13/146
いつか食べたいなぁ
手に入れることが出来ないのに諦めきれない食べ物があります。
サッチポロ、というアイヌの保存食です。
産卵寸前の、卵巣を切ると一粒ずつバラバラになるようなイクラを甘塩くらいの味つけにして、鮭の胃袋に詰めて燻製にしたもの。
冷たい場所でゆっくり燻蒸しないといけないとかで、燻製作りとアウトドアが趣味の友人に頼んだのですが
作り方を教えたら
「関東で作るには無理がある」と断られた代物です。
あるアイヌの物語の中でサッチポロは狐が化けた嫁と本物の嫁を見分ける為に使われています。
一粒ずつ口に入れて、ゆっくり噛み締めて食べなければいけないサッチポロを、狐は出されたサッチポロ全部を一度に頬張ってイクラが粘って歯にくっつき、口が思うように開かなくなり、慌てたところ正体が現れるという話です。
私は幼い頃から物語に出て来る架空の食べ物に随分憧れたものです(朝焼けの雲とか、架空の果物とか)。
サッチポロは実在した(北海道の気候なら作れるかも、と先の友人に言われたからもしかして作っているところがあるかもしれません。)食べ物なので諦めるのが難しいです。