102.××、切望する。
燃え盛る部屋のなかで、私は誰かの上にまたがり首を締めていました。
そんな普通とは言えない状況にもかかわらず頭はやけに冷静で
(あぁこれは夢なんだろうな)
と、ぼんやり考えていました。
だってそうでしょう。
その苦しさと絶望に歪んでいる顔が見慣れた自分の物なのですから。
これが夢でないとしたらなんなのでしょう。
「『ねぇどうしてまだ生きてるの? なんでまだ死なないの?』」
自分の口が虚ろに開いてはパクパクと動きます。
その声は自分の物のようでもあり、知らない誰かの様でもありました。
「『早く、早く死んでよ。生きてる価値が無いとは言わないけれど、死んでくれた方がよっぽど建設的なんだから』」
ギリリと万力のように力を込めていきます。
開いた口から嗚咽が漏れ、涎と涙がこぼれ落ちて少し日焼けした畳に吸い込まれていきます。
汚い。
苦しい。
涙を流しているのは私?
それとも『あたし』?
「『こんな自分生まれてこなければ良かった。最初から存在していなかった。そうでしょ』」
覆いかぶさって首を絞めて来る『私』がぼんやりと霞みます。
そうです、お願いします。
始めから無かったことに出来るのなら
『存在』ごと消してしまえるのなら
あぁ、かみさま
おねがいです
よくぶかいことはいいません。
ごうまんなこともいいません。
どうかどうか
さいしょでさいごのおねがいです
あたしが存在したという事実ごと、消