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城砦建築の召喚術師  作者: 狸鈴
第二章 奴隷解放編
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王城襲撃作戦 7

インフルの熱は大分引きました!

今はやってるB型は強毒性らしいので症状が出たら早めに病院に行ってくださいね。まじで一日待って様子見しようとか言ってたら体が動かなくなりますので……。


 朝食は昨日の夜の残りを適当に摘まみ、昼まえに何も届か無ければ市場に買い物に行くかと支索していると、看板を降ろした商店側に誰か来たようだ。


 フェズさんが対応しているようだが少し大声も聞こえてきたので、念のため魔法で状況を確認すると兵士ぽい人が私を探しているようだった。念のために近くで待機しようと思い向かい始める。


 すると交渉決裂したのかフェズさんがこっちにやって来た。兵士はちゃんと待っているようだ、要件は一体何なんだろうか。


「あ、アイさん。王の使いを名乗る兵士がたくさんの品物を持って来ているのですが、アイさんに直接渡すので他の者には渡せないと仰ってましてどうしたものかと……」


 なかなか妙だなぁ。王様が失敗しない限り危ない状況にはならないと思うけど、まだ二日目なんだから失敗するにしても早すぎるよね?


 荷物も持ってきており店も囲まれておらず、兵士も礼儀正しく待っていると言う事は王様が失敗したのではないだろう。


 となるとわざわざ私に会いに来たと言う事だけど、王宮であんな態度をとっていた私に会いに来る人物はまともな人とは思えない。


「まぁとりあえず会いに行ってきますか。わざわざ朝も早くから来てくれたんだから歓待しないとね」


 そういってフェズさんと歩きながらウェスタに話しかけた。


『ウェスタ、ウェスタ、聞こえますか?』


『ああ聞こえているぞ、アイ』


『フェズさんの自信をマリアナ海溝まで落とした最高のコーヒーを8杯頼んで良いかな?ウェスタも来るなら増やしてね』


『ああ、城の兵士が来たのか。さきほど騒いでいたが大丈夫か?』


『ちょっと情報不足だね。でもまぁ、隕石でも落ちてこない限り大丈夫じゃないかな?』


『じゃあ大丈夫だな。私は様子を見ておくよ』


『よろしくね』


 など話して居ると応接間に着いた。確認した通り人数は六人だったが鎧がお揃いな上格好良いので、それなりの地位の人達なのかも知れない。


 今回は最初から丁寧モードで行こうと思うが、兵士さん達の表情が厳しいのは何故だろう。


「兵士様方、遠路遥々お越しいただいて有り難う御座いました。皆様が持ってきて下さった荷物のお陰で、奴隷の子供達に美味しい料理を作ってあげることが出来ます。もし朝食がまだであれば残り物で良ければすぐに振る舞わせて頂きたく存じますが、お時間いかがでしょうか」


「貴殿がアイ殿か……?聞いていた雰囲気とはかなり違うようだが」


「昨日は交渉上どうしても必要であったため、ああいう態度を取ってしまったことを謝罪させて頂きます。理由は極秘になるので申し訳ないですが、王様に聞いていただければ宜しいかと」


「そうか……ならまず王から運ぶように命じられた物資を渡そう。着いて来て欲しい」


 私はフェズさんと一緒に表に出る。荷台にはかなりの物資が積まれており、一目では全貌が分からないほど多数の品が入っていた。


「おおう……これは多すぎない?」


「王様にからしたらアイさんへの恩返しなのでしょう。搬入は皆に指示しておきますので、皆様は中で休憩しておいてください」


 私の驚愕の声にフェズさんは落ち着いて指示を出しに行く。


 皆を連れて応接間に帰るとウェスタがコーヒーを並べていた。そしてそれを見た兵士さん達は次の瞬間床に跪くという、フェズさんを思い出す一連の行動を取っていた。


「誰かを思い出す行動だな……皆面を上げろ。私は諸君らの労をねぎらう為にコーヒーを入れてきたと言うのに、誰も飲んでくれないのか?そうか、やはり私の作った物は飲みたくないと言うことか……」


 皆が首を振っている。何これ面白い。


「なら立て、そして座って飲め。砂糖とミルクは用意したが、自信作なので最初は何も入れずに飲むことを勧める」


 兵士さん達はおそるおそるテーブルに向かいコーヒーと対面する。何名かが口をつけると驚きの感想を伝えてきた。


「これはコーヒーなのですか……?いや、確かに匂いは同じなのですがこの味は一体……。王宮の夜間警備の時に振る舞われる事はあるのですが、何も入れないと泥水よりましと言う薬の様なものだとおもっていました……」


 兵士さん達が驚いている。フェズさんの協力もありコーヒーに慣れていない大体の人は、浅煎りから中煎りの一歩手前位が好みそうだと分かっていたのだ。しかし王宮もフェズコーヒーだったらしいし、フェズさんが知ったら自信が回復するかも知れないなぁ。


