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城砦建築の召喚術師  作者: 狸鈴
第三章 食料調達編
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魔王襲来 4

色々今後の展開になやみながら書いていたら7000文字超えました……。

なので急遽2分割に……

2000-3000で小刻みに投稿するのと纏めるのは、どっちが読みやすいのかなぁ。

「さて間食も終わったので、次は晩御飯を考えようか」


 と言った途端、


「違うクマ!そろそろ私の話も聞クマ!」


 と、ベルンから物言いが入った。だがここで引く私ではない。


「つまりベルンはご飯いらないの?」


「そうだな……今日はクリームシチューでも作るか」


「オヤツが終わったら私の話を聞く約束だったクマ!」


 ウェスタが良い援護をしてくるが、ベルンもなかなかいい抵抗をしてきた。


「良いじゃがいももあるし、美味しいシチューが作れそうだよねー」


 が、ファレンが乗ってきた事でベルンを放置する流れになった。一方ベルンは悔しそうな顔をしていたが、急に小首を傾げて聞いてきた。


「神様が……じゃがいもを食べるクマ……?」


「ん?さっきのポテチもじゃがいもだよ?」


 でもベルンが興味深い事を言っていたので、私が思わず反応してしまった。


『えーーー!?』『え……?』


 ベルンはともかく、何故かフェズさんからも驚きの声が上がる。その反応に思い付くことがあった。


「あー、じゃがいもの芽とか連作障害とかのテンプレかな?でも王様からの物資に入っていたんだよね?」


 やっぱり疑問に思いチラッとウェスタを見る。


「私は前々王にちゃんと対策を伝えてたぞ?」


 ウェスタは次にフェズさんに視線を送る。そりゃ毒と思われているものを王様も物資に入れないだろうから、ちゃんと話は通してあるのだろう。


「気を悪くしないで欲しいのですが、我々一般市民にはじゃがいもは腹を下し運が悪いと死ぬと伝わってますね……。また大量に採れて保存もきき、お腹も膨れる食べ物ですので『奴隷の食べ物』と言われあまり食べるものは居りません」


 私の店では出していませんよとフェズさんが眉をひそめながら付け加えた。フェズさんにしては珍しく、じゃがいもに対してかなり嫌悪感を抱いているらしい。


「夫婦喧嘩とじゃがいもは、ゴブリンですら食べないと言われているクマ……」


 フェズさんの話をベルンが分かりやすく補足したが、何故それほど嫌悪されているのかと疑問に思ってしまう。4割にも及ぶ奴隷が食べられる程数が作られているのに、一般市民が忌避して食べていない事が異常なのだ。


 だが犬とゴブリンが同列に語られるとか、全国の愛犬家から大ブーイングが来てしまうかもしれないよ……?


「たぶん民間伝承には勝てなかったんだろうね……。まぁ今の王様なら何とかするだろうから、ウェスタも落ち込まないでね?」


「まぁ関心を持っていなかった私が悪いとも言えるしな」


 私がウェスタを励ますと、じゃがいもは美味しいのになぁ……と寂しげに笑っていた。ちゃんと一般市民に伝わってたら食料問題がかなり改善してただろうし、広められ無かった為政者は自業自得と言えるだろう。


