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幻のような幸福
しみじみ幸福だなぁと思うひと時があります。
私の場合、美味しいお茶を飲みながら本を読んでいる時が一番幸せです。
本を読んでいる私はただの置物になってしまうので家族は嫌がるのですが(何も聞こえない、動かない状態になるそうです。覚えはありません)。
ある程度目処がつくか、全部読み終わるまで本を置けないために、食事の支度だけは何とかするようにしています。
幸福の中の幸福。
十年ほど前、久しぶりに「くまのプーさん」を読み返して、膝を打つ思いをしました。それは
プーが一番好きな時を上手く言うことが出来なかった、というくだりです。
大好きなハチミツを食べている時よりも、ハチミツを食べる直前の束の間。その刹那が一番楽しい、と。
その通り!一緒です!って思いました。
私も本を読む直前、どんな話かな?面白いかな?楽しいかな?と手に取って表紙をめくるその時が一番ワクワクしています。
それは瞬間、ほんの束の間でしかないのですが(ずっとそのままだったらそれは拷問です)。
幸福を手にいれる直前の幸福。
幻のようなものだなぁと思いながら、私は本を手にするのです。