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城砦建築の召喚術師  作者: 狸鈴
第二章 奴隷解放編
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奴隷商人襲撃作戦 4

「というわけで、そろそろ夕飯の時間なので食材を取りに行こうかと思います」


「アイ、私は大体わかるけど普通の人は着いてこれてないからちゃんと説明してあげて」


「説明がこれ以上必要なの?」


「してもらえると有り難いですかね……」


 私の発言にファレンから物言いが入り、フェズさんの審議の結果取り直しになりました。


「まずその子に美味しいものを食べさせないといけないんだけど、やっぱり全員の分を作るべきだという判断になって、なら買うより取りに行った方が安上がりだなぁと。というか、私まだこの世界の通貨持ってないんだよね」


「あそっか、私は金貨と白金貨なら結構もってるから少し渡しておこうか?」


 お金はファレンが一杯持っていたらしい。タヌキ少女は少しビクビクしている。


「じゃあ金貨を少し借りようかな。フェズさん料理を決めるためにも調理場に案内して貰ってもいいですか?」


 じゃらじゃらと数十枚受けとる。


「ええ、いいですよ。もう何があっても驚きませんとも……」


 フェズさんは何かを諦めたようだったが、案内されて向かった調理場は竈は希望よりも明らかに小さすぎだった。リフォームするには時間も素材も無いし、ここで全員分調理するには時間が掛かりすぎるだろう。


「フェズさんこの店舗には中庭があったよね。少し案内してもらってもいいですか?」


「分かりました、こちらです」


 フェズさんに案内され次は中庭に向かう。運動をここでしていたのだろうか、かなりの広さは有るのだが約60人も集まれば手狭になるのは仕方ないと妥協する。


「うん、まあいっか。フェズさん、ここでバーベキューをさせて貰ってもいいかな?」


「バーベキューとは?」


「あら、こっちにはバーベキューが無いのか。えっとね、大きな鉄板を用意して色んな物を焼いて食べる料理方法だよ。鉄板とかの道具は私達で用意するから場所が使えれば大丈夫」


 場所さえあれば後はなんとかなると思う。ああそうだ、料理といえばウェスタ料理長だ。一応聞いておこう。


「ちょっとうちの料理の達人にいろいろ相談してみるので、ちょっと待ってくださいね」


「ええ構いませんよ」


了承を得られたのでウェスタに話をしようと思う。


『こちらアイです。ウェスタ聞こえますかどうぞー』


『うん?ファレンがそっちに行ったが、私が出ないといけない問題でも出来たのか?』


『問題じゃ無いんだけど、話をしていた奴隷さん達にバーベキューをご馳走しようかと思ってね。ウェスタにも助言を貰いたかったんだ』


『なんだと。そんなに面白い事をするなら行くしかないな。アイの場所なら分かるから回りが安全ならすぐにでも転移できるぞ?』


『いま協力者が一緒に居るけど離れているから大丈夫。来て良いよ』


 しばらくすると転移陣が広がりウェスタさんが中から出てくる。


「やっほー、ウェスタ」


「問題ないようで何よりだ、アイ」


 軽い挨拶をかわす。


「この人がそれなりに良い奴隷商人のフェズさんだよ……ってあれ?」


 何故かフェズさんが地面に跪いて震えている。もしかしてウェスタに怯えているのかな?ウェスタとフェズさんに交互に視線を送るとウェスタがため息を着いた。


「私の正体が一目で分かるとはなかなか敬虔な信徒のようだな。多分アイから私が怒っていると聞いていたんだろう。まあ奴隷商人に思うところがないと言えば嘘になるが、貴様個人に怒りを覚えている訳ではないのだから跪くな。立て。今はこちらが協力を請うている立場なのだろう?それとも私の頭を地面につけさせたいのか?」


 フェズさんはガバッと頭を上げて顔が分身するほど振っている。マジ早い。


「なら立て。神といっても基本は人と変わらん。今は奴隷に料理を食べさせに来ただけの、ただのしがない料理人だ。気にするな」


 料理人?料理神の間違いじゃないのかな。色んな意味で。


「ウェスタ、この国とはなにか関係あるの?料理関係は前に聞いたけど」


「あれ、言ってなかったか?この国と王家は私が守護しているんだよ。過去の王が私を知っていたのも直接見た事があったからだ」


「あーごめん、影響力が強い神様としか理解してなかった。ファレンの時にもフェズさんは何も反応が無かったから失念していたよ。普通いきなり自分達に対して怒っていると思っている神、ましてや自分達が信仰する神様が目の前に急に来たら怖いよね」


 フェズさんにごめんねーと謝る。大丈夫です……と言ってはいたが回復にはほど遠いようだ。


「取り敢えずファレンと肉を採りに行って来るから、ウェスタには市場で野菜とかを適当に選んできて貰っても良いかな。んー、余裕見て70人分くらいあれば何とかなると思う。余れば翌日以降分にまわして貰おう」


「分かった。となると変装することになるな。だが久々に市場を回れるのは楽しみだ」


 ウェスタに買い物をお願いすると快諾してくれた。


「お、お待ちください!買い物には奴隷達を行かせますので、火の神様におかれましては何卒ここでお待ち下さい!」


「うん?何か理由があるのか?」


「市場には奴隷が沢山います……実は奴隷が持ち主に暴行されることは日常茶飯事なのです。虫の良い願いなのは重々承知しておりますが、火の神様にこれ以上国に対して悪い感情を持って頂く訳にはまいりません!」


「ふむ、大事の前の小事と言うことか」


 ちょっと違う気がする。フェズさんからの視線も感じるし。


「……ウェスタ、ウェスタ。鞭で叩かれて血を流している人を見たら犯人をどうする?」


「……多分消し炭すら残らず消滅させるな」


「それ、奴隷の人も巻き込んでない?」


「やじ馬は巻き込むだろうが、一人二人なら守れるから問題ない」


 いや問題ありまくりだよ!?殺る気まんまんの神によって危うく大惨事になる所でした。


「うん分かった。フェズさん買い物お願いしますね」


「畏まりました」


 フェズさんのファインプレーを称えて固い握手を交わす。いま心はひとつになった。





「じゃあウェスタも暇だろうし一緒に狩りに行こうか」


「釈然としないがそうするか、どこに行くんだ?」


「ちょっとまだファレンに確認してないから、まずは合流しよう」


 ウェスタと私は、ファレンとタヌキ少女が待つ応接間に戻っていった。



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