やっぱり私の秘密にしておきたかったなぁ。
私が美術館と言われて真っ先に思い浮かぶ場所。
実はあそこには私の思いが隠してあるのです。
いえ勿論、手に取れる物、見える物ではありません。
目には見えない、私の思い、心のカケラが。
するっとあの館のどこかに入って、出て来ません。
誰にも誰にもナイショだけれど。
本当の本当にこれは秘密ですけれど。