表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
城砦建築の召喚術師  作者: 狸鈴
前章 レガシー編
8/55

大魔王たぬき事件 5

3/9改稿しました

 バハムートの かみつく こうげき!


 しきかんに 999 のダメージ!


 こうかはばつぐんだ!




 ついかっとなってやった。反省しても後悔はしていない。逃げ出したら元々倒す予定だったので、大きな問題はないのだ、多分。


 敵は総崩れだ、作戦をプランH(捕虜)に変更する。これ以上の戦闘は無意味なので投降を呼びかけるとしよう。


 逃げ出した敗残兵をグリフォンたぬ騎士達が連れてくるのを待っていると、海軍大将 皇帝ペンギンから連絡が入った。大将なのは皇帝が下っ端ではいけないからだ。


 話を聞くと大型のガレオン船が『ツヴァイ』を砲撃しようとしていたようだ。大砲の照準をあわせようとした所をペンギン軍団200が大砲と船底を凍りつかせ船内を強襲。混乱した所をセイレーンとハーピーが包囲して睡眠のコンボ。睡眠をレジストした20人弱も投降させたらしい。現在集まった800体の海洋系召喚モンスターが包囲しながらこちらに曳航中との事。役目がなかったので皆暇だったんだろう。


 実は別働隊に船舶があると言うのは知らなかった。可能性として対処していて良かったが、敵さんもなかなか考えているらしい。しかもわざわざ『ツヴァイ』を攻撃してこちらの手札を増やしてくれるとは恐れ入った。


 が、指揮官が生きていれば色々揺さぶりをかけられたのだが、食べちゃったから仕方が無い。生き残りを煽動して商人でも狙いにいくかと計画していると集合が終わったと連絡が入る。100人ほど残っている捕虜を、黒くなったバハムートが監視しているのが見える。


 城壁を降りていると義賊(笑)さんが駆け寄ってきた。どうやら潰してしまった某ギルドの元マスターが捕虜の中に居たらしい。生きていたという事は外周で日和って捕まったのか……策士か小物か分からないが、多分憎まれている私が顔を出せば何か行動を起こすだろう。こちらとしては一騎打ちになってもかまわないし、黒幕は叩きのめす必要があるのだ。


 捕虜に向かっていくとその中の一人の男から遠目でも睨まれているのが分かる。こちらが目立つ格好をしているので、城壁の上に居た人物だとばれているのだろう。


「お前が『アイン』か?」


 睨む男が尋ねてきたが、答える前に義賊(笑)さんに視線を送る。頷いたので当人らしい。元ギルドマスターを無視して話を進める


「貴方はこの騒ぎを計画した首謀者4人のうちの一人であると報告があがっている。言い逃れはできない。今回一般プレイヤーを『騙して』いた事を含めて徹底的に追求させて貰う!勝利した側としてな!」


 周りがざわめいている。騙されているとは思っていなかったのだろう。そこで元ギルドマスターが笑い出した。


「お前は、もう勝ったつもりで居るのか!まだまだ攻めさせてももらうし、今回の戦いもまだ終わったわけではない!まだこちらは負けていないのだ!」


 あ、これは小物だ。『勝利した側』とわざわざ強調して釣ろうとした事に気がついてない。『騙して』と言うところを否定しないと認めた事になる。


「この状況で負けを認めないと言うのはなかなか豪儀だが、ここまで来ると哀れだな。自らの状況が分かっていないと見える」


 ほんとになー。


「ふはっはっは!ならば聞いて驚くがいい!300トンクラスのガレオン船が、お前達が協力している『ツヴァイ』に向けて砲撃準備をしている!遠距離プレイヤー100人とあわせて数十分であの街を火の海にできるだろう!ここからではお前達には止められない!止める事が出来るのは俺だけだ!」


 うん、それもう拿捕された。でも知らないふり。


「な、なんてひどい事を!確かにあの街に色々な素材や情報を回しているが、あくまでもこちらからの一方的な技術協力であり、あの街にいるのは我々のことを何もしらない一般プレイヤーだ!しかも君達に協力している側のプレイヤーだぞ!そうか……我々だけでは無く、あちらから略奪するつもりか!恥を知れ!」


 略奪疑惑までどさくさに紛れて付けました。


「貴様らに協力しているからこうなるのだ!さあ、跪け!やつらの命乞いをしろ!3分間待ってやる!」


 こいつドヤ顔でナチュラルに言い切りやがった!


 バ○ス!バ○スはどこだ!






 あまりに吃驚したので頭がフリーズしてしまった。


「時間だ!答えを聞こう!!」


 めがーーーー、めがーーーーーー!!


「おい?」


「あ、うん、ごめん」


 天然ボケは『こうかはばつぐんだ!』だったようで、元ギルドマスターが聞いてきたのに素直に謝ってしまった。


「まじごめん、ちょっと前にそのガレオン船うちのモンスターが拿捕しちゃってた」


「は?」


「照準合わせようとしたところを拿捕して今こっちに曳航中。ほとんど奇襲で眠らせたって言ってたから、協力者と連絡とれていないんじゃないかな?」


「……」


「……」


 吃驚しすぎて口調が元にもどってしまった、無言で空気が痛い。何かアイテムを操作しているが反応が無いようだ。


「……」


「くっ……かくなる上は、俺と一騎打ちをしろ!」


 ここで一騎打ちの申し込みが!だが元ギルドマスターは怒った味方に囲まれているようだ!逃げられない!


「嬢ちゃん、すまんがこいつに聞きたい事ができた。この場は皆に預けて貰いたい。この侘びは必ずする」


「こら貴様ら!何をする!離せ!」


『ハァ』とため息をつき、了承の意を返す。


「こちらとしては同じ事が起きなければ問題ないです。今回の事件についての情報を提供する用意はあるので、死なせないように思う存分やっちゃってください!」


 最後は良い笑顔でマッチョマンな男性にGOサインを出す。


「ま、待……」


 何か聞こえるが放置して、私は砦に帰っていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