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城砦建築の召喚術師  作者: 狸鈴
第一章 異世界入門編
12/55

黒歴史の発表会 1

3/9改稿しました

 私は気がついたら見知らぬ部屋の布団の中にいた。


「むにゃ……む?」


 ここはどこ、私はだれ。『容疑者は男性、190cm、 髪は茶、筋肉モリモリマッチョマンの変態だ』と空耳が聞こえるが違う事は分かる。


 私は女性、161cm、髪は黒、中肉中背の一般人。断じて変態ではない。


 名前は『日山(ヒノヤマ) (アイ)』16歳だ。


 自分のことは分かる。過去の事も分かる。寝た記憶は無いと思うが直前の記憶はレガシーで次の遊びの計画を練っていた所で終わっている。


 四肢は動く、視覚も異常はない。


 なにやらテレビの音と美味しそうな臭いも分かると言うことは、聴覚も嗅覚も問題なく生きている証拠でもあると安心する。


 まあ何故ここに居るのか分からないというのは大問題なのだが。取りあえずゲーム内ではないという事は間違いない。


 周りの確認をしようと布団から出て立ち上がると驚愕の事実が発覚した。なんと服が変わっている。黒いジャージだ。しかも所々に金の刺繍が入っているという、似非じゃなく凄く高級そうな一品だが、着ていたのは普通の紺ジャージだったはずだ。ジャージは正義だ。反論は認めない。


 自身が女性であるのだから見知らぬ服を着ていれば大問題なわけだが、記憶も無く違和感も不具合もないので夢と割り切って問題を先送りにする。


「おはようございますー?」


 朝の挨拶をしてみるが反応は無い。このまま二度寝するのも有りかと思ったが、目が覚めてしまったので取り合えず隣の部屋を少し覗いてみる。


 見たことが無い女性が二人こたつに入りテレビを見ていた。住人が女性であったことと見知った光景であったことに少し安心する。どうやら美味しい匂いの元はお雑煮であったようだ。一人は20歳前後の赤髪さんで結構薄着、もう一人は多分年下の14前後かな?きれいな黒髪ツインテールに茶色のふわふわリボン、服は白と黒のコントラストが凄く映えて目に残る感じだ。どこかの制服なのかもしれない


 二人の女性はこっちに気が付いたのか、チラッとこちらを見たがまた視線をテレビに移してしまう。何も反応してもらえない事に少し寂しさを感じながら次の行動を検討するが、寒い事もありこのままこたつへの侵攻作戦を行うことになった。



 定番のみかんがあったので一ついただく事にした。話しかけてくれないしこっちを見てもくれないし、これは夢なんだろう。だが、私の分のお雑煮は用意されていないようだ。少し寂しい。


 みかん一つを食べ終わり人心地ついた所で一人が立ち上がった音がする。が、そのままテレビを見させてもらうことにする。毎回だがリフォームの匠が依頼人のために作ったギミックは、その家の黒歴史になっている気がする。泣いている依頼人をみると、嬉しいのか悲しいのかどっちで泣いているのか本人に詳しく聞きたいと思ってしまうのは心が汚れ過ぎなのだろうか。


『ええええええええええええええええええええええええ!?』


 絶叫が部屋を支配する。今更びっくりさせないでほしい。絶叫したいのはこっちなのに…。赤髪さんは冬にコタツに肩出し薄着とか根性はいりすぎて逆に驚くよ!


 どうやら私を見てびっくりしているようだ。時間差攻撃にも程がある。……二つの大きなスライムが目の前でぷるぷるしている。妬ましい。が、挨拶は大切なので反応を返す事にする。


「こんにゃてゃー」


「……いいや、わざとだ!」


 良くやってた掛け合いを座っていたもう一人の女性、黒髪さんが返してくる。ご両人とも記憶には無いがツッコミを即返してくれるという事はどうやら私のゲーム系の関係者ではあるらしい。


日之山ヒノヤマ アイさん……だよな?」


 むむ、赤髪さんが尋ねてくるがこれはリアルネームである。よくやっていたVRMMOの関係者と思ったが、リアルの関係者のようだ。夢だと思っては居るが内心警戒レベルを上げる。


「えっ、なんでアイがここに居るの?訳が分からないよ?」


 黒髪さんが酷い事を言う。存在全否定である。


「名前はそのとおりです。が、私が隣の部屋に寝かされていた理由すら分かっていないので、申し訳ないですが質問には答えられません」


 正直に答える。分からないのは事実なのでしょうがない。


「こっちも良く分からないが、『アイがここにいる』のは事実なんだな。しかも、生身か……。ちょっと状況を確認してくるので少し待っていてほしい」


 もう一人の座っていた黒髪の子がお茶を入れてくれた。日本茶だ。私の前に座ろうとするが赤髪さんに一緒に来いと言われ、私が寝ていた部屋とは反対の部屋に引っ張られていく。どうやらこの子は同じか少し小さい位のようだ。なにが、とは言わないが。


 こっちを見て手を振ってくれているが、襖が閉まりその姿が見えなくなってしまう。一人寂しい心にお茶が染み渡る。みかんを食べていて良かった。お雑煮の匂いに耐えられなかったかもしれない。


 五分ほど経っただろうか、またもや二人の「え」が山ほどある絶叫が聞こえてきた。とても元気な二人なんだなーと関心するが、テレビの番組的に今の時間は夜だと考えられるので、近所迷惑にならないかちょっと心配になってくる。


 しばらくすると赤髪さんと黒髪さんが帰った来た。スライムさんは呆れ顔、黒髪さんは爆笑しており行きと同じく引っ張られている。赤髪さんの雰囲気的には現状の把握は終わったが、どう説明したらいいのか分からないような顔をしている。


「どういう状態か……わかったけどなんて説明したらいいのか。これは想像の埒外すぎる」


 どうやらドンピシャのようだ。考えの邪魔をしては悪いので借りてきた猫のように静かにしておく事にする。


「まず、自己紹介が先じゃないかなぁ?話も長くなると思うし」


 黒髪さんは再起動に成功したようだ。さすがに赤髪さんのままでは関係に支障をきたす可能性があるので、とてもありがたかった。


「そうだな、吃驚しすぎて忘れていた。火の神だ」と赤髪さん

「魔の神だよー」と黒髪さん


「知っているとは思いますが 日之山 愛です。日野さんと真野さんですか?うーん、日之上さんという可能性もあるのかな…」


 答えた直後、黒髪さんがお腹を抱えて笑ってしまった。


「炎の火と魔法の魔。神様の神で、火の神と魔の神だ。驚く無かれ、私達はあなた達が言うところの神様なんだよ」



「……?」

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