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城砦建築の召喚術師  作者: 狸鈴
第二章 奴隷解放編
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王城襲撃作戦 8

インフルの最後の悪あがきか、咳と鼻水が止まらずに大変な事になっていました。

更に2度程書き直してしまった事もあり、遅くなってしまって申し訳ありませんでしたorz

 私は兵士さん達の覚悟を確かめてみようと思う。


「ふむ、どうやら我々を試されているようですが、我々は近衛兵であり王を守るのが職務です。我々は王と同じ覚悟を持つべきではないので答は『NO』ですね」


 我々の覚悟は別にありますので、と隊長さんがいう。


 そりゃその通りだろうね。でも物語には何で武官をしているのか分からない、スーパー近衛兵もいるから対応が難しいんだ……


「試すようなことをしてごめんね、どういうタイプの近衛兵なのかを知る必要があったんだ。もちろん合格だよ」


 となると詳しい説明はしない方がいいだろう。


「じゃあこうしよう。兵士さん達は王様が洗脳されたと思ってここに来たんだから、逆に兵士さん達も洗脳された振りをして王の意見に追従してみるのはどうだろう」


「国の最高戦力がいとも簡単に洗脳されたとなれば、貴族達はさぞ驚くでしょうなぁ。しかもその矛先が向くのは自分達となると、尚更慌てて尻尾を出しやすくなると言う寸法ですか」


「王様に言われたら神命で王への意趣返しと貴族への牽制を命じられたって言っていいからね。寧ろ聞かれなくても言ってね」


「賜りました」


「後は王様がかってにするだろうから、王様の指示に従えば良いよ」


 とりあえず話はこんなところで良いだろう。近衛兵の皆さんには早く帰って貰ってもらわないとなぁ。


「ウェスタ、肉パンを8つほどお土産に渡してあげていいかな?肉たっぷりでお願い。近衛兵の皆さんには早めに戻って欲しいから、帰りながらゆっくり食べられるようにしてあげて欲しい」


「心得た。二つ多いのは……王達の分か?」


 ウェスタが個数の差に気がつく。理由なく二個多かったら奪い合いが始まってもおかしくない。


「うん、ちゃんと王様と宰相さんにも渡してね。絶対に毒味はさせないことと、他の人間には絶対に食べさせないこと。神様が作ったありがたい料理だから皆この二点守ってね」


「もとより毒などは心配しておりませんが、しかと伝えます。」


「うん、今日はありがとうね。皆のお陰でもっと美味しい料理が作れるよ」


 塩とハーブだけでも美味しいんだけどね?やっぱりレパートリーを増やしていかないと楽しくないわけだ。


「いえ、こちらこそこんな上等な土産まで頂いて申し訳ない。この程度の荷物運びなら何時でもさせてもらうので言ってきてください。では!」


 お礼を言ってくる近衛兵さん達を送り出し朝食後の一幕は終わった。


 近衛兵さん達、他に仕事はないの……?と少し心配になるが、確かに神案件だから王達からしたら普通の兵士では不味いのかもしれない。





 ウェスタは王宮から届いた物資をそわそわしながら見に行ったし、リーシャちゃんも皆と元気に中庭で遊んでいるので直ぐにやることはないだろう。


 私はやることがないと言っておきながら、キョロキョロと辺りに目をやりスニークミッションを開始していた。気配も足音も完全に消した上での行動は不審者極まりないかもしれない。が、見つからなければ不審者ではないのだ。


 じつは昨日の夜にリーシャちゃんの記憶を見たファレンは落ち込んでしまっていた。なので監視は怠らず結構前にファレンが動きだした反応は確認していたが、フェズさんの近くで反応が止まっているとあっては放ってはおけない。


