お香は好きなのだけれど
お香に限らず香りのものって好きです。
塗香も匂い袋もトワレも練り香も。
でも香りのものを自分の身につけることはもう随分前に諦めました。
どんなに好きな香りであってもトワレはやがて鼻について自分が嫌になり、匂い袋を持ち歩いた時は友人たちから「年寄りっぽい」と文句を言われ、いずれにしても料理する時、食べる時には移り香が気になる、などなどありまして。
消去法で家でお香を焚くくらいが許容範囲となったわけです(芳香剤は匂いが立ち過ぎ、残り過ぎるのでパス)。
玄関や部屋にすぐにそれと判らないくらいに薫るくらいが私と家人にはちょうど良かったみたいです。
家に来る友人たちにも好評で(ただし服に焚きしめるなと釘を刺されました。家の中の空気が薫るから良いのであって私からこの香りがしたら年寄りじみて変だと。)家人と二人、悦に入ってました。
四年前、猫を飼うまでは。
花と名付けた猫を家に迎えました。
花はお香を嫌って焚くと数時間はその部屋に入ろうとせず焚いた私にも近づこうとしません。
そのくせ甘えん坊で寂しがりやの花は私に近づけないことが嫌で鳴き喚くのです。
以来我が家で香を焚くことはなくなりました。
家人は猫が嫌う匂いを排除するためにそれまでより一層掃除に励むようになりました。
今は生花を飾るのがせいぜいです。
しかも猫が触らないように気をつけて。
私、香りのもの本当に好きなんだけどなぁ。
…それは、猫よりは無くても良いのだけれど。