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城砦建築の召喚術師  作者: 狸鈴
前章 レガシー編
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大魔王たぬき事件 3

3/9改稿しました



 敵 指揮官サイド



 その日ゲームに入ると世話になった事のある商人から『相談したい事がある』と連絡があった。


 指定の場所に向かうと、商人と元ギルドマスターと悪名高いPKerの三人が待っていた。この三人がつるんでいる事は知っていたので、今回も何かするつもりなのかと呼ばれた事に納得する。


「良く来てくれた。重大な案件が出来たので皆に集まって貰ったのだ。まずこれを見てほしい」


 ほう、これはいい武器だ。かなり名のあるボスのドロップなのだろう。元ギルドマスターが手に取るが、目を見開いて固まっていた。見ただけで分かるほどの性能の高さだ。驚愕に値する程には性能が高いのだろうと心が躍る。


「これをどこで手に入れた!」


 ん?驚愕という雰囲気じゃないな。これは『憎しみ』か。 


「まあ待て。結論を急ぐでない。そのあたりも含めて説明しよう」


 商人にうながされ、元ギルドマスターは武器を睨みながら元に戻し、席に座る。


「これはあるプレイヤーをPKして手に入れた物だ。相手12人に対して50人で襲ったが、こちらの損害6相手は1。相手の撤退を止める事すら出来ず倒せたのも殿のみという燦燦たる結果だが、そのプレイヤー達は何故かこの『圧倒的な武器』を使っていなかったと報告があった」


 妙な話だった。たとえ『切り札』として隠していたとしても、味方を逃がす殿というポジションで切り札を切らない事は考えにくい。


「そしてこの武器にある『アイン』という銘と最近話題に上がっているクラフター集団の存在。その意思を考えると一つの正解が見えてくる。やつらは自分達が作った強いアイテムの存在を秘匿しているんだろう。理由としては仲間の保護、去年の夏休みの再来を防ぐためというところか」


 たった1本の武器でギルドは崩壊したのだ。何本も作り出せるとなると人が殺到するのは想像に難くない。


「そして奴らの異常な錬度の高さから、その作り出した装備を使ってどんどん攻略を進めているものかと思われる。つまりこの武器と同じか、更に強い武器が山ほどあの街にはあるということだ!」


 な、なんだってー!(棒 ……いや、当たり前だろう。問題はその武器が普通は手に入らないという事だ。あそこは情報封鎖のレベルが異常なのだ。偶然PKする以外に手に入る可能性は少ない。元ギルドマスターも落胆しているように見える。


「ここからが私の計画だ。人を集めてあの街を攻めようと思っている。」


「それこそ無理だ。相手の装備が良すぎるしこっちは集められても500だ。人数で勝てるかもしれないが質の差が大きすぎるので賭けにもならない」


 元ギルドマスターも思う所があったのか口を挟む。性能を見たものの実感なんだろう。


「先ほども待てといったぞ。我々の目的は街を落とす事か?違うだろう?」


 確かに我々の望みは『アイテムを奪う』事だ。軍隊による威圧で『相手の誠意』を引き出す事も方法によっては可能だろう。


「相手の町の戦力はプレイヤーが100、後は街の代表の召喚モンスターが500ということだ」


『500!?』


 有り得ない数字に吃驚する。1人12体が召喚数の限界のはずだ。


「召喚数に関しては何か増えるようなアイテムがあるんだろう。その召喚モンスターもほとんどが低級な『たぬき系』のモンスターだ。いくら装備を整えても同じ装備のプレイヤーには及ばない」


 それでもほぼ同数では臆病風に吹かれてくれない限り降伏はしてこないだろう。


「まずここで一計案じる。一般プレイヤーからも参加を募るのだ。旗印には『隠されてきた技術の恩恵を、一般プレイヤーにも開放させるという正義』を持ってくる。その他多数の『プレイヤーの為』の行為なのだ。かかった費用や損害は全て私が受け持とう。参加するものに金銭的な負担はない。その代わり入手したアイテム等は私が管理させて貰うがな」


