ホラーが嫌いです。
エッセイをまとめようと思いこの形にしました。
多分一話一話全然別の話が脈絡なしに並びます。
お許しください。
ホラーが苦手です。それはもう苦手。
お化け屋敷なんか、看板を見ただけで避けてしまいます。入ったことありません。恐いの大嫌いです。
でも、結構オカルト的な体験してます。しかも自覚なし。その時に隣に居た友人が恐かったと後から言ってくるのです。例えばこんな風に。
もう随分前のこと。
夕方から友人宅に何人か集まって食事してお喋り。
夜も結構遅くなったのでお開き。私だけ方向が違うので、自転車で来た友人(男)が家まで送ってくれることになりました。ひと気の無い道を二人で、とりとめのない話をしながら私は歩き、彼はゆっくり自転車をこいで進んでいました。
もう少しで我が家、というある場所で、彼が急に止りました。ペダルを踏んだまま、バランスを取っているかのように。私は彼がいきなり止まったのに気がつかず、彼より数メートル先の位置から振り向いて
「どうしたのよ?」
すると、彼はそのままの体勢で
「あのさ、この先に何かある?」
変なことを訊くなぁ、と思いながら
「うーん。あ、空き地があるよ。小さな祠が残っていて常夜灯がついてる。笹だらけで、灯が青く映ってわりと綺麗なんだ。」
と答えました。すると彼、
「ここまででも良いか?」
と言ってきたので、確かに家はもう近いから
「うん。ありがとう。おやすみ。気をつけてね。」
と別れ、私は無事家に帰り、おやすみなさい。ぐっすり眠りました。
次の日の午後、彼から電話があって
「気になることがあって会いたい」
と言うから駅前の友人皆で行きつけにしている喫茶店で待ち合わせ。はて何でしょう。
彼「昨日はゴメン。途中で帰って。」
私「いいよ。遅かったし。君の家、反対方向だもの。気にしてないよ。」
彼「実はあの時、俺、ペダルを漕いでたのよ。全体重かけて、立ち漕ぎしてたの。」
私「あの止まってた時?嘘だあ、だって君の体重百キロ超えだよね?それであの平らな道で止まる?」
彼「だから焦ってさ。それで訊いたんだよ、何かあるかって。そしたら、君が答えたでしょう。その時ねえ君の顔。別人だった。俺が見たことのない、全然知らない人になってた。」
私「ええー。そういうの苦手だって知ってるでしょうが。駄目だよ。冗談になんないよ。やだなぁ。」
彼「嘘じゃないよ。それでさ、君、別れた時、振り返らなかったよね。珍しく。普通誰かと別れる時、最後まで手を振ってるのに。」
私「やーさすがに早く帰って、寝たかったから。」
彼「ターンしようとハンドルを切ったら俺、こけかけた。勢いがつき過ぎて。あれほど動かなかったペダルがいきなり動きだしたんだ。あのな、悪いこと言わない、あの場所に近づくな。」
私「わかったよ。」
こんな話です。まぁ担がれたかもしれませんけど。
この彼とは今でも友人です。一時期体重百二十キロ、身長変わらず百八十。武道もやってる優しい人で、美人の奥さん(私の友人でもある)と結婚。私も共通の友人である人と結婚しまして家族ぐるみの付き合いを今もしています。でも、この話はあれから一度もしてません。そういえば。
ちなみにその空き地はしばらくして周りの土地とともに公園になりました。