 そして今私の目の前には遠くからフェズさんを見ているファレンの姿があった。こちらアイ、目標を発見した。……任務了解。作戦を開始する。


「ファレンつかまーえた!」


『わっきゃふわぁぁぁぁー!?』


 私は神すら欺くステルスモードを駆使して、後ろからファレンの腰を抱えて持ち上げた。


 なかなか良い悲鳴を上げてくれるなぁ、イタズラのし甲斐がある。


「わっ、アイ!?下ろして下ろして!!」


 下ろしてと言われて下ろす人間は居ないんですよ。


 そのままキャーキャー言っているファレンを担いで歩いていき、フェズさんの前で下ろす。そして一言、


「ファレンがフェズさんに話したいことがあるらしいから連れてきたよ」


「ええ!?」


「流石アイはいつもごり押しだなぁ」


 私の言にファレンが驚きウェスタが突っ込んでくる。ウェスタもいたのか、気が付かなかった。そういえば搬入を見に行ってたね。


「一体何事なのかは分かりませんが保存が効くものは倉庫に、生鮮食品は火の神様に預けました。肉類だけで羊、牛、豚と揃ってますね」


「あれ?鶏肉は?……玉子は?」


 私の大好物の鶏肉がなかった。


「そういえば無いな」


 私の言葉にウェスタも同意する。


「実はこの辺りには鶏の卵を狙うゴブリンが多数いまして、町の外だと畜舎が襲われ鶏ごと持ち去られてしまいます。なので町のなかでしか作れないため、かなりの高級品なのですよ。今回高級品を省くように要望していたため除外されたものと思われます。」


 よし、ゴブリン絶滅は決定した。おっと、ゴブリンよりファレンだ。


 私はファレンの肩をぽんと叩き場を譲ると、ファレンがぼそっと喋り始める。


「名前……」


「はい?」


 フェズさんも理解できないようだ。ファレン頑張れー。


「名前……ごにょごにょ……」


「申し訳ない、聞き取りづらくて……もう一度言ってくれませんか?」


「……名前を呼んでもいいよ!」


「はい?」


 フェズさんが首をかしげた。うん、多分それが普通の反応だよね。


「フェズさん、神に名前を呼んでも良いって言われるって凄いね、やったね!」


「ええ!?これってそう言う意味なんですか!?」


「フェズは……不服なの……?」


 フェズさんが驚くがファレンがショックを受けた顔になってしまった。


「いやいやいやいや、驚いただけですよ。非常に光栄に思っていますよファレン様」


「次、様を付けたらぶちころがすよ?」


「ええ!?」


 フェズさんが驚くがそれどころではない。ネタをファレンにパクられた!


「アイと一緒でさん付けで良い」


 ファレンはぷいっと別の方向を向いてしまった。


 そしてフェズさんは助けを求めるようにウェスタを見る。


「まぁ、眷族の前以外なら良いのではないか?そうだな、私もフェズの事は信頼しているし尊敬している。だから名前を呼ぶことを許そう。流石に威厳が必要なので様付けをお願いしたいがな」


「はい?」


「おやショックだな。ファレンの名は呼んでも私の名は呼んでくれないと言うのか?」


 フェズさんが脂汗だらだらで固まってしまった。ウェスタも私の事を言えないくらいごり押ししてる気がする。


「ウェスタ、ウェスタ。流石にフェズさんが可愛そうなので一息置こう。今日はファレンの番だから明日はウェスタの番ね」


「しょうがない、認めたことを伝えられたから良しとしようか」


 フェズさんへのフォローは一応功を奏したようだ。


「さぁ、フェズさん。ファレンが待っているよ?」


「何やらとんでもないことがあった気がしますが……ファレン、さん、今後ともよろしくお願いします」


「うん!フェズもよろしくね!」


 ファレンもとても嬉しそうだった。一仕事終えたルンルンオーラで部屋に帰っていく。


 そしてフェズさんはちょっと落ち込んでいるようなウェスタにも一言。


「ウェスタ様……お言葉とても嬉しかったです。今後とも見守ってもらえるととても嬉しく思います!」


 あ、ウェスタがぴくんっ!てした。


 次の瞬間ウェスタはフェズに抱きついていた。


「あははははは!フェズは本当に良い奴だな!ここまで愉快なのは久しぶりだ!」


 正面から抱きついて背中をバシバシ叩いている。感極まると姉御は抱き付くらしい。


「うん、フェズさんも良い経験ができてよかったね!」


「なにがですか!?」


 ウェスタには大きなスライムが二匹生息しているからね。さぞ柔らかいだろう。本人に感触を楽しむ余裕はないだろうから、何も言わないけどね。


「フェズさん、いろいろ大変だけどこれからもがんばってね」


「アイさん?どこに行くんですか!?アイさんーーーー!?」


 せっかく楽しそうなのだから邪魔をするのも無粋だと思い、私は部屋に帰っていった。



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