 そんな微妙な空気のなかベルンが切り出した。


「……流れ的に凄く言い辛いけど、そろそろ私の用件を話させてもらっても良いクマ?」


 とベルンが切り出してきた。


「チッ」


「舌打ちしたクマ!?」


 私も思わず舌打ちしてしまった。なかなか粘り強いクマさんである。


「そうだね、用件如何では敵対することになるかもしれないもんね」


「いきなり召喚術で縛っておいて、敵対も何も無いとおもうクマ……」


 私の言葉にベルンはため息まじりで嘆いた。私もごもっともだと思ったのでジェスチャーで『降参』を表した。


「じゃあ、アイ。少し私の話を聞いてほしいクマ」


「うん、分かったよ。その前にみんなでテーブルに行こうか」


 皆でキッチンからテーブルに向かう。私は皆のコップに飲み物を追加するのも忘れなかった。


 そして皆が口の中を潤した後、ベルンが喋り始めた。


「まず貴女は何者クマ?普通は『魔王』とも呼ばれる私達を召喚出来るはずが無いんだクマ。それに主人であるはずの貴方から、魔力をあまり感じないのもおかしいクマ」


 まあ妥当な疑問だと思うのではぐらかさずに答える。


「私の事はアイって呼んでくれて良いよ。実は私は魔力を制御するために、殆どを封印しているんだよ」


「……封印クマ?」


「さすがにここで封印を解く訳にはいかないから、後日機会があれば見せてあげるよ。まぁ、魔力の多いのが取り柄の普通の人間というのが一番正しいと思うぽい?」


 異論が出てもカテゴリー的に人間以外に当てはまらないのだから仕方がないぽい?ぽいぽい。



「アイの事はわかったのでここから本題にはいるクマ。実は私には故郷に恋人がいるクマ」


 いきなりの衝撃の事実が発覚。ベルンはリア充だったらしい。頭の上の熊の照れたリアクションがウザく感じてしまうのは必然なのだろう。


「そしていつも通り一緒に森の中で採集をしていたら、彼が目の前で消えちゃったんだクマ」


 そっかー、消えたのかー。ミステリーだね?


 そう言えばクマの主食はドングリとかの木の実だっけ。でも私はクマは屍肉も食べる雑食なので死んだ振りの意味はないと言う事も知っている。


「慌てていたら直ぐに戻ってきたんだけど、帰って来た彼は私の胸の中で号泣してしまったクマ」


 嫌な予感はバリバリ感じているが、言わないといけない事があるので敢えて予感は無視をする。


『……もいでいい?』


「何を!?」


 ベルンに対して私とファレンの言葉がきれいに被る。ベルンは立派な物を手で隠してしまった。その身長でその大きさであることを、妬ましいと思わない人はいるだろうか?


 そんな私達を見て、リーシャちゃんが首を傾げてしまったので続きを促した。


「……元々、彼の一族『ベルゼブブ』は元々神達に仕えていたクマ。伝承ではかなり人気があったらしいクマ」


 うん、タヌキ人の方じゃなくて本当に良かった。あれは戦闘になっても断固辞退したい。ベルゼブブさんは即送還したし問題ないとおもうんだけどなぁ……


「でもある日、光の神の怒りをかってこの世界に落とされたらしいクマ」


 またここでも光の神か……。神の眷属が下界に落され悪魔の王の名を冠すると言うのは地球の神話でも良くあるなぁ。


「いつの日か神に許してもらえる日が来る事を信じて、彼らは何代も魔族領の争いを仲裁したり魔族を纏めたりしていたんだクマ」


「あの子達にはそんな歴史があったのか……」


 ベルンの言葉にファレンがぼそりと小声で言う。ふと、それは一体何年前の話なのか気になってしまった。


「そんな中で魔王と呼ばれる私達を召喚出来る程の存在に、やっと仕える事が出来ると思ったら即送還されたクマ。自らが力量不足だったのだと嘆いて、今は以前の勇壮さは微塵も無くなってしまっているクマ」


 ……あの時のベルゼブブしか居ないよね?でも流石にあれは不可抗力だと思うんだ。


「つまり私は、そんな酷いことをした酷い人を懲らしめにやって来たんだクマ!」


 ベルンはドヤ顔で皆に宣言した。




 なるほど!なぞはすべてとけた!はんにんはわたしだ!




「……悪い人もいるもんだねぇ?」


『……』


 私は取り合えず惚けたが、回りの視線は私に集中してしまっていた……。


「私の言い訳も聞いてよ!だってたぬ騎士クラスを召喚しようとして魔王が出てきたら、流石に慌てて戻しちゃうよ!」


「まぁ私もその場にいたけど、アイが悪意を持ってやったことではないと言うことは保証するよ」


 私の言い訳をファレンがフォローしてくれた。持つべきものは共犯者(なかま)である。正しくは目撃者かもしれないが。


「彼の目が正しかった事は意図していなかったとは言え確認できたし、悪い人間ではないと言うのも『繋がって』いるのだから理解しているクマ。でもそれとこれとは話が別クマ」


 ベルンは憮然としてため息をついた。


「つまり、ベルゼブブさんを私に責任を取って配下に加えろっていう事だよね」


「今ならなんと私も付いてくるクマ」


 着せ替え巨乳熊娘が付くと言うのは中々に良いオプションかもしれない。だがタダより高いものは無いので確認は色々必要だろうと思い敢えてスルーする。


「ベルゼブブさんが居なくなっても魔族領は大丈夫なの?」


 スルーされた事に拍子抜けした感じではあるが、ベルンがそのまま答えてくる。


「一杯いるから一人くらい問題ないクマ」


「ぶっちゃけ仕事がまだ無いから暇だとおもうよ?」


「不貞腐れて引きこもられるよりも大分健全クマ」


 中々決心は固いようだなぁと諦める。だがOKを出す前に私も確認しないとならないことがあったので、気を引き締めながらベルンに話し始めた。


 

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