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能(日本)と組踊(琉球)

能が元になったと思われる沖縄の芸能に組踊があります。

歌舞伎の影響とか色々研究者は書いていますが、唱えや抑えられた所作、内容を見比べるとやはり能がルーツだと思います。

どちらも武士の嗜みという共通点があります。

能の章句は武士の共通語として公の場で発言したり、手紙を書く際に用いられました。

組踊は琉球王府の芸能なので門外不出。武家だけの嗜みでした。組踊の作者も琉球王府の役人です。使節を饗応する際に上演される為に作られました。庶民が観るようになったのは明治以降です。職を失った武士が見世物にして糊口を凌いだのです。

能は後シテが出てくる前にアイ狂言による由来の説明などが入り、舞台上の時系列的に過去が語られることがあります。一方の組踊には時系列の乱れがありません。この辺りが最大の違いだと思っています。

言葉の聴き取りは組踊の方がわかりやすいです。沖縄語がわかれば、ですが。

能は江戸時代には一度に五曲ほどを狂言と組み合わせて上演されました。この組み合わせのことを番組と言います。始めから終わりまで七、八時間くらいです。勿論もっと長くなることも珍しくなかったようです。その為飽きさせないように能の内容はバリエーションが豊かです。

一方の組踊は、舞踊などの他の芸能と組み合わせて上演された為にあまり数が多くありません。仇討ちものが多いのも特徴でしょう。


能と組踊には呼応する内容のものがあります。

「桜川」「隅田川」(能)と「人盗人」(組踊)

「芦刈」(能)と「花売りの縁」(組踊)などです。

私が一番面白く思う呼応は

「羽衣」(能)と「銘刈子」(めかるしい。組踊)です。

「羽衣」は、漁師が羽衣を拾い、天女に衣を返す代わりに舞いを所望します。天女は返された衣をつけて宙を舞いながら天に帰ります。という内容です。

「銘刈子」は、漁師の銘刈子が天女の衣を拾って隠し、天女を娶り、一女一男が生まれます。その後衣を見つけた天女は子どもを置いて一人で天に帰ります。残された娘を天女の子だというので琉球王が妻にするという内容です。


伝説から話を削ぎ落として骨子だけにしたような能と、王朝の箔付けに使ったと思われる組踊。

どちらがどうということではなく、対比として面白いと思うのです。



追記 (2016.10.27)

2016年1月16日

横浜能楽堂で能「羽衣」と組踊「銘刈子」の公演がありました。

「羽衣」に出演されたワキの宝生閑さんの所作がことに印象に残る舞台でした。

まさか、翌月(2月1日)にお亡くなりになるとは夢にも思いませんでした。

今思えばあれが最後の舞台だったかもしれませんのでここに追記します。合掌




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