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城砦建築の召喚術師  作者: 狸鈴
第一章 異世界入門編
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異世界に行こう 2

 朝になったのでファレン達の世界に行こうかと思う。今まで世界の名前を教えて貰ってないと思いウェスタに聞いてみると、苦笑しながら教えてくれた。この世界は『レジェンド』と言うらしい。そりゃ言いにくかった訳だよね。もろに黒歴史を連想させてしまうし、被って分かりにくくなる。光の神はネーミングセンスの無さと、いい加減さによって更に株を下げる事になった。このままでは連日ストップ安だ。


「何で寝てる間にそんなに話しが進んでるの!シェスカとの顔見せも終わってあの『男の子』にも会いに行ったとか!朝になって、さぁレジェンドに行こうって言われても何がなにやら訳が分からないよ!昨日ちょっと私達の事説明しただけだよね?!一体この短時間に何があったか教えてよ!」


『ダメだ』


 あ、ウェスタさんと被った。ファレンは寝てたから仕方が無い。


「ダメぇ?!そんなぁー!」


 流石にかわいそうなのでフォローしておく。


「すごく分かり難く説明すると、仕事が無いので遊びに行こうかって言う話」


「……それは分かり難いの?」


「ついでに邪神をぶち転がしにいくからね」


「ついでで核心が抜けてたよ!」


 やっぱりファレンは扱いやすい。


「まあ邪神の事は本当についででかまわないよ。もちろん倒してしまっても構わないが、後始末が大変じゃないようにだけ気をつけてくれればいい」


 ウェスタが補足する。ファレンが遊ばれた事に気が付いてむくれるが頭を軽くなでて謝意を示しておいた。


 後は飛ばして貰う場所だなぁ、試さずいきなり戦闘は勘弁して貰いたいのである程度指定してもらいたい。


「ウェスタ。出現ポイントなんだけど、飛ばせる範囲で『首都じゃないある程度大きな街』の『20km以内の人目の無い場所』で『安全な場所』てある?」


「安全については保証しかねるが、まず魔獣がいない地域という事でよければ何箇所か該当地域はある。地形に希望はあるか?」


 おー、地形の希望がだせるのか。


「んっとね、余り見渡しの良くない丘陵地が一番良いかな。次点で平らな場所がある岩場でも問題ないよ」


「なら人目の少ない岩場があるな。ついでに街が西に12Kmくらいにある。丘陵地だと街から18Kmくらいだな」


 ふむふむ、なら近い岩場でいいかもしれない。じゃあとりあえず行ってみよう!


「じゃあ岩場にお願いしてもいい?」


「了解した……よし繋がったぞ」


 え、何処に?まだここは居間だよ?


「じゃあ、玄関に行きますかー」


 ファレンが疑問を解決してくれた。襖が直で異世界と繋がるのかと思った。少し歩いて玄関につくと、そこにシェスカが待っていた。


「昨日は有り難うございました。私に出来ることがあったら何でも言ってくださいね!御武運をお祈りしています」


 シェスカはそう言ってお辞儀をした。何でもっていったね?服飾スキルが火を吹くぜ?あと、武運より安全を祈ってくれた方が嬉しかったかもしれない。


「シェスカも昨日はありがとね。好きな服のリクエストがあったら聞いておくよ」


「服ですか?着れたら何でもいいですよ?」


「了解、楽しみにしててね」


 あまり分かってない様だけど話を切る。獲物に危険を察知される訳にはいかない。と、ここで重大な問題に気が付いてしまう。


「そういえば私の靴は何処にあるんだろう。ヤバい、この服も自分の物じゃなかったんだ」


「その服はアイの魔力で編まれているからアイの物で間違いない。靴は多分インベントリに入ってるんじゃないか?」


 ウェスタが教えてくれる。インベントリと想像するとタブレットが☆PON☆と出てきた。が、なんとアイテム欄には靴しか映ってなかった。


「ウェスタ……アイテムが靴しか無いんだけど」


「そりゃレガシーは電子データなんだから持ち出せる訳がない」


 ですよねー。


「たぬパーカーが……」がくっ


 あれには思い入れがあったのになぁ。


「また作ろうよ。それまでは私で我慢しておいて!」


 ファレンが照れながら背中を叩いてくる。なにこのかわいい子。しょうがないのでファレンをおんぶしてパーカーの代わりになって貰う。私の筋力値が結構あるのか通常より明らかに軽く感じる。


「これでよし!」


「よくないよ!」


「出発だー!」


「ええええええ!」



 こうして異世界への第一歩を踏み出した。






 玄関を出るとそこは岩場ではなく荒野だった。


「荒野だね。岩少ないね」


「荒野だね」


 背中でファレンが同意する。一体ウェスタが持っていた地図データは何年前の物なんだろうか。うん、これ以上は危険だ。忘れよう。


 とりあえず安全そうなので、ファレンを地面に下ろして召喚魔法を試す事にする。


「ファレン、召喚魔法試したいから後ろにいてもらってもいいかな?」


「りょうかーい」


「試しに少し強い護衛を召喚してみるね。何が有るか分からないし」


 少し離れて背後にファレンがいるのを確認してから、『少し強い護衛』をイメージして召喚魔法を発動する。



『魔王 ベルゼブブ を召喚しました』


『召喚に応じ馳せ参じました、我が主よ。何なりとご下命下され』


「うん、じゃあ『送還』」

 

 消えました。


「魔王だったね」


「ベルゼブブだったね」


 見なかった事にしよう。


「そうだ、強い何て文言いれたのが間違いなんだ。次は街に行くために『普通の乗り物』にしよう」


 ……普通の乗り物……


『世界蛇 ミドガルズ……』


「キャンセル!キャンセル!!」


 なんとか顔が出てすぐに対処できた。あれを乗り物にして怒られたのは記憶に新しい。逆にあれ以上のヤバい乗り物がまだあるのかと戦慄してしまう。


「ミドガルズオルムって、乗り物だったの……?」


 うん、ごめんファレン。世界に乗り物と認識させたの私かも知れない。


「やばいよファレン、普通の召喚モンスターすら世界を滅ぼしかねないよ!?」


「落ち着いて、桁外れなのは分かったから弱いのから召喚して行けばいいよ。慣れてるたぬ騎士なんて良いんじゃない?」


 そうだ、私にはまだたぬ騎士がいる!……たぬ騎士……たぬ騎士……


『蛮族 タヌキ人 を召喚しました』


 容疑者は男性、190cm、毛は茶、筋肉モリモリマッチョマンの変タヌキだ。服なんてもちろん着ていない。



\デェェェェェェェェェェン/



「嫌あああああああああああああぁぁぁ!!」


 パァァン!


 私の全身全霊をかけた送還技(物理)によって回転しながら消えていく変態。もといたぬき人。


 二人とも無言でしばし立ち尽くしたのであった。

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