贅沢を言うな
うちの長女が高校に通っていた頃。
進路の話になって、
「ウェイトレスかテレフォンアポインターになりたい。」
と言われました。バイトならともかく。
「ウェイトレスでも中居さんでも、料理のことは知っておいた方が良いと思う。」
そう言って調理師学校を勧めました。
本人も納得して入学し、無事卒業して現在は調理師として働いています。
でも勧めた当時、私は内心「大丈夫かなぁ」と思っていました。何故ならば彼女は好き嫌いが多い子、だったからです。
パッと思い出すだけでも
ネギ、セロリ、レバー、ワサビ、ニラ、ささみ…。とにかく沢山あったのです。
でも驚いたことに学校に通い始めた娘はだんだんに好き嫌いが減ってきました。
そして今度は
「レバーは下茹でする時にブランデー入れて。食べやすくなるから」だの
「私、五年もののワサビをサメ皮でおろせば食べられる」だのと言い出し始めました。
うん。そうだね。料理人は美味しい食材を見分けなければいけないものね。美味しく食べる工夫もしないとね。えぇと、でもね。
「贅沢を言うな!家庭料理だぞ?」
と思った私は悪くない、と思いたいです。
今は日本料理店で働いている娘は現在一人暮らし。休みの日には調理師学校の同期生の店や、気になるお店に行くことがあるらしく、たまに会うと
「ジビエがどうした」だの「トリュフが良かった」だのとやっぱり贅沢なことを言っています。