表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/146

金木犀

高校生の頃の友人Eは金木犀が好きな人でした。

香りが好きで花が好きで、花が地面に散っている様子も好きでした。

花が盛りの時に校庭の隅にあった金木犀の枝から花を取って、水洗いしてからハチミツにつけてパンに塗って食べたり、アルコールに浸して香水替わりにしてみたりしてました。

トイレの芳香剤に金木犀の香りが発売された当時、わざわざ私に電話をして愚痴ったこともありました(今はもう売られていません)。

二十歳になった誕生日に金木犀のお酒をロックで飲んで

「思っていた味と香りじゃないよ」

と嘆いて、でも一人で半分がた片付けたのには居合わせた皆で驚きました。あれ結構癖があったよ。彼女以外はソーダ割りにして片付けました。

そんな彼女が、結婚して。

秋の挙式でした。無理を言って私たち友人に金木犀の造花を作らせてベールの飾りにつけて(ブーケに金木犀は無理だったので)。

その年の暮れに旦那さんの転勤で北海道に引っ越しました。彼女の憧れの北海道です。

翌年の秋に電話がかかってきました。

「北海道に金木犀が無い」って。

私は知らなかったのですが金木犀は寒さに弱いらしく、北海道では庭木として植えられない木なのだそうです。

「寂しいよう」

まぁそうだろうね。仕方ない、押し花作って送りました。三回ほど。

その後、旦那さんの再度の転勤で岡山に引っ越して、めでたく押し花が要らなくなりました。

彼女は現在東海地方の旦那さんの故郷に住んでいます。購入した家の庭に金木犀を植えて。

そして今でも。およそ年に一度。

金木犀が咲いたよ、という連絡ばかり取っています。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