「それで一般プレイヤーにはそれなりの装備を渡して、強い装備は俺達が占有するという事だな」


 PKerが言う。


「その軍の指揮官をお前にやって貰いたいという事だ。俺達は前面に出る事はできないからな」


 こっちを見て言ってくる。まあ、そうなるだろうと納得する。


「1500や2000集まったら何とか戦いにはなるだろう。しかしあの街は城砦だ。篭られたら流石に一般プレイヤー達は飽きる者が多くなるぞ」


 商人は驚いている。アイン城砦の情報を持っていた事に驚いたらしい。情報を集めるのは当たり前だし、情報があっても攻城戦は精神に来るものがあるのだ。


「その点もぬかりは無い。もし篭られて出てこない場合は『こいつらは技術をこの先も独占するつもりだ!』と不満を増大させる。その不満は次の戦いに持って行く事ができる。士気を下げさせない為に最新鋭のガレオン船300トンクラスで艦砲射撃を『アイン』に向けて行う予定だ。あの戦艦に100人の遠隔攻撃型のプレイヤーを乗せれば、多少の召喚モンスターやプレイヤーが来てもなんとでもなるだろう。戦えなくても積もった不満によって人は集まり、我々の勢力はどんどん増していくのさ」


 となると問題は総力戦になったときか。


「総力戦。そうだな、相手の召喚モンスターが高レベル装備で特攻、もしくは更なる多数の戦力を隠していた等で損害が多すぎた場合はどうなる?」


 相手の戦力を過少に評価するのは愚策だ。


「それこそ問題が無い。むしろ一回目の戦闘では篭られるか虐殺されるかのどちらかだと考えている。実は最初はこちら500に相手が1000でも全く問題ないのだ。相手を100人倒せば100個のアイテムが手に入る。相手はこちらをどれだけ倒しても戦力は上がらないが、こちらは相手の装備を奪えば戦力が上がる。実際に高性能なアイテムが手に入るとなると、次の戦いでは人が殺到するだろう。更に自分の財布は傷まないのだ。ボーナスゲームにも程があるだろう?」


 ああつまり何度も攻めればいずれ戦力が逆転する。多数のプレイヤーの支持をつけることが出来る我々は、最終的には負ける事が無い。最初の一押しである技術独占の証拠が流出した段階で勝敗は決していたのだ。


「わかった、指揮官を引き受けよう」


 相手のことをすこし不憫に思いながら指揮官になる事を引き受けた。



 当日、1500名のプレイヤーの前で演説を行う。


「よく集まってくれた!我々の作戦に賛同してくれた事を感謝する!我々は今回1500人も集まった!この人数はそのまま我々の怒りを示すものである!この戦いを告知したあと彼らから一切の接触はなく、秘匿された装備などが出回っている形跡はない!彼らは反省しておらず、自らの事しか考えていないのだ!」


 そうだ!そうだー!と歓声が上がる。


「だが先に言っておくことがある!彼らの戦力は全くの不明だ。だが我らの優勢は変わらない!我らが全滅しようが相手の装備を100個奪おう!必ず我々の戦力は上がる!そして何度も攻めれば、相手に勝る数のプレイヤーの支持がある我々は負ける事が無い!繰り返すがこの戦いは既に勝っているのだ!」


 おおおぉー!!と、どよめきが広がる。


「この戦いは紛れもなく正義によって行われる戦いだ!諸君らの健闘に期待する!!」


 掴みは上々、後はアイン城砦側がどう出てくるかだ。





 アイン城砦前に到着したときには相手の兵力500が城門付近に展開していた。城砦に篭られる事になると思っていたから驚いたのだ。


 見る限り外に居るのはたぬきの召喚モンスターのみ。遠目でも全ての固体が高級装備で身を固めている。もっともこちらにとってあり難い采配だ。


 こちらの軍勢は高級装備を目の前にして士気が上がっている。その一方相手のたぬき達は静まり返っている。召喚モンスターであったとしてもモンスター特有の感情の様なものを備えているので、士気がかなり低いものだと思われる。三倍の人数差だ、怯えるのも仕方が無いだろう。



 これは一回目の戦闘で終わるかもしれないなと『たぬきの皮算用』をしながら、宣戦布告の為に歩を進めた。



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