もうすぐ針供養
針供養の日が近づいてきました(二月八日)。
今年は行きたいから一緒に行ってくれないかと母から連絡が来まして行くことにしました。晴れてたら。
二十年ほど前までは母は一人で針供養に浅草まで出かけていました。もうすぐ米寿ですから流石に一人では行かせられません。
淡島様というのは女性のための神様なのだそうで、
母は布を裁つ時は必ず裁ちバサミを胸に抱いて
「淡島様お守りくださいませ」
と唱えた後、もう一度印を改めてからハサミを入れていました。
独身の時から結婚して子どもが出来るまでずっと針子をしていた母は職場が神田にあったこともあり、針供養には同僚と一緒に行っていたそうです。
その後、私たち子どもが成人した頃から毎年針供養に行くようになりました。
針を豆腐に刺すのが小さい頃の私には不思議でした。
「何もわざわざそんなことしなくても…」
と思ったからです。
「堅い布をずっと縫っていたから柔らかい豆腐に刺してねぎらうのよ。ありがとうって。」
と母は言い聞かせてくれましたけれど。
布ってそんなに堅いものなの?
というのが疑問だったのです。
布って柔らかいよね?って。
やがて私にもその疑問は解けました。
厚手の布は本当に堅い!
デニムも帯地も帆布も。あと重ねられたウールも。
指貫が裁縫に必要なのもよくわかりました。
母が針供養に行きたがるのはきっと何本も針を折ってきたからなのでしょう。
浅草育ちでもありますから界隈が懐かしいのもあると思います。