黒木 という木
沖縄に黒木(くるちと読みます)という木があります。
何が黒かといいますと、太い幹の芯の部分が真っ黒なのです。幹が太くなるほど黒い部分も太くなります。
で、その黒いところを木材として使用します。
床柱とか三線(さんしん。沖縄三味線)の棹とかに。
今も昔も希少な木材で、あまり量が取れません。
黒木の芯が黒くなり、なおかつ木材に使えるくらいに芯が太くなるまでには百年以上かかると言われていますから。
しかも黒木にとって成長しやすい場所に植わっていると芯が黒くならないと言われているのです。
崖とか岩場とか条件の悪い場所でゆっくり大きくなったものでないと駄目だとか。まあ本当かどうかはわからないですけど。確かめた人、いるのかしら。
資源保護の為、今は国内での伐採が禁止されています(といっても沖縄以南にしかない木ですが)。
でも需要は絶えません。
三線の棹材として最上とされていて人気が高いのです。
古い屋敷が取り壊される、と聞いた三線職人が床柱に使われているであろう黒木目当てに駆けつけて来ると言われています。
フィリピン産や、東南アジア産の黒木も輸入されて三線の棹になっています。
理想は棹が二本以上取れる太さのもの。芯の真ん中を避けられるものが望ましいそうです。同じ木から二本三線が出来た場合は「夫婦三線」と呼びます。
ある研究家が「黒木信仰」と書いたくらい、黒木で作られた三線には人気があります。
「三線の音は棹で決まる」からです。
まあ、それは間違いないのですが。
私は、弾く人の腕にもよるよなぁ、と思っています。
だって、私の持っている安い三線。
私が弾くといかにも安い三線ですという音色です。
でも師匠が同じ三線を弾くと。
えぇ?とびっくりするほどに全く違う良い音が出ます。
以前、私が師匠が使っている黒木三線を一度弾かせて貰った時もそうでした。
師匠が弾けば粒立った優しい音色を響かせる三線が、堅くて面白味のない音しか鳴らなかったのです。
いつか私も黒木三線を持つに相応しい弾き手になりたいなぁとは願っていますけれど。
道は遠いです。はい。