「兵士さん達も落ち着かないだろうし私は言葉を崩させて貰うね。この時間に来たという事は夜間の強行軍できたんでしょう?とりあえずこういう時はコーヒーが好まれると思ってウェスタにお願いしたんだ」


「王宮もあのコーヒーと同レベルだったのか……となると王宮には製法は伝えるとして、コーヒーを孤児院での特産品にするか?」


「子供達にコーヒーを作らせるのは可哀想な気がするなぁ……でもある程度の年齢の子で希望者いたら教えてみようか」


ウェスタの言葉に私も半分は同意する。だって焙煎するのはいろんな意味で大変なんだよ……


 大前提として子供達は普通コーヒー嫌いだし、作るなら好きなものを作らせてあげたいとも思う。マヨネーズとかアイスとかカレーとかカラアゲとかハンバーグとか……やまほど飛び付いて来る物があるからね。


 材料さえあれば何とかしてくれる神の料理人が居るから、材料班が頑張れば美味しいご飯は確定なのだ。


「みなさんお腹空いてない?空いていたら直ぐに用意しますよ」


「……正直空いてはいるが先に用件を済ませたい。アイ殿、質問があるのだが良いだろうか?」


 むー、すきっ腹にコーヒーだけとか胃が荒れちゃうよ。


「私に答えられることなら答えるよ?」


「貴女は王に何を話されたのだ?」


「色々かなぁ。質問の意図が見えないのでもう少し詳しく話して欲しい」


「神々との会談が終わった後、王は緊急召集をかけられてな。その場でデール卿の国家反逆罪での拘束と、奴隷解放法案の成立を宣言したのだ」


 ん?成立?


「説明とか話し合いはどこに行ったの?」


「そんなものは無かったよ。我々も奴隷を解放したら国が滅びると王に上申したんだが、聞き入れてもらえなかった。その為に王が洗脳でもされてしまったのかと思ってアイ殿に会いに来たのだ」


 どうやら私はあのクソ王に嵌められたようだ。なにも言わずに仕事を押し付けて来やがった……色々貰ったのだから拒否はしないがムカつく。


「会って話をすれば我々とて相手の大体の人となりは分かる。どうやら我々は王に嵌められたようだな。あの王は一体何を考えているのか……」


「……あのクソ王は復讐するつもりなんだと思うよ。奴隷の必要性ばかり主張して、奴隷を作ってはいけない理由を討論しようとすらしなかった貴族達にね」


「ああ、そういう事か。となるとお前達は近衛兵か?更に言うならお前達が皆の前で上申した時に、荷物の運搬の命とこの場所とアイの事を王から聞いたと言う事で相違無いか?」


「相違ありません火の神様」


 王様が求めている役割もわかるけど、わざわざ脱線してくれたのだから私としても異種返しをしないとなぁと思う。


「そうだな今回もアイがしたいようにすれば良いし、王が悔しがれば尚良い」


 心の声漏れてなかったよね?


「何やら王の考えをご承知のご様子。説明していただければ我々も神命ということで協力を惜しみませんぞ」


 兵士さん達が皆一斉に頷く。王を慕っているのは間違いないが、いつも振り回されていたんだね……。


「わかった要点だけさくっと説明するね。まず大前提として奴隷を解放すると一気に国力が上がる。費用面も問題なく、労働力も落ちず混乱も少なくて済むと言う夢の案があったと仮定してみよう」


「本当に夢の案ですね……」


「現実にアイがこの夢に近い案を出したんだがな」


『え゛?』


 私の説明に対する兵士さんの言葉にウェスタがつっこむ。その言葉に驚きの声が上がった。


「それは今は関係ないよ。王様は解決策をもっているんだけど誰にも言わない、でも言わないと知らない人は奴隷の反乱や暴動を警戒するよね。特に今まで虐げてきた一部の貴族や経営者達は寝られなくなると思うよ。」


「反乱ですか……」


「奴隷の人権を認めていなかったのは強制的に労働に従事させるためだったと王様は言ってたよ。だけどその法案を逆手にとって私利私欲を満たそうとした人達が居たんだ」


「そういう人間を一気に炙り出そうとしているんじゃないか。多分アイに説明をさせようと思ったか、強制連行された場合でも安全なここで説明する予定だったのだろう」


「だが断る」


 この日之山愛が最も好きな事のひとつは、自分で賢いと思ってるやつに「NO」と断ってやる事だ……


「つまり王様は狂王を演じて自分を陥れた貴族を炙り出そうとしているんだと思う。でも長くても2、3日後には情報を公開するとは思うよ」


「そういう事ですか……」


 私の言葉を聞いて兵士さん達は少し納得したようだ。


「じゃあ皆さんの覚悟の程を聞こうか。あなた達の王は奴隷解放の話を聞いた時『王としてやる価値がある』と言った。だけど奴隷制度の現実を知ったら『王として断じて認めることが出来ない』と意見が変わっていた。あなた達は両方受け止める覚悟は有りますか?」


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