月と沖縄民謡
今年(2016年)の太陽暦九月十月は旧暦の八月九月と日が重なり、十五日が十五夜でした。
沖縄の民謡には月を歌ったものが沢山あるせいでしょう。月を見ると何かしら歌いたくなります。
月に関する民謡には私が知っている範囲ですけれど、
「月ぬ清しゃ」「月ぬ真昼間」(満月の夜の意)「月の夜節」「おぼろ月」「流れ雲」「十六夜」「月と男心」「月眺み」「金武湾月夜」「月夜の恋」「二十日御月前」「ケーヒットゥリ」「新里前とよ」「汀間当」「浜千鳥」「砂辺の浜」「白骨節(歌の前に「月の光は変わらないが人の心は変わるものだ」と云う意味の琉歌が詠まれます)」などがあります。
即興で歌うものもありますから数えることも出来ません。
私見ですが沖縄民謡には月が似合います。
月夜に若者たちが集まって野原で歌い踊る習慣があったせいでしょう。まぁ合コンですね。ちなみに婚約した時点で出入り禁止になりました。
ある程度月が出ていなければ、踊っても見ることが出来ませんし。お酒を酌み交わすのも大変そうです。
そして祝い事や村祭り(村遊びと言います)もまた、だいたい十五夜の前後に催されたそうです(無論全てではありません。日が決まっている行事もありますから)。舞台を設えての有志による芝居や舞踊が上演されるなど、準備もなかなか大変だったとか。
旧暦七月十五日はお盆の最終日。祖霊を送るエイサーの日です。道じゅねーと言って地域の境まで踊り歩きます。三線を弾きながら歌う地謡方も一緒に移動します。
旧暦八月十五日は中秋の名月。「月眺み大会(民謡「月眺み」を歌うコンクール)」があります。家庭では月見の宴。ふちゃぎ餅(塩で煮た小豆を餅にまぶしたもの)がつきものです。
本島中部の沖縄市にある「沖縄こどものくに」では旧暦九月十六日の夜に、野外コンサートが催されています。地元の酒造会社の提供で泡盛飲み放題というのも魅力です。
沖縄は今でも旧暦で各種の行事を催しますし、生年祝も数え年だったりします。そんな風に、ある意味頑固に風習を守っているところも好きなのです。
そういえば今夜(投稿時2016年十月二十日深夜)は二十日月ですね。
二十日月以降、月の出が遅くなるので夜が暗くなります。
「道さえ見えない二十日月の夜の暗さ、夜露の多さ」と言われる夜です。
もし、夜に外出されるならばどうぞお気をつけて。