猫がいます
今現在、我が家には猫が二匹います。
私の実家は犬ばかり飼っていて(私以外は犬しか好きではなくて)、小学五年生の時、 引越すことになって連れて行けないからと友人から貰い受けた十姉妹(メスだけ二羽)と文鳥は私一人で世話をしました。
そして数年後祖母が亡くなり、さらにその二年後飼っていた犬が死んでからは実家に動物がいなくなってしまいました。
家人も実家で犬を飼っていましたが、猫は飼ったことがありませんでした。長いこと熱帯魚を飼っていたせいもあったかもしれません。それも私と結婚する前に皆死んでしまいましたが(とても大きく育ったエンジェルフィッシュが三匹いました)。
私たちが結婚して、翌年に子どもが生まれて。数年後には子どもが三人。
動物を飼うどころではなくなってしまいました。
おまけに三人目を産んだ後、医師から
「今度出産したら、その時は母体の命の保証は出来かねます。」
と言われてしまうくらい妊娠中毒症が重く、出産後も要加療だったのです。
半病人から四半病人くらいに持ち直すまで十年ほどかかりました。
今も小康状態を保っている、というところです。
とにかく、いつ具合が悪くなるかわからないのに、毎日の散歩が必要な犬を飼えず。
ずっと諦めていました。
娘の一人がダニとタバコに対してアレルギーを持っていると判ってからは尚更です。鳥もネズミの類も飼えなくて。
そして数年前。ようやく夫婦二人暮しになって。
せめて猫を飼おうと話し合いました。
猫を飼うのは二人とも未経験者なので不安もありましたけれど。
先ずは一匹。来たのは女の子で。ハナと名付けました。
松谷みよ子さんの著書の中に
「家に猫がいないのは食卓に花が無いのと同じ」
というような文があったのを思い出して。
「あなたが我が家の花だよ」と。
ハナは寂しがりやの甘えん坊でした。
私と家人に撫でられると喉を鳴らし、少しでも離れると鳴いて呼ぶのです。
家人の膝の上でゴロゴロ言いながら丸くなって寝て。
ハナを家に迎えた翌日の夜、家人はしみじみと
「俺はどうして今まで猫を飼う幸せを知らなかったんだろう。」
と言いました。もう完全な飼い主莫迦。
一年半後に今度は男の子。来た日が満月だったからツキと名付けました。
元気の良い、構って遊んで、の子です。
おっとり育ったハナはだいぶ警戒して、互いに慣れるまでひと月くらいかかりました。
二匹がしっぽを絡ませて眠っていたのがそのくらいの頃のことでした。家人と二人、ホッとしたのを覚えています。
ハナが来てからは毎日が猫中心の暮しになりました。
私もストレスが癒されて少し身体が楽になりました。
年に二、三回の旅行の時はかかりつけの動物病院がペットホテルも運営しているのでそこに預けます。
ゴミ箱を倒して遊んだり、隠れんぼが上手で見失ったり、二匹で追いかけっこして何かにぶつかったり。
毎日何かしらしでかしてくれて飽きません。
いつまでも大きくならない小さい子がいるようです。
しかもどれだけ甘やかしても大丈夫です。楽しい。
ハナとツキ、だからいつかユキも飼えるかしら。
歌舞伎はあんまり好きではありませんが。
動物の、生きることに疑問を持たないところが好きです。
生きて動いている小さな存在が愛おしく、こんな私でも生きていて良いんだと思い易くなります。