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しるし2(詩集)

寒天語り

作者: さゆみ




ぼくの中に眠るのは

砂浜に干された天草の記憶

煮沸されて麻袋の中で惑う

抽出された粘り気

寒空の下凍えていった


虚ろな味が赤ワインに染まる

ぼくに映るあなたの顔を

思い出す

遠い星に旅立った

葡萄を探しに


常温のままで保てるから

力なく頼りなく美しく

ぼくは蜜柑をのみこむ

きみが望むならば

乳白色になってもいい


或いは立方体におとされて

柔らかな求肥と粒選りな餡

赤えんどうを転がして

黒蜜の魔術を信じたい


やがて全世界をのみこんだ

ぼくに映るきみの顔が

ふやけてる

地球儀入りの寒天なんて

いかれてる




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