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城砦建築の召喚術師  作者: 狸鈴
第一章 異世界入門編
15/55

黒歴史の発表会 4

3/9改稿しました。

 


 全ての話を聞いた後私は後悔していた。『災厄の英雄』なんて称号はまだまだ序の口だったのだと。怯えて部屋の隅でガタガタ震えていれば、こんな結末になっていなかったかもしれない。




「今から話す事は既に起こってしまった事実だ。私達でも変える事は出来ない。長くなるが質疑応答は最後だ。心痛察するに余りあるが、先に胃薬を飲んでから聞いて欲しい」


「そこまでか!」


 思わずツッコミを入れてしまったが、開始前から既にこの先を聞きたく無くなってきた……結構真面目そうなウェスタさんにここまで言わせるとは一体なにが始まるんですか……ファレンちゃんは満面の笑みで胃薬を渡してくる。大魔王を超えた魔神様からはどうやら逃げられないようだ。


「……ではよろしくお願いします」


 言った所でファレンちゃんが私の真後ろに移動する。前門の炎神、後門の魔神である。とことん逃がさない腹積りらしい。


「まずそうだな、隕石の話からにするか。実際に落着したのは約一月前。衛星軌道上での大きさは分からないが、落着時の推定直径は8~9メートルと予測されていたようだ。空中で爆発する可能性もあったが落下予測地点が首都東京であったため、政府が混乱を避けるためにぎりぎりまで隠していたそうだ」


 私が起きるまでにタイムラグがあったのか。っていうかそれ、落ちてたら東京ほぼ壊滅してるんじゃない?政府の対応はまあそんなものかと納得する。


「政府の発表後に事態は急展開を見せる。いきなり隕石の進路が変わったんだ。その理由は空中分解が有力視されているが、観測されていないので不明とされている」


 そりゃそうだよね、兵庫に住んでるのだから東京に落ちる隕石を何とかできるわけが無い。


「そのままアイが住んでいた町に隕石が落着したんだが、結果被害は死者0、負傷者1247人、行方不明者1人。まあ、建物の被害はかなり多数に上ってはいたらしいが、正確な数はまだ発表されていない。ベッドタウンで昼間の人口が少なかった事も功を奏したのだろう。生き埋めは多数出たようだが、救助を行った自衛隊はとても優秀だったようだね」


 死者が居ないのか。つまり私が神様パワーで何とかしたと?行方不明者も結果的に生きているし、まあ良かった良かった。


「で、だ。奇跡と呼べるほどの被害の少なかった事故の一人の行方不明者が『日之山 愛』だという事が、全国のニュースで流されたわけだ」


 オイ。


「もちろん隕石落着の瞬間の目撃者も多数いる。彼らは皆口を揃えて、『落着後の10秒間は音も衝撃も来なかった』と証言している。スマホなどで動画を取っていた人は万単位いるんじゃないかな。何かの歪みが空に上がっていくのが鮮明に写っていたそうだ。熱量や衝撃を空に逃がしていたんだろうね。そして画像を解析した研究者は、落着地点に紺のジャージの黒髪の人物が写っていた事を発表してしまった」


 オイオイ。


「後は政府もやらかしたね。もちろん発表の遅さをマスコミ各社に叩かれるわけだ。東京に落ちていたら叩かれる事すらなかったんだから、甘んじて受ければいいと思うけどね。非難の的を反らす事を目的に、貴方の情報を調べるためのあらゆる手を尽くしたようで、プロバイダーから重要な情報を引き出す事に成功したそうだ」


 オイオイオイオイ。個人情報保護法どうなった!


「どうやら貴方が『レジェンド』の時に使っていたハードの固有番号を見つけたらしいよ。『災厄の英雄』の『アイ』の情報とハードの固有番号は関連付けられていたようだ。今まで見つかってなかったという事は、この時のハードは全く使っていなかったのかな」


 え?


「まああの事件の犯人も、事態の全体像の発覚を遅らせるための方策でしかなかったんだから、ログのデータは触ってなかったみたいだね。『日之山 愛』はかの『災厄の英雄』だった!英雄が今度は国を救ってくれたのだ!とまあ、政府は矛先を変えるために『救国の英雄』を仕立て世間の目を逸らしたのさ」


 ……


「かくして政府は目論見を成功した。が、予想外の事態が起こる。日本で日之山教が設立され、落着地点を聖地として新しい宗教が興ったわけだ。隕石を止めてしまうほどの実際に起こった奇跡。その威力は一ヶ月しか経っていない現段階で地球上の半分以上の勢力に認められている。イスラム系の国ですら、ご利益を求めて認める国が出てきているほどだ。地球全ての国で認められる時も遠くないというのが新聞の一面を飾ってたよ」


 orz


「つまり君は現段階で地球でもっとも信仰を集める神となったわけだ。それこそ戻ったら地球の統一くらいできるかもしれないな。あとちゃんと両親や親族は教団の重要なポストに収まっている。落着地点の家が消滅していた事を思えばいい親孝行になったな」


 そっか、家無くなったら住む場所もなくなってしまいますからねぇ。よかったよかった。




 んなこと言えるかーーー!そんな嫌な親孝行はないよ!

 

 こんな状況で戻れるわけないじゃないですかぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!



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